⑫次世代セッター/永露元稀

永露はサーブとブロックが強みの次世代セッターだ。
現代バレーのトップセッターは大きく2つのタイプに分けられる。
①背は低いがトスとレシーブに優れたセッター
②背が高くて、ブロック、アタック、サーブで得点力があるセッター
近年は②のセッターにトスの技術が備わり正セッターに定着し、①のセッターは2枚替えやゲームチェンジャーとして起用するというチームが増えている。
そして永露は日本が待ちかねていた②のタイプのセッターだ。
VNLファイナルのポーランド戦では、その強みを存分に発揮した。
世界トップスパイカーの1人であるレオンからサービスエースを奪い、ブロックでは2度スパイクを阻むことでレオンを交代まで追い込んだ。
永露のセッターとしてのトスについて、ロラン・ティリ監督はシンプルなトス配分だと評していて、サイドアタッカーを中心に要所でセンター線を使う。
世界バレーでも高身長を生かした攻撃力と、打ちやすさを重要視していると語るサイドアタッカーを中心としたトス回しに注目だ。
⑬ザ・セッター/大宅真樹

永露が現代の攻撃的セッターなら、大宅は従来のトスを武器とするセッターだ。
トスのコントロール力とセンター線を積極的に使うトス配分が特徴的だ。
大宅は永露と比較して、SET(ブロックを1.5枚以下にしたトスと、2段トスの精度を評価する数値)の数値に優れている。
SETは大宅が37.45%、永露が29.14%となっている。
そして大宅は今季の日本代表に並々ならぬ覚悟をもって臨んでいて、正セッターに定着したいと公言している。
実際にVNLでの大宅は第2週まではほぼ全ての試合に先発出場。強みであるトスの精度を生かして、毎試合スタメンが代わるスパイカーを操り勝利に導いた。
しかし第3週からは永露にスタメンの機会が与えられ、逆に大宅が長い時間プレーしたセットは敵に全て奪われる結果となった。
そんな中でも大宅はドイツ戦でスタメンに選ばれた永露には「お前のペースでやればいい。交代したいなら交代するし、ずっと出たいなら出ればいい。もっと気持ち強くもっていけ」と頼もしい声をかけている。
スパイカーだけではなく、ライバルにまで献身的なその姿勢は、チームを回す役割であるセッターの鏡だ。
世界バレーではVNLで溜まった鬱憤を晴らすような大宅の活躍に期待だ。