[写真]=須田康暉

 いよいよ開幕が迫った2025バレーボール男子世界選手権(世界バレー)。今回は世界バレーをより楽しめるように、男子日本代表の選手たちを解説していく。

 まだ大会の出場メンバーは発表されていないが、大会前の壮行試合に参加している15選手を、ネーションズリーグ(VNL)2025のスタッツを基に特徴をまとめている。

 選手を知ることでみなさまの観戦がより楽しいものとなってくれたら幸いだ。

①怪我でも大エース/石川祐希

[写真]=須田康暉

 石川は世界最高峰の攻撃力を誇る日本エースだ。バレーIQと技術力が世界トップクラスで、状況に応じてベストな攻撃をチョイスする頭脳派プレイヤーだ。

 VNLでは1試合あたりの平均総得点が12.25点と、日本人OHではトップを記録。アタック決定率も47.12%とOHでは2番目に高く、エースとしての役割を果たした。

 しかし石川の本来の実力はこんなものではない。なぜならVNLの石川は2つのコンディション不良を抱えていた。まず代表に合流したVNL第3週は肩に痛みがあって、7〜8割の力でスパイクを打ってることを公言していた。実際にVNLでは120km台のサーブが出ていない。

 さらに第3週が終了した後の練習で、右足太ももの肉離れを発症した。ファイナルラウンドのポーランド戦は出場できるかどうかの瀬戸際で、試合の2日前にようやくスパイク練習を始めたそうだ。

 その中でも、ポーランド代表戦では日本のキャプテン兼エースとしてチーム内2位の11得点の活躍を果たした。

 世界バレーでは、コンディションが上がった石川の世界トップクラスの攻撃プレーに注目だ。

②エース&リベロ髙橋藍

[写真]=須田康暉

 髙橋はエースとリベロが合体した夢のような選手だ。石川には日本の攻守の要と評されている。

 VNLの攻撃面では1試合あたりのアタック決定本数は11.20本で、OHでは石川に次ぐ2番目の記録。守備面ではディグがOHトップの1試合あたりの本数が7.8本。レセプション返球率も富田将馬に次いで2番目だった。

 髙橋はこのオールラウンドさで、試合によってエースにもリベロにもなれるのが強みだ。

 例えばVNL予選のアルゼンチン代表戦の髙橋はエースだった。石川の調子が上がらずアタック決定率が低かった中、髙橋がアタックを決め切り、チーム内2位の得点で日本を勝利に導いた。

 逆にVNL準々決勝のポーランド戦での髙橋はリベロだった。髙橋はセッターとのコンビが合わず思うようにアタックが決まらなかったが、石川と宮浦健人のWエースの調子が良かった。

 そこで髙橋はリベロ並のレシーブ力を生かして守備に専念してチームに貢献した。トスが上がってきても、無理をせずにリバウンドを取ることを徹底して、チームの攻撃態勢を整えていた。

 このように試合状況に合わせてエースにもリベロにもなれるのが髙橋だ。世界バレーでも試合の流れを読んで自分の役割を変えられる髙橋のオールラウンドさに注目だ。

③ノーミス王大塚達宣

[写真]=Volleyball World

 大塚はOHで最もミスが少ない選手だ。アタック、サーブ、ディグの1試合当たりのミス数がOHで最も少ない。

 特にアタックはミスが少ない上に、決定率も51.8%とOHトップだ。VNL2週までは石川、髙橋が不在ということもあり、2段トスも多く託された中でこの記録は驚異的だ。

 大塚のアタックが好調な理由は、スパイクフォームの改良だ。昨季セリエAに挑戦して外国人選手と比べて自身のパワー不足を痛感したという。

 大塚はより体重を乗せたスパイクを打つために、以前よりボールを前で捉えるスパイクフォームに改良。球速が上がって、ブロックやレシーバーを弾き飛ばして得点する場面が明確に増えた。

 さらにこのフォームの改良は球速以外にも思わぬ収穫があった。

 それはコース幅が広がったことだ。フォームを改良する前の大塚は石川が打つようなラインギリギリのストレートを苦手としていた。

 改良以前はボールに被り気味で窮屈そうにストレートを打っていたが、改良後は力強くストレート叩きつけていて、大塚の決め球になっている。

 大塚が出場した時は、以前から強みだったミスの少なさに加え、セリエAで身につけた力強さとストレートへのラインショットに注目だ。

④世界トップのレセプション精度富田将馬

[写真]=須田康暉

 富田はアタック、サーブ、レシーブ全てが一級品で、どんな場面でも起用できるスーパーサブだ。

 特に富田のレセプションは世界トップクラスの腕前だ。VNLベストレシーバーランキング(レセプションのAパス総数)では15位を記録した。さらにTOP15の中で、富田のレセプション返球率(37.31%)は1位だった。

 富田がレセプションをしたら約4割の確率でAパスになるという驚異的な数値だ。レセプション精度の世界トップは富田と言っても過言では無いかもしれない。

 また今年の富田は守備だけではなく、攻撃面での活躍も目立っている。

 サーブは1試合あたりのエース数が0.46本と、OHでは甲斐優斗に次ぐ数値だ。途中出場からキレのあるジャンプサーブをミス少なく叩き込んでいる。

 アタックでも軟打や高速トスを武器に、敵と真っ向勝負をしない打ち方で高い決定率を記録している。特に石川に代わって途中出場したアルゼンチン戦ではアタック決定率57%を記録し、チームを勝利に導く立役者となった。

 世界バレーでも、世界トップのレセプションと強烈なサーブ、緩急つけたアタックでどんな場面でも活躍する富田のプレーに注目だ。

⑤レオンクラスのビッグサーバー甲斐優斗

[写真]=須田康暉

 甲斐は今回のVNLで世界トップクラスのサーバーであることを証明した。

 甲斐のサーブの数値が、世界トップサーバーの1人である男子ポーランド代表のウィルフレド・レオンとほぼ同じだったからだ。

 VNLの甲斐は83本のサーブを打って11本のサービスエースを奪った。一方でレオンは87本打って12本のエースを奪った。

 両者の打数とエース数は近く、サービスエース率は約13%となっている。この数値だけを見れば、甲斐のサーブの脅威度はレオンと同レベルと言えるだろう。

 また、サーブ以外ではアタックでの活躍も目立っていた。特にVNL第1週のポーランド戦では、最多18得点でアタック決定率は62.5%を記録した。

 甲斐は日本のOHでは最長身の200cmの高さを生かしたスパイクが武器だが、トスに自分から合わせに行く技術も高い。実際にポーランド戦ではコンビを合わせた時間が短い下川諒と、高難易度のパイプを何本も強烈に叩き込んでいた。

 世界バレーでは甲斐の世界トップクラスのサーブと高さを生かしたアタックに注目だ。

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この記事を書いたのは

まつはす

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