[写真]=須田康暉

 令和7年度天皇杯・皇后杯 JVA全日本バレーボール選手権大会のファイナルラウンドが12日(金)に東京体育館で行われ、全日本インカレ王者の早稲田大学はアイシンティルマーレ碧南に敗れ2回戦敗退となった。試合後、チームを牽引してきた前田凌吾主将(4年)がインタビューに応じ、学生バレー生活の幕引きと、今後を語った。

 早稲田にとっては初戦となったT碧南戦。勝利すればシードで待ち受けていたSVリーグの東レアローズ静岡との対戦だった。その東レ静岡には多くの早稲田OBが在籍しており、「次は東レと戦うことを目指していた」という前田。その手前での敗退に「全カレでは取れていた2点差が今日は取れなかった。自分たちの弱さが出た」と悔しさを滲ませたが、試合後の表情は晴れやかだった。

 学生生活最後の試合を終え、前田は早稲田での日々を「本当にいい4年間だった」と総括した。司令塔として、そしてキャプテンとして悩み抜いた末に辿り着いたのは、”信頼”と”思いやり”の境地だったという。「スパイカーを信頼すること。自分が下を向いていてはうまくいかない」と語る前田は、かつての自分を振り返りながら、「スパイカーに対してもっと思いやりを持つことが、上級生になってよりできるようになった」と自身の精神的な成長を噛み締めた。

 この試合をもって引退となるが、「この強い下級生たちともうバレーができないのは寂しい」と本音もポロリ。来年のチームはセッターだけが入れ替わる形となるため、「次のセッターは僕みたいなオラオラタイプじゃないと思うので(笑)、大事にしてやってほしいですね」と、自身の後を継ぐ後輩を気遣う言葉で常勝軍団の”バトン”を渡した。

 会場となった東京体育館は、清風高校時代の春高バレーでも悔しい思いをした場所だという。「ここは負ける体育館です。同じコートで負けました」と苦笑いで”縁起の悪さ”を嘆いたが、その目に涙はなかった。「全カレで優勝してよかったという思いはある。今日は負けたけれど、次は前を向いてやっていきたい」。前田は卒業後もバレーを続けていく。「目指しているセッターの方がいる。学ぶだけでなく、追い越していかないといけない」。学生バレー界を牽引した司令塔は、悔しさを飲み込み、次の舞台での飛躍を誓って会場を後にした。

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VOLLEYBALL KING 編集部

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