公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)は10日、女子日本代表のシーズン総括記者会見を行った。
女子の日本代表としては初めての外国人監督となるフェルハト・アクバシュ監督を招へいした2025年。ネーションズリーグ(VNL)2025では4位、世界選手権でも4位という結果を残した。
アクバシュ監督はVNLの開幕当初、「チームをより向上させるところに注力した」と語り、結果にこだわるよりもチームとしての基盤を固めることに重点を置いていたことを明かした。その意図通り、日本はVNLと世界選手権を同じメンバーで戦い抜き、限られた時間の中でチームとしての成熟度を高めていった。世界選手権では和田由紀子や佐藤淑乃のケガといった困難にも見舞われたものの、準決勝まで進出したことは「とても素晴らしい結果」であったと評価。メダルにはあと一歩届かなかったものの、「明るい将来が見えた」と語り、若くして国際舞台で力をつけたチームの未来に大きな期待を寄せている。
アンダーカテゴリーを中心に女子の日本チームを見てきた安保澄副委員長も、アクバシュ監督就任後の最も大きな変化として、選手たちが「相手チームと非常に接近した点差の戦いの中でも選手たちがその場面をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに捉えてここで何をすべきかの選択が非常にアグレッシブだった」点を挙げた。
アクバシュ監督は、このアグレッシブでポジティブな姿勢を育むため、「とにかく試合中はコミュニケーションを取ろうとすごく努力してきた」と言う。試合中だけでなく、「準備の段階、練習の段階、またビデオミーティングでもしっかりとコミュニケーションを取ること、交流をしっかり図っていくこと」を特に重視したようだ。また、「一番注意していたのは耳を傾けるということ」とアクバシュ監督。「私1人で決定を下すのではなくチーム全体で決定を下していく」という方針を貫いた。
これにより、選手たちは「自ら解決策を見つけ、ポジティブで前向きな良い雰囲気でプレーする習慣」を身につけることができたと監督は分析している。監督はあくまで選手を「サポートする立場」であり、計画通りにいかない時こそ「プランBやプランC、あるいは何か調整を加える」 必要があるため、選手との「協力とコミュニケーション」が非常に重要であると強調した。
また、来シーズン以降の目標として、「弱みを改善し、強みを向上させる」という基本方針を継続しつつ、特に「選手層を厚くしていく」ことが非常に重要であると語気を強めた。不測の事態にも対応するため、現在のコアグループの選手たちを支えるサポート層の充実が必要不可欠であると考えているようだ。
そのために、監督は冬の期間に「全ての試合、あらゆる試合を」視察する意向を示した。SVリーグや天皇杯はもちろんのこと、「アンダーエイジカテゴリー」や「高校」の試合まで足を運び、才能ある選手の発掘と育成に力を入れると語っている。各選手に対しても、「それぞれに違ったスキルを伸ばさなければいけない」と個別の成長を促し、スキル改善は「夏だけでなく冬も継続的に取り組む」べきであると強調した。
2026年にはロサンゼルスオリンピックの出場権がかかるアジア選手権も行われる。「オリンピックの出場権を得る大事な試合もあるので、最善を尽くして選手層を厚くしながら準備を整えていきたい」と、就任2シーズン目に向けての強い決意を表明した。
今シーズン、アクバシュ新監督のもとで「新しい核」が形成され、その可能性を大いに示した女子日本代表。2年目のシーズンでのさらなる成長に期待がかかる。