いよいよ12日に開幕を迎える2025バレーボール男子世界選手権(世界バレー)。出場国数が従来の24カ国から32カ国に増え、大会形式も少し変わった。
新フォーマットでの世界バレーの最初の王者はどの国になるのか。優勝候補たちを解説していく。
サーブ世界最強国ポーランド

1.ポーランドの特徴
ポーランドは世界最強国の1つだ。現在のFIVB世界ランキングは1位で、近年では2024年のパリ五輪銀メダルとネーションズリーグ(VNL)2025優勝という実績がある。
そんな絶対的王者ポーランドを、日本代表の髙橋藍は全てを兼ね備えるチームだと評価していた。その言葉の通りアタック、サーブ、ブロック、レシーブ、組織力全てが世界トップクラスのチームだ。
その中でも特にポーランドはサーブが世界一のチームだ。
世界最速サーバーのウィルフレド・レオンはもちろんだが、アタッカー全員が世界トップクラスのビッグサーバーだ。パリ五輪ではセッター以外の5人全員が、球速120km以上を誇るジャンプサーバーだった。
この脅威を日本代表で例えるなら、5連続で石川祐希がジャンプサーブを放ってくるイメージだ。
さらに世界トップのサーブを凌いだとしても、ポーランドはブロックもアタックも世界トップクラス。
①サーブで崩す②ブロックで防ぐ③アタッカーが決める。
世界最高のサーブから始まるこの3段構成が、ポーランドバレー勝利の方程式だ。
2.ポーランドの弱点
ポーランドにも1つ明確な弱点がある。
それはレシーブ力だ。ブロックを含めたディフェンスの総合力は世界トップクラスだが、レシーブ単体の精度は世界トップクラスではあるものの、日本やフランス代表と比べて劣っている。
特にブロックが無いサーブレシーブはポーランドにつけ入る隙かもしれない。VNLファイナルでも1セットあたりの被サービスエースが最も多かったのはポーランドだった。
またチャンスボールがセッターに完璧に返らないことや、2段トスの精度が低くてアタッカーが打ち切れない場面も少なくない。
ポーランドに勝つには、自分たちはサーブで崩すが、ポーランドにはサーブで崩されないことがカギとなる。
3.ポーランドの注目選手

注目選手はウィルフレド・レオン(OH/32歳/201cm)だ。
世界トップOHの1人で攻撃力が最大の特徴。キューバ出身の選手で、ポーランドに帰化する前は14歳にしてシニアのキューバ代表入りした怪物だ。
石川やヌガペトのように技術で世界トップに肩を並べるOHとは対照的に、レオンはシンプルに高さとパワーで全てを蹂躙するOHだ。
充分に助走が取れているなら最高到達点385cmの高さを活かしてブロックの上から叩き込み、体勢が悪くても全身のバネを使ってボールを力いっぱいぶん殴るようなアタックでブロックを粉砕する。
組織で個を封じることができるチームスポーツで、なお圧倒的な個で全てを叩き潰すのがレオンだ。