今年の大学バレー界最後の大会・全日本インカレが現在開催中で、男子は早稲田大学と国士舘大学が決勝進出を果たした。その陰で、これまでに62校が悔し涙を流してきた。
3年生で主軸を務め、日本一の夢破れた選手たちは、今大会の敗戦を糧に、4年生で迎える来年こそはと誓っていた。
2回戦で専修大学に敗れた中央大学の3年生エース・舛本颯真は、「自分たちは終盤の甘さが出た」と悔やんだ。
身長180cmとスパイカーとしては大柄ではないが、鎮西高校時代は抜群の得点能力と勝負強さで、春高バレー2年連続決勝進出を果たした大エースだった。その後、中央大に進み、昨シーズンは大学の海外派遣プロジェクトでイタリア・セリエAのシエナに渡り武者修行した。
「高いブロックを相手にどう打つか、どう立ち向かっていくかという面ですごくいい経験になりました。指先を狙ってブロックアウトを取ったり、今まではやってきていなかったリバウンドを取ってもう一度立て直すということを意識するようになりました。コートの中で瞬時に判断する力も、イタリアに行って変わったのかなと感じます」とイタリアでの収穫を語っていた。
2年生だった昨年の全日本インカレは、3回戦で甲斐優斗を擁する専修大に、フルセットの末惜敗していた。そして今年も、互いに初戦を突破すれば2回戦で専修大と当たる組み合わせに。
「ずっと専修だと思って練習をやってきた。みんな『今年こそはやってやるぞ』という思いでいますし、絶対に負けられない、絶対に倒してやるという気持ち。もう1年前から気持ちを入れてやってきました。
この全カレに向けては、4年生を絶対に勝たせるという気持ちも持ってやってきました。秋リーグが終わったタイミングでもう一回気合いを入れ直して、練習でも一つ一つのプレーから本気で向き合ってやってきたので、もう自信を持ってやり切るしかないという感じですね」
そして迎えた2回戦の専修大戦。第1セットは中央大がセッター藤井千丸のサーブで揺さぶって甲斐にスパイクを打たせず、梅本春之助や坪谷悠翔、舛本のスパイクで次々に切り返し、5連続ブレイクで引き離す。
「昨日のミーティングでも、甲斐選手を揺さぶって、できるだけ負荷をかけていこうという話し合いをしていた。それがいい感じにハマっていた」と舛本は振り返る。
しかしデュースに持ち込まれると、甲斐のサービスエースで24-25と逆転された。次も甲斐が強烈なサーブで崩してブレイクし、第1セットを奪われた。
第2セットは中央大のキャプテン坪谷の3連続サービスエースなどでリードするが、中盤以降、専修大のブロックに捕まりセットを連取される。第3セットを奪い返すが、第4セットは終盤の追い上げも一歩届かず、セットカウント1-3で敗れた。
舛本は第1セット終盤を、「あそこは本当に実力と集中力が試されるところ。そこは全然甘かったのかなと思いました」と振り返る。
「全体的に自分たちのいい部分も結構出たんですけど、やっぱり相手のほうが、集中力とか、終盤で決め切る力というのがものすごく大きかった。そこを自分たちが耐えていれば、結果は違ったのかもしれないですけど、やっぱり終盤の甘さが出たのかなと思います」
大学ラストイヤーに向けて、こう覚悟をにじませた。
「去年と一緒のチームに負けて、4年生も悔しいだろうし、自分たちの代もめっちゃ悔しい。次の1年間は自分たちが4年生になるので、僕らが中心となって今の4年生を超えていかないと日本一にはなれないと思う。そこは自分たちで一から話し合ってやっていきたい。
この1年間は、リバウンドだったりサーブレシーブだったり、イタリアに行かせてもらって成長できた部分もありましたし、メンタルの部分で、最後の1本を決め切る力というのも、まだ完全には足りてはいないけど、少しずつ決められるようにはなってきているので、そこをもっと成長させていきたいと思います」
翌日の3回戦では、国士舘大学に1-3で敗れた筑波大学の3年生キャプテン・山下彪が、悔しさを噛み締めながら来年のリベンジを誓った。
身長197cmのミドルブロッカー・山下は、秋季リーグが終わったあと、急きょキャプテンに就任。今夏U-21世界選手権でキャプテンを務めた経験も活かし、懸命にチームをまとめてきた。
「すごく難しい状況で。やっぱり“来年もある”というところが足枷になっている部分はどうしてもありました。秋山(央)監督にずっと『今年が最後の年だと思ってやらないと来年も難しい』という言葉をいただいていて、本当にその言葉をモットーにこの1ヶ月間必死に作ってきたチームだったんですけど、勝ちきれなかったということは、日々の練習で詰めきれていなかったのかなと。
今日は相手の4年生の力というか、意地というか、そういうものを肌で感じました。ずっと『全カレでは4年生が血眼になってやってくる』と言われていたんですけど、今日は本当にその圧に負けたというか。国士舘の工藤(築)選手(4年・キャプテン)におされたという感じです。だからこそ、自分もキャプテンとして本当に4年生のようにやれなかったというところは悔いとして残っています。これからも引き続きキャプテンをやりたいと思っているので、あと1年、何を学んで、後輩に何を伝えていくかというところを大事にしていきたい」
大学に入ったばかりの頃は細身だったが、今では見違えるようにガッシリとした体格に成長した。
「体重を増やさないとフィジカルで負ける、というのが課題だったので、意識して食事やトレーニング量を増やして、本当にハードにやってきました。1年生の頃は、練習後は体重が80kgを切ってしまうぐらいだったので本当にまずいなと思って。今では86〜87kgになりました。すぐに痩せてしまう体質なので、痩せないように本当に気をつけています。
自分は大学でバレーをやめるわけではなく、SVリーグに進んで、日本代表にも入りたいなと思っています。目指すところは“世界”なので、そのために何をするかを考えてやっています」
世界を見据えてさらに心技体の厚みを増しながら、大学ラストイヤーもチームを引っ張っていく。




