伊賀亮平※写真はカンヌ時代 [写真]=Getty Images

 日本を飛び出し海外でプレーすることを選ぶ選手は年々増えてきている。バレーボール界での海外挑戦というと、強豪国が多数存在するヨーロッパに目を向けがちだ。しかし、2023ー24シーズンから韓国Vリーグでアジア枠のトライアウト及びドラフトを開始したことから、韓国は試合への出場機会を求める日本人選手たちの新たな挑戦地になりつつある。

 2024ー25シーズンの韓国男子Vリーグでは、3名の日本人選手がプレーしている。

 現在首位を走るのは、元男子日本代表を率いたフィリップ・ブラン氏が監督を務める、天安現代キャピタル・スカイウォーカーズ(現代キャピタル・昨シーズン4位)で、これまで25勝3敗と圧倒的な強さを誇っているが、その現代キャピタルを追って2位につける仁川大韓航空ジャンボス(昨シーズン優勝)には、リベロの伊賀亮平(30)がいる。

 2025年1月3日にフランスリーグのカンヌからの移籍が突如発表された伊賀。1月7日の試合からすぐにスタメン起用され、チームの守護神として安定したプレーを見せている。伊賀の合流後に開催されたラウンド4、5に絞って見るとディグ成功率は85.1%でランキングは1位と、仁川大韓航空ジャンボスのコート内を確実に支えている。

 その伊賀は、中央大学を経て2017年にパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)に入団。海外挑戦を視野にいれていた中、2023ー24シーズンに韓国のアジア枠トライアウトに参加し、水原韓国電力ビクストームへの移籍が決まった。韓国Vリーグ初の外国人リベロとして活躍し、同シーズンにはベストリベロとベストディガーを獲得。ベスト7の1人にまで選ばれたものの契約延長とはならず、2024ー25シーズンはフランスのカンヌに入団したが、1年も経たずして再び韓国でプレーをすることになった。

 そして、伊賀の古巣である水原韓国電力ビクストーム(昨シーズン5位)に今シーズンより移籍したのは、セッターの中野倭(25)だ。現時点で7チーム中6位と苦しんでいるが、首位独走の現代キャピタルに土をつけたチームでもある。中野は直近の試合では途中からの出場が多くはなってはいるが、ここまでシーズン通算のセット成功率ランキングで堂々の3位にランクインしている。

 中野は近畿大学卒業後、2022年にウルフドッグス名古屋へ入団。主に途中出場という形で約2年間チームに貢献していたが、新たな挑戦として2024年に韓国Vリーグのトライアウトを受けると指名され、水原韓国電力ビクストームは2シーズン連続で日本人選手を獲得することとなった。

 3人目は同じくセッターの浜田翔太(34)だ。日本のV.LEAGUE MEN EAST所属の埼玉アザレアから韓国の安山OK金融グループ・ウッメン(安山OK金融・昨シーズン準優勝)へ、シーズン途中の2025年1月中旬に電撃移籍が発表された。

 チームに合流してからまだ日は浅いが、2025年1月21日の初試合で途中出場すると、それ以降はスタメンで起用されている。2月2日に行われた試合ではバランスの良いトスワークを発揮、苦しい体勢からも積極的にミドルを使い白星をあげ、9連敗中だった連敗をストップさせ2連勝にも貢献。チームは昨シーズンとは一変し、現時点で6勝21敗の最下位となっているが、浜田の合流により巻き返しを図ることができるのかが注目となる。

 そんな浜田は、2016年から2021年まで在籍していた埼玉に、2024ー25シーズンに3年ぶりに選手兼コーチとして加入し話題となった。主に途中出場でプレーをしていたが、選手としての自身の思いを胸に、シーズン途中での移籍を決断。また、安山OK金融の監督が荻野正二氏であったことも今回の移籍実現につながった要因かもしれない。

 韓国Vリーグのレギュラーラウンド(R)は3月20日まで、プレーオフは3月23日~4月9日の日程で開催される。R3位vsR4位が準プレーオフを戦い、その勝者とR2位が対戦。勝ち進んだチームがR1位が待つ決勝に進む。

 リーグも終盤となるが、日本とは異なる環境に飛び込み、コートに立って輝く選手の姿を今後も追いかけていきたい。