[写真]=金田慎平

 7月26日に開幕するパリ2024オリンピック(パリ五輪)で金メダルを目指すバレーボール男子日本代表。現在の世界ランキングは2位と、史上最強の声もあるチームに選ばれたメンバー12名と交替選手の1名を紹介していく。

◼︎西田有志

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ブロックも、常識すら打ち破るサウスポーエース

 攻撃専門のポジションとして、得点を量産する。世界を見渡せば、2m級の名だたるポイントゲッターが並ぶオポジットにおいて、西田有志の身長186cmという数字は異質に映る。けれども、最高到達点350cmの高さから破壊力満点のスパイクで相手のブロックを粉砕。エンドラインに立てば、強烈な弾丸サーブを突き刺す。つくづく、体のサイズや世間の常識はこの男には無関係だと思わされる。メダル獲得へ立ちはだかる壁も、その一打で打ち破れ――。

◼︎小野寺太志

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攻守でバランスよしのオールラウンダー

 バレーボールを始めたのは中学3年生時からで、アンダーエイジカテゴリー日本代表を経験しながら、シニアで本格的に台頭したのは2018年の世界選手権。以降、メキメキと成長を遂げ、今や文字どおり日本を代表するミドルブロッカーとなった。

 攻撃面では上がってきたトスを確実に決めきり、守っては的確なブロックで相手の攻撃をはね返す。攻守でオールラウンドな活躍を見せる小野寺太志のパフォーマンスに、仲間から寄せられる信頼は厚い。

◼︎深津旭弘

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最年長セッターはムードづくりもお手のもの

 37歳のチーム最年長で迎える初の五輪。「最年長だから、とはそれほど考えていませんが、こういう舞台をキャリアのなかで踏めることにワクワクしています」と深津旭弘は胸を弾ませる。

 昨年はアジア競技大会で銅メダル獲得に貢献するなど、セッターとしての地力の高さは言わずもがな。また、ベテランが率先して明るく振る舞う、そのムードメイクが日本代表にとって必要な力だ。遅咲きには、咲くまでに時間がかかったからこそ放つ輝きがある。

◼︎宮浦健人

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侍サウスポー、花の都に見参!!

 学生時代からハードパンチャーとしてならしてきた宮浦健人。同年代の西田有志と切磋琢磨しながら、同時に自身は海外リーグに身を置くなど研鑽を積んできた。

 今年のネーションズリーグ、アメリカ戦では終盤に3本連続サービスエースを炸裂。普段は物静かで、まさに“侍”といった佇まいだが、このときばかりは吠えに吠えた。パリは2023/24クラブシーズンを過ごし、確かな手応えをつかんだ場所。ゆかりある花の都で、左腕が火を吹く。

◼︎大塚達宣

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先発でも控えでも、やるべきことはただ一つ

 恵まれた体格と攻守両面での高いパフォーマンスを備え、大学3年生時からVリーグのトップチームに加入すると堂々のエースを務めた。その事実が、大塚達宣の非凡さを物語っている。

 各国を見渡しても相当に分厚いアウトサイドヒッター陣においてリザーブに回る局面もあるが、当の本人は意に介さないどころか、むしろ自身のやるべきことを果たすのみと息巻く。その仕事ぶりが実に頼もしい。どのように起用されようとも、準備は万全だ。

◼︎山内晶大

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切れ味十分のクイックでアクセントに

 2015年のワールドカップ以降、石川佑希らと次世代を担う選手としてフィーチャーされてきた山内晶大も、所属先でキャプテンを務めるなどキャリアを積み、2度目の五輪を迎える。

 長いリーチを活かした、切り裂くようなクイックは攻撃のアクセントに。またブロックに加えて、要所で効果的なサーブを繰り出すなど、プレーの幅も増えた。本人が明かすに、東京2020五輪ではゾーンに近い感覚を覚えた。その特別な舞台で再び、己の力を発揮する。

