[写真]=須田康暉

 「2030年に世界最高峰のリーグになる」を掲げて、新たにスタートしたバレーボールの国内トップカテゴリー「SVリーグ」。その初年度となった2024-25シーズン、女子は前身のV.LEAGUE DIVISION1から新たに2チームを加えた14チームによって争われた。なおレギュラーシーズンの試合数は1チームあたり44試合に設定され、その上位8チームがチャンピオンシップに進む形式が採用された。

 レギュラーシーズンで好スタートをきったのはデンソーエアリービーズで、開幕から無傷の9連勝。「例年以上の試合数が多く、後半になれば戦いも熾烈になる。だからこそ、序盤で貯金をつくりたかった」と辻健志監督は語り、以降も着実に勝ち星を伸ばしたデンソーは4位でチャンピオンシップに臨んだ。

 その激しいレギュラーシーズンを制したのは大阪マーヴェラス。連敗はデンソーとの第4節のみで、最終的な黒星の数は7。全チームで唯一の一桁と、数字のうえでもその力は抜きん出ていた。

 レギュラーシーズン2位は前年度リーグ女王のNECレッドロケッツ川崎。3位には北窓絢音や深澤めぐみといった若手の台頭が見られたSAGA久光スプリングスが続く。5位は週末の2試合をまるで別のチーム構成で戦う“ターンオーバー制”を敷いた埼玉上尾メディックスで、6位はシーズン途中の令和6年度皇后杯全日本バレーボール選手権大会で初優勝を飾ったヴィクトリーナ姫路。年明けから12連勝をあげた東レアローズ滋賀が巻き返しの7位、そしてチャンピオンシップの最後の1枠はAstemoリヴァーレ茨城がつかみとった。

 チャンピオンシップも各カードで拮抗した戦いが繰り広げられたなか、ファイナルの舞台に到達したのは大阪MVとNEC川崎。前年度のリーグファイナルと同じ顔合わせとなった。有明アリーナで開催されたファイナルは、そのGAME1で開始早々に大阪MVが8-0と大きく引き離す展開に。対するNEC川崎は今季のチームそして日本人選手最多得点をマークしたエースの佐藤淑乃が封じ込まれ、手も足も出ず。誰もが予想だにしなかったワンサイドゲームでGAME1をものにした大阪MVが、続くGAME2も制して見事、初代SVリーグ女王の座に。チャンピオンシップMVPには、豊富な経験に裏付けされた安定感抜群のパフォーマンスが光った田中瑞稀キャプテンが選ばれた。

[写真]=須田康暉

 大阪MVが個々の高い能力はもちろん、組織としても際立った強さを備えて頂点に立った2024-25シーズン。チームの大黒柱を担った林琴奈がレギュラーシーズンMVPを受賞。表彰の場として新たに設けられた「SVリーグアワード」では仲間に感謝し、トロフィーを手に満面の笑みを浮かべた。技術統計に目を向けると、東レ滋賀のオポジット、シルビアチネロ・ヌワカロールが2年連続そして女子選手では唯一の大台突破(総得点1047)でトップスコアラーに、同じく東レ滋賀のジュリエット・ロホイスがトップサーバーに輝く。またAstemoのブリオンヌ・バトラーがトップスパイカーとトップブロッカーの個人二冠を手にした。そのように外国籍選手がずらりと並ぶなか、トップサーブレシーバーのタイトルはデンソーの川畑遥奈が獲得。大卒で入団2季目ながらチームではキャプテンを務め、個人としても高いパフォーマンスを発揮した。ファイナルでは涙を飲んだNEC川崎の佐藤も最優秀新人賞に選ばれ、SVリーグアワードでは「引き続き成長し続けたい」と意気込みも。2025年度の女子日本代表でもエースとして存在感を放っており、これからのバレーボール界を引っ張っていくヒロインとして期待が寄せられる。

[写真]=金田慎平

 そうして、すでに各チームは次のシーズンにむけて動き出している。とりわけ2024-25シーズンでチャンピオンシップに届かなかったチームは新体制や新加入選手の姿も見られる。レギュラーシーズン9位のクインシーズ刈谷はこれまでSAGA久光を指揮していた酒井新悟監督がヘッドコーチに就任。10位のPFUブルーキャッツには横田真未と西川有喜、12位のKUROBEアクアフェアリーズには中川美袖らが国内移籍を果たした。11位の岡山シーガルズは長年チームを支えた功労者の宇賀神みずきや金田修佳、楢崎慈恵といった面々が現役を退き、長瀨そらを新キャプテンに据えて新たな船出をきる。さらに新体制でいえば、SAGA久光は東京2020五輪まで女子日本代表を率いた中田久美氏が9年ぶりに監督として復帰、また大分の名門・東九州龍谷高校で輝かしい実績を残してきた相原昇氏がAstemoの監督に就任したことが話題を呼んだ。

 その2025-26シーズンは変わらず14チームで争われる。2024-25シーズンで待望のトップカテゴリー初白星を手にした13位のアランマーレ山形や、初のトップカテゴリーで開幕35連敗と苦しんだ14位の群馬グリーンウイングスもこのオフシーズンで力をつけて、きたる戦いへの準備を進めていることだろう。

 思えば、この2024-25シーズンも上位勢は総じて力関係が拮抗していた印象だった。大阪MVやNEC川崎らファイナリスト常連が強さを継続するか、はたまた新たなチームが飛躍を遂げて食い込んでくるか。1年後、SVリーグ女子ではどのような勢力図が描かれているか、今から楽しみである。

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この記事を書いたのは

坂口功将

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