[写真]=大塚淳史

 中国の男子強豪チーム・保定沃隷男子排球倶楽部(以下、保定)が来日し、8月10、11日とSVリーグ男子の日本製鉄堺ブレイザーズと大阪の日本製鉄体育館で親善試合を行った。8月10日は1−3(20-25、19-25、25-21、24-26)、11日は1−3(20-25、19-25、25-15、15-25)という結果だった。外国籍選手が不在で、中国人選手のみの若手選手中心のメンバーで試合にのぞみ、2戦ともブレイザーズの粘り強い守備に終始苦戦していた。ただ、身長2m前後の選手が多く、身体能力が高い選手の多い保定のプレーは迫力があり、要所要所で会場の観客を驚かせていた。昨シーズン、東レアローズ(現・東レアローズ静岡)に所属していた徐克が、保定の一員として来日していたが、ケガのため2日間とも出場しなかった。

存在感抜群だった保定チーム若手MBコンビ

身長2mを超えるミドルブロッカーの陳佩鈺 [写真]=大塚淳史
21歳の王浩田(背番号6) [写真]=大塚淳史

 両チームとも、シーズン前まで約2カ月の準備段階の時期ということもあって、調整試合の要素が高かったが、互いに持ち味を出した。特に保定は、22歳の陳佩鈺と21歳の王浩田の身長2m超えミドルブロッカーコンビが、何度もブロックを決めて存在感を見せつけていた。

 昨年イランであったアジア選手権で中国代表に初選出されている陳佩鈺は、10日の試合後場内インタビューで「初めて日本のホームゲームのような雰囲気を体験できて嬉しい。1セット、2セット目はサーブで攻めることができずに堺に取られたが、3、4セット目はサーブに注力して攻めることができた。4セットを通して課題点を見つけられた。いつも練習していたブロックについては十分発揮できた。(ブレイザーズは)素晴らしいチームで、特にサーブレシーブが安定していて、こちらがもっと攻める必要があった」と振り返っていた。

 また、2日間で高いブロック、打点のスパイクを何本も決めるなど、鮮烈な印象を与えていたのが王浩田。ブレイザーズは保定の高いブロック陣を避けるため、両サイドにトスを振り分けたりしていたが、王浩田がきっちりついていってブロックシャットであったり、ブロックワンタッチを取り続けて、ブレイザーズを何度も苦しめていた。今年4月に中国代表の監督に就任した名将フィタル・ヘイネンの最初の代表合宿でも招集されている期待の若手だ。

 取材対応してくれた王浩田は「(ブレイザーズは)レシーブがとても良かった。ネットの際の細かいプレーが良かったので、こちらが少しでも気を抜くとやられた。今回初めて日本に来ました。試合をやって色々経験することが良いと思う」と感想を述べていた。

 あまりにインパクトが大きい活躍ぶりだったので、将来的な日本のチーム入りは興味がありますかと問うと、思わぬ質問だったのか困った様子で「実力的にそこまでいっていないと思う。今まずは日々の練習をまず頑張ります」と謙虚に答えた。

謙虚に取材に答えた王浩田 [写真]=大塚淳史

 ウルフドッグス名古屋の王東宸、サントリーサンバーズ(現サントリーサンバーズ大阪)に所属した彭世坤など、この数シーズン、優勝争いするチームでは中国代表のミドルブロッカーを獲得するのがトレンドとなっていた。アジア枠から中国が外れたため(中国は通常の外国人枠になった)、新シーズンから始まるSVリーグではそういった動きは見られなかったが、王浩田のプレーの質を見ると今後狙うチームが出てくるかもしれない。

往年の中国代表名セッターは引退からの現役復帰で活躍

オポジットとして活躍した邵博強 [写真]=大塚淳史

 8月11日の試合で目立ったのはベテラン選手たちの活躍だった。なかなかコンビネーションがかみ合わない保定は、第2セット途中から28歳の邵博強がオポジットに入ると、195cmながらコースを上手く打ち分けて得点を重ねてチームを後押しした。

 試合後の場内インタビューに登場し「2セット目からの出場とかにはなりましたが、体力的に、細かいプレーで質を高めたかった。堺ブレイザーズの攻撃が速くて、ブロックのシステムもレシーブのシステムもついていけなかった。自分たちの足りないことがわかりました。これから中国に戻ってたくさん練習していきたい」と振り返った。また、日本の試合会場の雰囲気に感銘を受けたようで「この2日間を通して、会場の雰囲気、皆さん、ブレイザーズの関係者、DJの皆様から日本の良いバレーを感じさせてくれました。中国でもこういう雰囲気を味わえればと思う」と感謝していた。

 そして、スタメンセッター魏伯霖に代わって途中出場で何度もチームの攻撃のリズムを整えていたのが34歳のセッター李潤銘。10年以上に渡り中国代表として活躍した。198cmの高さを生かし、高い位置から柔らかいトスを上げていた。ただ、近況を調べると、広東省の名門・中山大学の監督と出てきたので、試合後に李潤銘を問うと「1度引退したのですが、チームから要請を受けて現役復帰しました」と笑った。中国トップクラスの進学校で知られる中山大学だが、バレーボールでも大学チャンピオンという。

 保定チームのある河北省保定市は、北京市の南西に約160kmに位置するが、保定市と中山大学のある広東省広州市は距離にして約2000kmもある。新シーズンでも選手登録しているとのことで「両方を行き来しています」と大学チーム監督とトップリーグ選手の二刀流に挑戦する。

10年以上に渡り中国代表として活躍したベテランセッターの李潤銘 [写真]=大塚淳史

 今回の海外遠征はとても印象的だったようで「(代表チームでの来日はあるが)クラブチームとしての来日は初めて。こういった経験は良かった。クラブ以外に、(日本と中国で)学校レベルでこういった交流をやってるようなので、今度は自分が大学を引き連れて来日したい」と話し、「非常にまた来日したい。必ず来ます!」と強調していた。

 昨シーズン東レアローズに所属した徐克のプレーも見てみたかったが、6月の中国国内の全国大会で大活躍した際に足首を負傷してしまったとのことだった。ただ、既に普通に歩ける状態でチームにも帯同し、声を掛けた際には片言の日本語を交えながら話してくれた。

 保定チームは本来、9月にイランであるアジアクラブ選手権に出場し、同グループのウルフドッグス名古屋と対戦の予定だった。この遠征もアジアクラブ選手権に向けた場になるはずだったが、イスラエルやイランなどの国際状況が不安定なこともあり「参加取りやめ」との指示が国からチームにあったそうだ。(8月27日にウルフドッグス名古屋も同大会への参加辞退を発表)

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この記事を書いたのは

大塚淳史

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