「2024-25 大同生命SVリーグ」女子を戦うアランマーレ山形。トップカテゴリーにおける前年に喫したシーズン全敗という悔しさを振り払い、今季は着々と勝ち星を積み重ねている。そのA山形で守護神を務めるのが、高卒2季目の工藤真帆だ。
札幌山の手高校(北海道)からA山形に入団した昨季は、主にディグリベロとして起用されたほか、サーブから後衛で3つのローテーションでプレーするなどで出場機会を獲得する。そこから今季はフル出場を果たし、サーブレシーブ返球率ではチームトップの数字を残すと同時に、ディグでも奮闘。文字通り、A山形で“守護神”を担っている。本人も今季のパフォーマンスについて「ディグの面ではこれまで上がらなかったボールが上がったり、サーブレシーブの範囲も広げることができていて、自信がつく部分は増えてきました」と手応えを感じながらコートに立つ。

そうして今年2月に開催された「MUFGオールスターゲーム2024-25石川」には、リーグ推薦で出場を果たした。その晴れ舞台は学びもあったといい、工藤はこのように振り返る。
「私たち(A山形)は全体的にサイズが小さいからこそチーム力で頑張るわけですが、オールスターゲームだと周りには大きな選手もいた分、後衛からの景色もいつもと違いました。そこは拾いやすさも感じたと同時に、日頃から自分たちでコミュニケションをとりながら戦うことの大切さも実感しました。一方で、上手な選手のかけ声もあって、初めて一緒になった選手どうしでもあれだけのバレーボールができることも知れました。いろんな面で学ぶことは多かったです」
以降も自チームでは、フロアディフェンスを支えている。例えば3月8日のアウェー、埼玉上尾メディックス戦。サーブでは相手の前後の揺さぶりにチームとしても苦しんだが、ディグに関しては強打を拾い上げる姿も。
「(味方の)ブロッカーと『抜かせるところは抜かせる』『ワンタッチをとるところはとって』としっかり話し合うことができていました。ただ、ブロックがそろっていても、ボールを弾いてしまう場面があったので。『今のはディグが悪かった』『ブロックをもう少しこちらに寄せて』といった話し合いをもっともっとできればと思います」
入団2季目で、年齢でいえば20歳。チームひいてはリーグ全体でも若手選手の部類に入るが、その口ぶりからは守護神としての強い姿勢がうかがえた。
そんな工藤に北原勉監督も期待を寄せている。今季の成長について聞くと、「いやぁ、もうすごいですよ」と開口一番。試合中には工藤がベンチに引き返すたびに、北原監督が欠かさず声をかける様子も見られる。

「一戦一戦、スポンジのように吸収してくれているので。とはいえ入れすぎても、溢れ出てしまいますから(笑)、そこはバランスを見ながら。現代のバレーボールにおいて、チーム全体のディフェンスラインをコントロールするのはリベロの役目です。その部分に加えて、表情や声かけをどうすればうまくいくか、を伝えつつ、本人にはプレーしながら学んでもらっています。まだまだ若いものですから、これからがほんとうに楽しみです」
シーズンを通してプレー機会が与えられる中、工藤はこのように意気込んだ。
「自分の調子がいいときはみんなのことを考えられていますが、悪い時には少しパニックになって周りが見えなくなったり、やられた場面での切り替えが遅いときがあるので。プレーに波がないような選手になりたいです」
ステップアップの真っただ中。国内最高峰の舞台で味わうすべての経験が、成長の糧となっている。