そのディグをはじめとする守備力の高さは、バレーボール界において日本人選手の強みとするところ。同じソルトレイクに所属するリベロの小島は「LOVB」でも高く評価されており、サーブレシーブ、ディグいずれの数値も常にリーグ上位ランクインしている。2月に開催されたカップ戦「LOVB Classic」のプロモーション動画には「マナミ・コジマの反応速度は、野球のバッターに匹敵する」と名前付きで登場し、前述のダニエルさんも「私の娘が大のお気に入りなんです。アメージングなディグに、『ママ、すごいわ!!』と目を丸くしていました」と称賛した。

小島自身は「LOVB」でプレーする前の昨年9月から、アメリカのプロリーグの一つである「ATHLETES UNLIMITED PRO VOLLEYBALL」に参戦。ただ、そのときからブロッカーが主導となって展開されるアメリカのスタイルにとまどっていた。というのも、日本ではいわゆる「ブロックとレシーブの関係性」を構築して、ときには相手のアタックを“あえて抜かす”ことでディグから攻撃に転じる戦術を敷くパターンがあるのだが、アメリカではブロッカーが「いける」と踏めばアタックを仕留めにかかる。後衛で待っていても、その時々のブロッカーの動きに対応しなければならないのだ。「そこは少しずつかたちになってきて…ですが、ものにできたのは12月くらいでした」と小島は振り返る。
そうしたバレーボールのスタイルの違いは、プレーの引き出しを増やすことにつながっている。その反面、小島は日本のクオリテイの高さを実感していた。
「日本人には日本人のよさがあるとはつくづく思います。例えば、日本ではトスでもパスでも『今のはボール1個、もしくは半個分出して』と細かいところまでこだわりますよね。ですがアメリカは、その範囲が広くて、『だいたいこれぐらい』で許されてしまう。その部分で日本人選手はレベルが高いなと思い知りましたし、今プレーしている場所がアメリカだからといって、それに甘えてはいけないなとも。でないと、自分のレベルがどんどん下がってしまうなと思いますから」
自分自身を常に高いレベルに置くことをいとわない、小島のストイックさはアメリカでも健在だ。