山本快[写真]=金田慎平

 2月14日に男子ユニバーシアード日本代表候補選手の合宿の参加メンバーが16名発表された。

 ユニバーシアードとは、国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催する世界の学生の競技大会のことで、別名“学生のオリンピック”とも称される大会。2年ごとに開催されており、2021年大会からはFISUワールドユニバーシティゲームズとして行われている。

 2025年大会が7月16日から7月27日を予定している中、日本バレーボール協会(JVA)は候補選手の合宿を実施。合宿の期間は2月13日から28日までで、セルビアへの遠征も予定されている。

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 今回はそんな将来の日本代表を担う選手たちの中から注目の6選手を解説していく。

 ※カッコ内は所属、ポジション、身長、最高到達点

前田凌吾(早稲田大学/S/178cm/325cm)

 ユニバーシアード日本代表候補の注目選手の1人目は前田凌吾だ。

 前田は日本代表の司令塔である関田誠大と同じタイプのセッターで、身長は高くないがトスとレシーブがずば抜けて上手い選手だ。

 清風高校時代には1年生ながら春高バレーではチームをベスト4に導き、世代No.1セッターと評されていた。

 早稲田大学でも入学してすぐに正セッターに抜擢されたが、全日本インカレで優勝を逃したことも。しかし、その悔しさをバネに2年生の時には全日本インカレで優勝を果たして王座を奪還した。

 3年生になった2024年はキャプテンに抜擢され、大エースがいない中でも巧みなトスワークでチームを全日本インカレ3位に導いた。

 今では大学No.1セッターと評される前田の精度の高いトスと考え抜かれたトス配分には要注目だ。

麻野堅斗(早稲田大学/MB/207cm/345cm)

 2人目は前田と同じ早稲田大学に所属する麻野堅斗だ。

 麻野は2022年からシニアの日本代表に選出されている日本最長身クラスのMBだ。

 そんな麻野の長所は大きく分けて2つある。

 1つ目はサウスポーを活かしたCクイック。麻野の高さと速さを両立したCクイックは既に世界レベルで、2023年に日本代表として出場したポーランド代表との親善試合でも通用していた。

 麻野の2つ目の長所は俊敏性だ。麻野は日本の長身選手の中でも速く動けるのが強みだと自分でも認識しており、ブロックの横移動時の速さに生かされている。

 2024年にはセリエAのミラノに練習生として参加し、アグスティン・ロセルやマッテオ・ピアノといった世界トップレベルのブロッカーたちと共にプレーをしたことで俊敏性にさらに磨きがかかった。

 麻野は2028年のロサンゼルス五輪でも活躍が期待される次世代のMBだ。

山元快太(日本体育大学/OH/190cm/353cm)

 3人目の注目選手は山元快太だ。

 山元は2024年の全日本インカレで日体大を準優勝に導いたエースで、個人では大会得点王に輝いた。専修大学との決勝戦では日本代表の甲斐優斗と打ち合いを演じていた

 山元は日本代表の石川祐希に似たタイプのOHで、最高到達点353cmの高さを生かしたスパイクが強みだ。

 中学時代から全日本中学生選抜で活躍し注目を集めていた山元だが、仙台商業高校時代は駿台学園に阻まれて全国ベスト8が最高成績だった。

 また、日体大に入ってからもすぐにはレギュラーを掴むことができなかったが、レギュラーの座を掴み取った2024年には、早稲田大を破り全日本インカレ準優勝までチームを導いた。

 山元は世界レベルの高さを誇るスパイクと3年間の努力で安定感が生まれたレセプションに注目のOHだ。

白野大稀(順天堂大学/OH/188cm/347cm)

 4人目の注目選手は順天堂大の白野大稀だ。

 正智深谷高校時代から身長188cmながら最高到達点347cmのハイジャンパーとして注目されていた白野。ムチのようにしなやかな美しいスパイクフォームと、高さにムラのないジャンプが特徴だ。

 順天堂大に進学した後の2024年7月には、U20日本代表に選出されてアジア大会に出場。アジア大会では日本選手よりも高くて強靭なブロックを相手に、持ち前の常に打点の高いスパイクで、敵ブロッカーの手の平を弾き飛ばすブロックアウトとインナースパイクで得点を量産していた。

 U20インドネシア代表との3位決定戦でもOHでスタメンとして出場し、攻守で役割を果たして銅メダル獲得に貢献した。

 ユニバーシアードの日本代表でも、持ち味のジャンプ力を生かしたスパイクでの活躍に期待だ。

川野史童(東海大学/MB/199cm/337cm) 

 5人目は東海大学の川野史童。身長199cmの長身サウスポーMBだ。

 川野は高さを生かしたブロックとバレー歴の長さからくる器用さが特徴の選手だ。

 高校時代は強豪・東福岡高校のエースとしてOPでプレー。パワー不足な面も否めなかったが、持ち前のブロック力と器用さを生かして、前衛ではMBのようにセンターブロックをしてからスパイクをライトから打ち込み、後衛ではバックアタックで活躍。高校3年生時のインターハイではチームを準優勝に導いた。

 東海大に進学後はMBへと転向し、長身とサウスポーを生かしたCクイックと得意のブロックで貢献している。

 代表合宿でも世界レベルの高さと、持ち前の器用さを生かした活躍に期待だ。

山本快(福井工業大学附属福井高校/OP/188cm/330cm)

[写真]=金田慎平

 最後の注目選手は高校生の山本快だ。

 山本は2025年の春高バレーでも世代No.1サウスポーの呼び声高かった選手。OPだがOHのようなオールラウンダーで、攻守共にレベルが高いのが特徴だ。

 攻撃については、前衛では機動力がある時間差攻撃、後衛ではバックアタックを武器にエースとして活躍。さらに、日本代表の宮浦健人を彷彿とさせる、しなやかで強烈なジャンプサーブを持っている。

 また、守備面ではレセプションで広い守備範囲を任されていて、レシーブの後に流れるようにスパイクを打つことも多い。

 攻守共に秀でた山本が、西田有志や宮浦のような攻撃特化のOPか、ポーランド代表のアレクサンデル・シリフカのようなテクニカルなサウスポーOHのどちらの道に進むのかにも要注目だ。