今年8月4日〜7日に関東圏で開催された「スミセイVitalityカップ JVA第45回全日本バレーボール小学生大会」。全国各地から各都道府県の男子、女子それに混合を合わせて計152チームが出場した。

 今年で45回の節目を迎えた小学生世代のバレーボールの全国大会。8月4日に京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で実施された開会式では、例年とは異なる光景が見られた。

 まずは参加人数。これまでは1チームあたり12名が登録の上限だったが、今年から「一人でも多くの子どもたちに全国大会を味わってほしい」との意向から14名に拡大された。次に、大会のアンバサダーを務める木村沙織さんを筆頭に、狩野舞子さん、江畑幸子さんという元女子日本代表のオリンピアンが開会式に出席。参加選手たちへエールを送ったほか、抽選で選ばれたチームとボールをパスする企画も設けられた。

 そうした光景を目にして、日本小学生バレーボール連盟の工藤憲会長は話した。

「これまでのように儀式的なセレモニーではなく、小学生らしい、ほんのり温かくなるような開会式になったと感じています」

 その工藤会長が「大会を運営していくうえでも、やはり大きなこと」と語ったように今年の大会における最も大きな変化が、冠スポンサーがついたことだ。今年から住友生命保険相互会社(以下、住友生命という)が特別協賛として加わり、大会名も「スミセイVitalityカップ」と銘打たれたのである。これは大会の歴史としても第35回大会以来、実に10年ぶりのことだった。

 それはバレーボールという競技への関心の高まりを意味していた。日本バレーボール協会の川合俊一会長は今回の特別協賛を喜ぶ。

「バレーボール界としてもただスポーツをやるだけでなく、競技を通した環境の整備や普及活動を行うことで地域貢献をしていきたいと考えています。とりわけ近年は日本代表が国際大会で頑張ってくれているおかげで、スポンサーや支援を希望する声を多く頂戴しています。

 その一方でバレーボールが発展していくうえで、小学生はもちろんのこと、若年世代の育成は大切になってきます。そして子供たちの大会となれば、保護者の方々も会場に足を運びます。この『スミセイVitalityカップ』にしても、親子で楽しめる大会なんですよね。バレーボールという競技のよさを感じてもらい、そうして今回、住友生命さまに協賛をいただきました」

 川合会長が驚いたのは、今回の特別協賛が全国大会だけでなく、各都道府県予選大会も対象となったこと。実際に福岡県大会に足を運んだ川合会長は目を丸くした。

「スポンサーがついたからこそ生まれた活気を感じました。ボールもご提供いただき、運営側も喜んでいました。それに子どもたちも選手宣誓では(冠名にちなんだ)『Vitality』という言葉を使ってくれましたね(笑)」

 もっともそれは、協賛する側としてもねらいとしていた部分だった。全国大会だけでなく、全国各地の大会も含めて、以前から住友生命は各地方で行われるマラソン大会など健康増進活動と親和性のあるイベントへの協賛を行ってきた。全都道府県それに幅広い世代を網羅しているスポーツ、それがバレーボールだったのである。住友生命としては全国各地に営業拠点を構え、そこでは「地域とつながり、単なる保険会社としてではなく、社会の一員として必要とされる」ことを掲げている。今回の都道府県予選大会も含めた協賛は、バレーボールをきっかけの一つとして地域におけるつながりを深めることを目指すものでもあった。

 と同時に、住友生命がスポーツとマッチした背景には、2018年から展開する健康増進型保険”住友生命「Vitality」”がある。これは「運動や健康診断などの取組みをポイント化して評価する」仕組みを取り入れた商品。従来の「リスクに備える」ことだけでなく「リスクを減らして健康を促す」ことにも重きを置いており、いわば保険の概念を変えるものといえる。

 現在、平均寿命の延びに対して、健康寿命はそこに追従できていないことが社会的課題にある。そこで昨今、肉体的・精神的・社会的と幅広い面で健康でいられる「ウェルビーイング」の考え方が広まり、住友生命としてもそれらを広めることを社会貢献と考えているのだ。

 そこで”住友生命「Vitality」”は健康増進という観点から、まずは「自身の健康状態を知ってもらうこと」をスタート地点にしている。これまでだと保険は“万が一”の際に、保険金が支払われるのが一般的だった。けれども、昨今は平均寿命が延びていく傾向にある。単純に長生きするだけではなく、心身の幸福感や日々の充実感を伴う人生を送るためには健康であってこそ。その応援をするために”住友生命「Vitality」”は誕生した。

 その特徴は、所定の運動が保険料の変動につながったり、健康増進を応援する短期のプログラム等を通じて楽しく運動に取り組める仕組みも備えていること。健康との向き合い方によって人それぞれ多彩な保険へと変化し、これは見方を変えれば、住友生命が考える一人一人に寄り添った保険を提供することを実現しているといえるのだ。

 今回の「スミセイVitalityカップ」では会場内のブースで血管年齢の測定や体組成計を設置、さらには子どもたちに握力計をにぎってもらうなど、自分の体や健康状態を知る一つのきっかけづくりをバレーボールの現場で実現させた。

 もちろん大会そのものは、小学生たちの頑張りが各コートできらりと光った。住友生命の担当者は大会の模様をこのように振り返る。

「見ていて、感動しました。声をかけあって、ボールを拾って、選手同士で励まし合う。その姿を観客席から保護者の方々が一生懸命に応援する。胸を打たれるものがありました。健康であること、そしてそこに寄り添うという点でも保険は運動と親和性が高いですから。運動を促進しているなか、とてもいい協賛ができたと感じました」

 全国各地から集った1000人近くの小学生たちが汗を流した4日間。大会のアンバサダー、木村さんは開会式に出席後の取材で自身の体験を踏まえて、こう語った。

「この大会に参加された小学生たちはこの先もバレーボールを続ける子もいれば、そうではない子もいるでしょう。ですが、こうしてみんなで頑張った経験は今後の人生で生かされると思います。

 それに私はバレーボールを通して、たくさんの仲間と出会えました。バレーボールを始めた小学生のクラブでは他校の子と仲良くなり、中学高校では全国で友達ができ、海外でプレーしたときには外国の友人もできました。仲間がたくさん増えたこと、それはいちばんの財産です」

 バレーボールは若年層に始まり、いわゆる「ママさんバレー」や「(50歳以上の)ヴィンテージ」に代表されるように年齢を問わず、いつまでもプレーすることができる“生涯スポーツ”としての側面を色濃く持っている。そしてプレーする者、見る者、支える者、寄り添う者…バレーボールはそこで皆がつながる。いつでもその時間を、その機会をともにすることを。それはバレーボール界に携わるものの願いといえるだろう。川合会長は話す。

「バレーボールは人と人の距離が近くて、みんなでやらないとできないスポーツなんです。いいレシーブを上げて、いいトスを上げて、いいアタックを打つ。そこでは必死でボールを返して、つないで、お互いにカバーし合わせなければならない。信頼関係を築き、相手を思いやることを学べる競技だと私は考えています。

 そうしてずっと励んできたわけですが、引退してからは自由に生きていますよ(笑)。たくさんの仲間に支えてもらいながら、今は仕事も遊びも楽しくやれています」

 にこりとほほえむ川合会長の姿は、スミセイVitalityカップでプレーする小学生たちに負けないようなバイタリティに満ち溢れている。それは心身ともに健康であるからだろう。「ウェルビーイング」であればこそ、なのである。