[写真]=坂口功将

 この「LOVB」に日本人選手が参戦した背景を、リーグでスカウトを担当するダニエル・スコットさんはこう語った。

「このリーグは、バレーボール界の才能あふれる選手たちをアメリカで見られる素晴らしい機会だと私は考えています。そして“次のメジャーリーグ”を目指す、そのための歴史的な初年度だからこそ、非常にすぐれたパフォーマンスを持つ彼女たちにぜひプレーしてほしいと願ったのです」

 なおダニエルさんは現役時代にVリーグ(当時)のパイオニアでプレーし、第8回(2001/02)、第9回(02/03)と2季連続でブロック賞に輝いた実績がある。そうしたゆかりも今回の日本人選手参戦につながった。

 その3人のうち、すでに海外リーグの経験があるのは松井と井上。松井は昨季、ブラジル・スーパーリーガでプレーし、本人が明かすに「次は日本に帰ろうかな」という考えもあったそうだが、結果的にアメリカ行きを決断している。

「リーグ(LOVB)に参加するほかの選手の顔ぶれを見たときに、日本だとこんな選手たちと一緒にすることは絶対にないだろうな、と感じたんです。それに、いざ自分がいきたいと思ったとしても、タイミングが合わないことだって今後はありえる。なら、この機会を逃したらもったいないかも、と後悔しない選択をしました」

 松井がプレーするソルトレイクには女子アメリカ代表のセッターで東京2020五輪金メダリストのジョーディン・ポールターが所属しており、なかなか出番は巡ってこない苦しさを味わった。それでも「近くで見ることが勉強になる」と受け入れながら、同時に「使ってもらうまでの信頼がまだまだ足りないと思うので、もっともっと練習からアピールしなければ。自分が出るチャンスをつかむために」と努力を重ねる日々を過ごす。「チームメートも『たまきのトスは打ちやすいよ』と言ってくれる選手が多いので。そうやって信頼感を高めることが、出場機会にもつながると思うんです」と前を向いた。

 一方で、二枚替えなどでコートに立った際には、ディグで相手に決定機を許さないシーンが光る。その点に関して「ディグはやっぱりポールターよりも絶対によくなければいけませんから」と胸を張った松井。それも一つのアピールであるのは確かだ。

東京2020五輪金メダリストのジョーディン・ポールター(左) [写真]=坂口功将