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 バレーボールアジアチャンピオンズリーグ男子ジャパン2025(ACL)は18日(日)に決勝が実施され、大阪ブルテオンがアル・ラーヤン(カタール)と対戦。0―3(19―25、20―25、17―25)で敗れ、準優勝で大会を終えた。

 上位2位以上の成績が確定したため、世界クラブ選手権の切符を獲得した大阪B。とはいえ、「(世界クラブ選手権への)出場が決まったのは嬉しいことですが、あくまでも優勝を目指してやってきたので。非常に悔しい思いです」と試合後に唇を噛んだのはリベロの山本智大だった。

 決勝ではアル・ラーヤンの高さとパワーあふれる攻撃を前に受け身に回り、攻めても攻略できず、苦しい時間帯が多かった。そのなかでも山本は常にチームメートへの声かけを欠かさなかった。「アタックに関しても一発で決めようとしてブロックされるケースが多くありました。例えば富田将馬選手には『リバウンドをもらってから逆サイドへ振るなど、自分たちの優位な枚数で攻撃すればいいから』と声をかけてはいたのですが、相手のブロックとディフェンスが機能していたので、そこは難しかったです」と山本。またSVリーグを含めたクラブシーズンでは稀である“三連戦”も少なからず響いた。

「一人一人が疲れているな、という印象はありましたね。僕自身、もちろん疲れていましたが、もうやるしかない!と思ってプレーしていました。それに三連戦は代表活動のネーションズリーグなどでは平気でありますから。試合が続くなかでのメンタリティやコンディションづくりをもっともっと大事にして、一人一人が取り組んでいく必要があると感じました」

 とりわけチームが決勝で苦しんだのは相手のサーブ。アル・ラーヤンには2024-25 大同生命SVリーグでトップサーバーに輝いたニミル・アブデルアジズやイタリア・セリエAの2024-25シーズンで最多得点をマークしたノーモリー・ケイタなど強力なサーブの打ち手がそろっていた。山本も試合開始早々、ニミルの弾丸サーブを弾いてエースを許している。SVリーグでもまざまざと味わってきたが…。

「自分が弾いたサーブはおそらく無回転で飛んできたんです。速さはもちろん、めちゃくちゃボールがぶれるので、腕の面に当てようとしても肘に当たるという…理解できない現象が起きていましたね。普通でない速さに加えて、ボールの回転の悪さ、そして何より勝負所で入れてくるのが素晴らしい。やはりニミル選手のサーブはトータルで世界ナンバーワンという印象です」

 そうは言っても、ニミルが世界トップサーバーならば、山本は世界トップリベロである。その1本を許してからはニミルのサーブに対して、「打球が速いので、しっかりと腕を早く出して準備することを意識した」と自身はエースを許さなかった。

 今大会ではベストリベロに選出された山本。だが、その喜び以上に、自身の現在地を見定めてきっぱりと口にした。

「獲って当たり前、じゃないですけれど、ここまでのレベルにくるとアジアでは絶対にトップにいなければならない、と個人的には思っているので。(ベストリベロは)とても嬉しいことですが、もっともっと成長できる部分は少なからずある。満足することなく、さらにレベルアップしていきたいです」

 アジアの頂点を決める戦いは幕を閉じた。ここからは代表活動が始まり、世界に身を移す。やがてクラブとしても、次は世界クラブ選手権に臨むことになる。クラブシーズンを終えて「ぼちぼちは休めそうです」とほほえみながらも、守護神の瞳はギラギラとしていた。