日本バレーボール協会(JVA)は16日、今シーズン限りでバレーボール女子日本代表監督の任期を終えた眞鍋政義監督のコメントを発表した。
2008年から2016年にも女子日本代表を指揮していた眞鍋監督。東京五輪後の2021年12月に5年ぶりに指揮官に復帰していた。復帰当時の心境について、「当時、私に課せられた最大のミッションはパリ五輪の出場権獲得でした。東京オリンピックを10位で終えた日本の女子バレーを復活させるため、覚悟を決めました」と明かした。
就任当時からパリ五輪の出場権獲得を最大の目標としていた眞鍋監督。2022年から2023年の活動については、各年パリ五輪出場につなげるための目標を設定していたという。
「2022年シーズンは、世界ランキングを少しでも上げるためにネーションズリーグではファイナルラウンド進出、世界選手権では第3次ラウンド進出を目標に定めました。結果としてどちらの目標も達成することができ、チームを引き継いだときは9位だった世界ランキングを6位まで上昇させることができました」
「2023年シーズンはサーブの強化を最大の課題として取り組みました。オリンピック予選ではトルコとブラジルに惜しくも敗れ、出場権を獲得することはできませんでしたが、振り返れば2023年シーズンをかけて取り組んだこのサーブ強化が、翌年のネーションズリーグでの銀メダル獲得やオリンピック出場権獲得に繋がったと考えています」
そして迎えた2024シーズン。女子日本代表はネーションズリーグでパリ五輪の出場権を獲得するだけでなく、史上初のネーションズリーグ銀メダル獲得という偉業を果たした。
「今シーズンは、パリ2024オリンピックの出場権がかかるバレーボールネーションズリーグと、その後に控えるオリンピック本大会と、短期間でふたつの大会にピークを持っていかなければならない難しいシーズンでした。それでも、選手、スタッフの頑張りが実を結び、ネーションズリーグ初戦で開催国で当時世界ランキング1位であったトルコにフルセットの末に勝利するなど、1戦1戦世界ランキングのポイントを積み重ね、オリンピックの出場権を獲得するというミッションを達成することができました」
「さらにファイナルラウンドでは、準々決勝でアジアのライバル中国に勝利すると、準決勝では予選ラウンドから準々決勝まで13連勝中だったブラジルを破り決勝に駒を進めました。決勝でイタリアに敗れはしたものの、女子日本代表として10年ぶりに銀メダルを獲得することができました。トーナメント戦での銀メダル獲得は1978年にソ連で行われた第8回世界選手権大会以来であり、このような成績を収められたことを誇りに思いますし、今後の活躍が期待される若い選手たちにとって、たいへん貴重な経験になったと確信しています」
また、今シーズン二つ目の山場であったパリ五輪については、メダル獲得という目標を設定しながらも女子ポーランド代表と女子ブラジル代表に敗れ予選敗退という結果に。大事な場面で得点できなかったことを悔やんだ。
「ネーションズリーグ終了後に選手、スタッフ全員で話し合い、『メダル獲得に挑戦』という新しい目標を設定しました。約1ヶ月という短い期間ではありましたが、最大限の準備をしてオリンピックに臨みました。しかし、オリンピック本大会ではネーションズリーグのファイナルラウンドで見せたような勝負強さを発揮することがなかなかできませんでした」
「初戦のポーランド戦のセット終盤、相手がギアを入れてくるタイミングで我々にミスが出てしまい、セットを取り切れないシーンがありました。ポーランド戦でも、その次のブラジル戦でも『あの1点、あの1本』と悔やまれる場面がいくつもありますが、これが我々の実力だったのだと今は真摯に受け止めております」
パリ五輪を最後に約3年間の任期を終える眞鍋監督。この3年間を振り返るとともに、2028年のロサンゼルス五輪についても言及した。
「東京2020オリンピックからの再起を託された身として、最低限の目標である『パリ2024オリンピックの出場権獲得』という目標は達成することができましたが、自分たちの力を信じて目指したオリンピックの表彰台には手が届きませんでした」
「かねてより対戦国との体格やパワーの差について言及してきましたが、各国の守備力も年々上がっており、簡単にボールが落ちなくなっています。次のロサンゼルス2028オリンピックを目指すチームが世界の強豪国と互角に戦うためには、選手個々の技術、経験を積み重ねることはもちろん、戦術・戦略を磨き上げることが急務です。このチームが3年の間に経験してきた67試合の中で核となる試合を中心にしっかり分析して、次のサイクルを戦うチームへと引き継ぐつもりです」
「3年間、たくさんの選手をバレーボール女子日本代表チームに招集し、ともに戦ってきました。その中には、パリ2024オリンピックを戦ってくれた選手13名だけでなく、これからの活躍が期待される選手もたくさんおりました。未来を担う選手たちに国際経験を多く積んでもらい、日本女子バレー全体の底上げを図っていくことが肝要であると、3年の任期を終えた今強く感じています」
最後に、眞鍋監督はファン、チーム、そしてメディアに対しても感謝の気持ちを述べ、総括のコメントを締めくくっている。
「最後になりますが、バレーボール女子日本代表チームに声援を送り続けてくださったファンの皆さま、ご支援をいただきましたスポンサーの皆さま、我々の活動を受け入れてくださった自治体ならびに関係各所の皆さま、選手の派遣などを通じてご協力いただきました所属チーム、リーグ、大学、高校などの皆さま、そして情報発信を担ってくださった報道機関の皆さま、全ての皆さまに心より御礼申し上げます」