5日、パリ2024オリンピック(パリ五輪)決勝トーナメント準々決勝が行われ、バレーボール男子日本代表は男子イタリア代表と対戦した。
予選ラウンドを1勝2敗で終え、予選8位でなんとか決勝トーナメントに進出した日本。準々決勝の相手となるイタリアは、予選ラウンドで男子ブラジル代表、男子ポーランド代表にも勝利し、3戦全勝で予選を1位通過した優勝候補の一角だ。世界最高峰のセリエAで結果を残した選手が多く名を連ね、2021年の欧州選手権と2022年の世界選手権も制している。
それでも、日本はイタリアとの相性は悪くなく、2022年のネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド、2023年VNL3位決定戦では、フルメンバーのイタリア相手にフルセットの末に白星を挙げている。
予選ラウンドとは違い、決勝トーナメントは負けたら終わりの一発勝負。52年ぶりのメダル獲得に向けて絶対に負けられない日本は、前回のアメリカ戦からミドルブロッカー(MB)の小野寺太志に代えてブロック力に定評のある高橋健太郎を起用した。一方、イタリアはキャプテンのジャネッリやエースのミキエレット、今大会絶好調のロマノなど主力を順当に起用してきた。
そんな両者が激突した第1セットは、序盤からお互いが効果的な強サーブを繰り返す手に汗握る展開となる。イタリアはサウスポーのロマノ、アウトサイドヒッター(OH)のラヴィアなど2m越えスパイカーの強力なサーブが続くが、日本は安定したレセプション、サイドアウト力で迎え撃つ。アメリカ戦では不調だったキャプテンの石川祐希も感覚を取り戻し、石川、髙橋藍、西田有志がまんべんなく決め、幸先の良いスタートを切った。
そんな中、先に前に出たのは日本。ビッグサーバー西田の強サーブが決まりブレイクに成功する。中盤にはついに山内晶大のBクイックが決まると、そこからは止まらない日本。2m11cmと今大会屈指の高さを誇るミキエレットをブロックにかけ、西田のバックアタックなどで着実に点差を広げる。イタリアはミキエレット、ロマノのサーブもうまく機能せず、最後もラヴィアのサーブがミスとなり日本がこのセットを取り切る。
続く第2セットもサイドアウトの応酬が続く。イタリアの強サーブをことごとくAパスにし、セッター関田誠大の多彩な攻撃で相手の高いブロックを切り裂く。イタリアの高いブロックと強力なサーブに対して、日本も強力なサーブと安定したレセプションと多彩な攻撃を見せ、両者の持ち味が発揮された見ごたえのある戦いが繰り返される。
セット中盤、イタリアの強烈なサーブと高いブロックが連続で決まりイタリアに流れが来るかと思われたが、石川の安定したスパイクでリードを許さない。16-17の場面でも石川が圧巻のサービスエースを決め追いつく。そこからは緊迫した展開が続くが、22-23の大事な場面で西田が相手の意表を突くフェイントを華麗に決めると、山本もコート外に大きくはじかれたボールを驚異的なスピードで追いつき、石川が決めきり24-23に逆転する。最後も日本が決めこのセットも取り切った。
3セット目も日本が止まらない。日本は1、2セット目同様にイタリアのスパイクをことごとく拾い上げ決めきる。しかし、イタリアもミキエレット、ラヴィアのサイド陣が決め切り意地を見せる。中盤に入ってもイタリアが高い打点でのスパイクを見せるが、それでも山本、高橋藍のディグが止まらない。
日本は相手のスパイクを決めさせず終盤までリードを保つと、ミキエレットの活躍などで21-21で追いつかれるが。この緊迫した場面で山本がまたもスーパーレシーブを見せ、石川が決めるなどしてマッチポイントを迎える。しかし、世界最高峰のセッターであるジャネッリが、ミスすれば即試合終了のこの場面で見事なサービスエース。そこからデュースまで持ち込まれ、まさかの大逆転でイタリアがこのセットを取り返した。
日本としてはなんとしても取り切りたい第4セットは、序盤から白熱したセッター対決が繰り広げられる。相手セッターのジャネッリはガラッシ、日本のセッター関田は髙橋健太郎を効果的に使いお互い多彩な攻撃を繰り広げ、またも緊迫した展開が続いたが、徐々にイタリアのブロックが日本の攻撃を阻み始める。石川、西田へのマークも厚くなりなかなか決まらない。
この難しい状況に風穴を開けたのが髙橋藍。サービスエース、スパイクを決め切り流れを呼び寄せる。そこからこのセットは少し冷静さを欠いていた日本のレシーブが再び冴え始め、20点台を目前に追いつくが、イタリアも高いブロックと強サーブで安定的にリードを作り先にセットポイントを握る。土壇場で石川が決め切りデュースまでもつれ込むも、最後はイタリアが決め試合はフルセットまでもつれ込んだ。
勝負のファイナルセット、息を呑むようなサイドアウトの応酬が繰り返される。依然高く厚いイタリアのブロックだが、日本はなんとか切り抜ける。ここで日本に勢いを与えたのは西田の豪快なサービスエース。イタリアのリードをイーブンに戻すことに成功した。
そこからはお互いの意地と意地のぶつかり合い。お互いにサイドアウトをまもり13-13で大塚達宣に代わっていた石川を戻す。ジャネッリのサーブが回ってくるも石川が耐えきり、またもデュースまでもつれ込む。日本の全員バレーで何度もデュースを耐えきったが、最後は無情にもネットを超えた日本のレシーブをポトリと落とされ、15-17でイタリアが勝利した。
驚異的なディフェンス力、ここぞという場面ですべて決めきる石川の覚醒などもあったが、強豪イタリア相手に惜しくも敗れ4強入りを逃した日本。準決勝進出を決めたイタリアは、7日の23時から男子フランス代表vs男子ドイツ代表の勝者と対戦する。
■試合結果
日本 2-3イタリア
第1セット 25-20
第2セット 25-23
第3セット 25-27
第4セット 24-26
第5セット 15-17