いよいよ12日に開幕を迎える2025バレーボール男子世界選手権(世界バレー)。出場国数が従来の24カ国から32カ国に増え、大会形式も少し変わった。
新フォーマットでの世界バレーの最初の王者はどの国になるのか。優勝候補たちを解説していく。
ディフェンス世界最強国

1.フランスの特徴
フランスはバレーボールで最も権威のある大会であるオリンピックを2連覇しているチームだ。
そんなフランスバレーの特徴は大きく2つ。
1つ目は世界一のディフェンス力だ。レセプション、ディグ、ブロックの全てが世界トップクラスで、守備の総合力は世界トップだ。日本も守備は世界トップと評されるが、日本と比べてフランスは圧倒的にブロックが良い。フランスのディフェンスは日本のレシーブ力にブロック力を大幅に足したようなイメージだ。
特徴2つ目は軟打。フランスは世界で最も軟打で得点するチームで、フェイントやブロックを利用したプレーに長けている。
軟打はハイリスクハイリターンだ。リスクは軟打は読まれるとチャンスボールになること。リターンは軟打が決まると敵のディフェンスに修正を強いることができて、さらに拾えたはずのボールを拾えなかったとメンタルにダメージを与えられることだ。ただ強いスパイクを決めるよりも、軟打で得点する方が敵に嫌な印象を与えられる。
世界最強の守備でラリーに引きずり込み、敵の穴を突くような軟打で得点するのがフランスのバレースタイルだ。
2.フランスの弱点
フランスの弱点は絶対的なエースがいないことだ。
フランスは技巧派スパイカーが多く、ポーランド代表のウィルフレド・レオンやイタリア代表のアレッサンドロ・ミキエレットのようなパワーや高さが強みのアタッカーがいない。
2段トスを決める為にリスクのあるブロックアウトを狙うので、得点力にムラがある。オリンピック2連覇を果たしてる彼らが、苦戦する試合が多い要因の1つだ。
ブロックアウトは敵ブロックの指先を狙う。手を引かれたり、上に打ち過ぎたら当然アウトになる。
ただ、その中でフランスが五輪2連覇を果たしたのは、この駆け引きを制してきたから。
フランスに勝つためには、軟打を落とさないことと、ブロックアウトの読み合いを制することがカギになる。
3.フランスの注目選手

フランスの注目選手はトレボール・クレブノ(OH/31歳/199cm)だ。
パリ五輪でベストOHを受賞してる世界トップクラスのオールラウンダー。日本代表で例えると髙橋藍のような選手で、フランスの攻守の要だ。
彼の注目ポイントは必殺技であるストレートへの軟打だ。パリ五輪の決勝戦でも、強打よりストレートへのプッシュで得点を重ねていた。
隙あらば速いトスで奇襲をかけて、ストレートにポイとボールを放り込んでくる。そしてプッシュを印象付けてレシーバーが前進してきたところで、コートの奥に強打を打ち込んでくる。
うんざりするほど駆け引きが上手いベテランOHだ。
守備についても、日本代表のロラン・ティリ監督がレセプション指導で引き合いに出すほどの腕前だ。
クレブノのレセプションはオーバーとアンダーハンドレシーブの使い分けに長けていて、フローターサーブの返球率が高い。
常にフランス代表の核としてプレーしてきたクレブノの、ストレートへのフェイントと安定感のあるレセプションに注目だ。