◼︎関田誠大

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天才セッターはハードワークをいとわない

 幼少期から“チームを勝たせる”セッターとして評価されてきた関田誠大。その両腕から繰り出されるトスで、男子日本代表を飛躍させた。

 相手ブロッカーに的を絞らせない攻撃の選択と、アタッカーに選択肢を与える正確無比のトスは絶品。それらも、セットするためにコート内を駆け回るハードワークあってこそ、だ。後衛に回れば、好レシーブを繰り出し守備面でも高い貢献度を示す。そんなプレーを前にしては、身長175cmの不利もかすんで見えるのだ。

◼︎髙橋健太郎

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ブロックキングが世界の攻撃をはね返す

 プレーは豪快、感情表現は爽快。パフォーマンスでもムードづくりでも男子日本代表のテンションを一気に高めるのが髙橋健太郎だ。

 東京2020五輪落選をきっかけに己と向き合い、以降はVリーグでも3季連続でブロック賞を獲得するなど日本最高峰のミドルブロッカーに進化を遂げた。また、かつては怪我しがちも、最適なコンディショニングを施して存分に力を発揮できる体を手に入れた。相手の動きを徹底的に見極めて繰り出すブロックは必見。

◼︎髙橋藍

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世界中のファンを虜にするエース

 高校日本一の勲章を引っ提げて日本代表に初登録されたのが2020年。あれから4年、髙橋藍は日本のみならず世界中のファンを魅了する、バレーボール界のアイコンとなった。

 元から備わるレシーブ力とアタック力に磨きをかけ続け、2023/24シーズンのイタリア・セリエAでは準優勝に輝いた。今年のネーションズリーグは大会終盤に大事をとって離脱するも、パリ五輪直前の国際親善試合では不安を払拭。見据えるは大会本番そしてメダルだ。

◼︎石川祐希

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日本バレーボール界の至宝は、さらなる高みへ

 2021年から日本代表のキャプテンを務める石川祐希は、ネーションズリーグで昨年は銅メダル、今年は準優勝に導くと、自身は2大会連続でベストアウトサイドヒッターに輝いた。イタリア・セリエAで己を磨き続け、すべてのパフォーマンス向上はもちろん、勝負強さやリーダーシップも身につけてきた。

 チームを先導してきたエースは、我々にまだ見ぬ世界を見せてくれるだろう。ISHIKAWA YUKI。その名はバレーボール界において、トッププレーヤーを意味する共通言語だ。

◼︎甲斐優斗

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ブラン監督の秘蔵っ子、初の五輪出場へ

 のんびり屋な性格で、寝ることが大好き。ひょうひょうと立ち振る舞うも、いざエンドラインに立てば一変。高い打点を活かし、狙い澄ましたサーブでポイントを奪う。

 フィリップ・ブラン監督にそのポテンシャルを見初められ、2022年に代表に初登録されると、2023年は年間を通してチームに帯同。ちゃくちゃくと出場機会も与えられ、その成長曲線は常に上昇カーブを描く。チーム最年少の20歳で射止めたパリ五輪出場メンバーの座。この経験を未来に活かす。

◼︎山本智大

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盟友への思いを胸にボールをつなぐ守護神

 鋭い読みと抜群の反応、縦横無尽に駆け回る俊敏性で相手に決定機を与えない山本智大。2019年に日本代表の初登録された際は“三番手”と迎えられたのも遠い昔の話。今年のネーションズリーグでは大会ベストリベロに輝き、今や世界屈指の守護神に君臨する。

 パリ五輪に向けたチームにおいてともに名前を連ねてきたリベロの小川智大とは、お互いにリスペクトを持って切磋琢磨してきた仲。今回、メンバー外となった盟友の分まで活躍を誓う。

◼︎富田将馬

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ピカイチのレシーブ力でバックアップを務める

 2021-22 Vリーグでレシーブ賞に輝いた富田将馬はその勲章のふさわしく、安定感抜群のサーブレシーブを繰り出し、攻撃の起点に。攻めてはアタックとサーブで得点を呼び込み、エースの務めを果たす。

 今回は交替選手としての登録であり、出番がやってくるかはわからない。それでも「何か起きればベンチに入りますし、そうならなければチームにとってはいいこと。サポートに徹して貢献したい」とコメント。控えているだけでも、頼りになる存在だ。