令和7年度天皇杯・皇后杯 JVA全日本バレーボール選手権大会のファイナルラウンドが12日(金)に東京体育館で行われ、高校バレー界の名門・鎮西高校は昨シーズンのVリーグ男子西地区王者で今シーズンもここまでリーグ首位のヴィアティン三重を破り、3回戦進出を決めた。

 11月に急逝した畑野久雄監督亡き後、初の公式戦。2年生ながらチームの主軸を担う一ノ瀬漣が、恩師への思いと次戦への決意を語った。

 第1セットを先取される苦しい展開でのスタートだった。「チームに硬さがあった。相手の雰囲気に飲まれて、高校生らしくできていなかった」と振り返る。しかし、宮迫竜司新監督から「声を出してやっていい」と鼓舞されると、チームは本来の姿を取り戻した。「自分たちのミスがなければ取れていたセット。2セット目以降は雰囲気良くできた」。修正力を発揮し、見事な逆転勝利を収めた。

 新体制での初陣を白星で飾ったが、選手たちの胸には常に恩師の教えがある。「当たり前のことをしっかりやる。ミスをしなければ勝てる」。一ノ瀬は「言われていることはずっと一緒。あそこでミスしたらこう言われてるだろうな、と全員が分かっている」と語る。突然の別れに動揺もあったというが、今は「畑野先生のためにも自分たちでしっかりしていこう」と全員が前を向き、結束を強めている。

 今年は“ダブルエース”として期待されている一ノ瀬。「もっと自分が鎮西のエースになるために教わりたかったが、もう自分の力でエースになるために力をつけていくしかない」。2年生エースの言葉には、自立への強い覚悟が滲んだ。

 次戦の相手はさらにカテゴリーが上がり、SVリーグの日本製鉄堺ブレイザーズ。一ノ瀬は「高さが違うところでどう戦っていけるか。頭を使ってやっていきたい」と意気込み。「自分の力がどれだけ通用するか楽しみ」。亡き恩師が育て上げた”鎮西バレー”を武器に、高校生チャレンジャーがプロの壁に挑む。

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VOLLEYBALL KING 編集部

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