[左]=Lega Pallavolo、[右]=金田慎平

 16日(火)から21日(日)にかけて、ブラジルのベレンにて2025男子世界クラブ選手権大会が開催される。5大陸の各王者の他、開催国王者と主催者推薦のワイルドカード2チームを加えた計8チームが出場し、クラブ世界一をかけて戦う。

 日本からは、アジア王者として大阪ブルテオンが出場。さらに欧州王者として石川祐希が所属するイタリアのペルージャも出場する。2チームは予選グループで同じグループBに入っており対決することが確定。さらに両者が予選グループを突破した場合、決勝か3位決定戦で2度目の対決の可能性もある。

 今回は、その2チームの注目選手を解説していく。

【大逆転セッター】アントワーヌ・ブリザール

[写真]=Volleyball World

 大阪Bの注目選手1人目はアントワーヌ・ブリザール。世界トップセッターの1人で、五輪2連覇と華々しい経歴を持っている。

 しかし彼は絶対王者というチームに所属したことはなく、劣勢を跳ね返し続けた結果、世界一のセッターと呼ばれるようになった。

 例えば2020年の欧州選手権。優勝したら東京五輪出場権を獲得できる大会で、フランス代表は準決勝のスロベニア代表戦では2セットを先取されて崖っぷちに立たされていた。そんな中でブリザールが投入されると、クイックを積極的に使ったトスと5セット目の3連続サービスエースで逆転勝利をもたらした。

 2021年の東京五輪でもフランスは死のグループを最下位ながらなんとか通過。そのまま最後まで勝ち進み、五輪出場も危ぶまれていたところから優勝を果たした。

 クラブチームでは、2022-23シーズンのセリエAで全戦全勝だったペルージャに初めて土をつけたのもブリザールが指揮するピアチェンツァだった。

 2024年のパリ五輪も優勝候補とは言い難い中で、フランスは欧州の強豪を喰らい優勝した。

 そして今大会も優勝経験のある2チーム(ペルージャ、クルゼイロ)と同じ死のグループで劣勢の状況だ。しかしブリザールが一波乱を起こす舞台が整っているとも言える。

進化した日本の主砲西田有志

[写真]=金田慎平

 大阪Bの注目選手2人目は西田有志だ。

 西田は2025年の日本代表の活動を休養し、自己研鑽に励んだことでレベルアップを果たしている。主に自身の肉体と向き合うことと、他競技の考え方をバレーに取り入れることにトライしたそうだ。

 それにより大きく3つのことが進化した。

 1つは身体のキレが上がったことだ。身体の仕組みを理解し、キレを追求したことでジャンプ力と球速が上がっている。その効果でジャンプサーブの弾道が、スパイクのように上から下へ打ち下ろせるようになっている。

 2つ目はアタックの引き出しが増えた。今季の西田はしっかりと打てる時でも、あえてフェイントで得点するシーンが目立っている。相手からしたら対策することが増える厄介なプレーだ。他競技の考えを取り入れた成果なのかもしれない。

 3つ目は勝負強さだ。もともと勝負強さに定評があったが、キャプテンに就任してからより勝負どころの1点を仕留めている。まるで石川祐希のようだ。

 西田にとって半年ぶりの国際試合となる今大会。日本が誇る小さな巨人の進化を世界へ披露する初めての場になる。

2021大会優勝&MVPミゲル・ロペス

[写真]=金田慎平 ※写真は2024年10月11日撮影

 大阪Bの注目選手3人目はミゲル・ロペスだ。

 ロペスは2021年の世界クラブ選手権で優勝し個人としてMVPを獲得している。当時のロペスは24歳でブラジルのクルゼイロでプレーしていた。彼の特徴でもある115cmも跳ぶジャンプ力を活かした、高さのあるスパイクで大活躍しMVPを獲得した。

 今シーズンのSVリーグでもアタック決定率No.1のOHで、最高到達点360cmの高さで3枚ブロックの上からフリースパイクのように真下にアタックを打ち込んでくる。

 さらにロペスは守備力にも定評がある。

 彼が日本でプレーすることを決断した理由の1つにレシーブ力の向上があった。SV2シーズン目のロペスのレセプション返球率は全体17位の37.4%で、日本人OHに引けを取らない。

 ロペスにはMVPを獲った当時と変わらない世界トップクラスの攻撃力と、日本でプレーすることで磨きがかかった守備力を、古巣相手に存分に発揮して欲しい。

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この記事を書いたのは

まつはす

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