バレーボールアジアチャンピオンズリーグ男子ジャパン2025(ACL)は16日、準々決勝2日目が行われた。グループステージ・プールBを1位で勝ち上がった大阪ブルテオンは、プールC2位のナコーンラーチャシーマーQminC(タイ)と対戦し、セットカウント3-1(25-18、21-25、25-17、25-15)で勝利した。
第2セットはナコーンラーチャシーマーのサーブに攻め込まれ、大阪Bの攻撃を粘り強く拾われた上、ブロックを利用した巧みなスパイクでブレイクを奪われた。大阪Bは今大会初めてセットを落としたが、第3セットは西田有志の、相手の4枚レシーブを切り裂くサービスエースをきっかけに流れを取り戻す。以降は好守備から西田やミゲル・ロペスのスパイクを中心にブレイクを重ねて着々とリードを広げ、勝利した。
第2セット終盤には、後衛に回ったロペスに代わり、大塚達宣が今大会初めてコートイン。丁寧にバックトスを上げ、西田の得点をアシストした。
大塚は昨季までパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)に所属し、今季はセリエAのミラノに移籍したが、ミラノでのプレーオフを終えた後、このACL限定で大阪Bと契約。12日に帰国すると、グループステージの会場だったパナソニックアリーナに直行した。
オファーを受けた決断について、大塚はこう明かす。
「シーズン後も、スポンサーさんへの挨拶だったり予定はあったんですけど、『頑張ってこいよ』と送り出してくれたミラノに一番感謝していますし、ブルテオンがオファーをくれたこともすごくありがたい。このあと代表活動もある中で、もちろん休みも必要なんですけど、休むことによって自分のリズムを壊したくない、コンディションを落としたくないというのがありました。その中で、こうして緊張感のある大会に参加できることは大事なことかなと。1人のバレーボールプレーヤーとして、(パリ五輪後の)この4年間は特に頑張りたいと思っているので、そういう意味でもコンディションをさらに上げていきたい気持ちがすごく強いし、モチベーションも高いので、オファーに対して、プレーで返させてもらいたいと思っています」
背番号は「51」。昨季までは「15」だったが、現在は甲斐優斗がつけているため、1と5をひっくり返した番号をチームが用意した。
古巣で試合に出場するのは約1年ぶりだが、「僕自身あまり違和感がなかったですし、練習に入った時にも、チームメイトのみんなが『あんまり違和感ねーな』と言ってくれたので、自然と溶け込んでやらせてもらえた」と笑う。
ミラノでは、プレーオフで最終的に先発を勝ち取ったが、シーズン前半はベンチに控えることが多かった。そんな時も大塚は、コートからベンチに戻ってくる選手を真っ先に迎えたり、タイムアウト明けにはコートに戻る選手全員に声をかけて送り出すなど、チームのためその時できることに力を尽くし、だからすぐにチームに馴染むことができた。
この日のACL準々決勝でも、ベンチにいる時間は同じようにチームメイトとコミュニケーションを取り続けた。
ただ、まだ時差ボケがあったり、試合へのリズムの作り方もミラノと大阪Bでは違うため、日本のリズムに合わせようとしている段階だ。
「僕はコート内でいいエネルギーというのは出せると思うので、とりあえず中に入ったら元気よく、何か変えられたらいいなと。(監督の)ティリさんには、準々決勝は少しずつ、準決勝以降は、スタートで出るかどうかは別にして、自分の状態を100%近くに持っていくことを目指してほしいと言われています」
イタリアで成長した部分をどう見せたいかと聞かれると、気負うことなく言った。
「向こうとこっちではバレーも違いますし、イタリアでやっていたからって、こっちが簡単というわけではない。本当にまた一から作っていかなければいけないものなので、いろんな選手に聞きながら、アドバイスをもらいながらやっていきたい。この大会は、イタリアでやってきたことを見せる場というより、継続して自分を強くするためにやる、ということだけ考えています」
変わらぬ謙虚さと向上心を持って、目の前のチーム、目の前の試合に真摯に向き合う大塚がいる。
準決勝に進出した大阪Bは17日にフーラード・シールジャーン・イラニアン(イラン)と対戦する。フランス代表として2大会続けて五輪金メダルを獲得したイアルバン・ヌガペトなどを擁する強敵だが、この試合に勝って決勝進出を決めれば、12月に開催予定の世界クラブ選手権の出場権を手にすることができる。アジアの頂点を目指す戦いは、いよいよ佳境を迎える。