日本製鉄堺ブレイザーズのリベロ・森愛樹は今季、また一歩前へ進もうとしている。
V2(現Vリーグ)だった兵庫デルフィーノから2023-24シーズンに日鉄堺BZに加入。入団2シーズン目だった昨季は、サーブレシーブ成功率55.2%で、SVリーグの並み居るリベロ陣を抑えてトップサーブレシーバーに輝き、初めて日本代表にも選出された。
ただ、昨季までは主にサーブレシーブは森、ディグは堀江友裕という2枚リベロの形で戦っており、ディグを課題と捉えていた。今季は、ほとんどの試合で両方を任されている。
「昨季サーブレシーブ賞を受賞して、その面は自信がありますが、今季はサーブレシーブだけじゃなく、ディグの面でもしっかりやっていこうと心がけています。例えば山本(智大・大阪ブルテオン)選手や小川(智大・サントリーサンバーズ大阪)選手は、そのディグで、『リベロで取った1点だな』というシーンが多い。そういう部分を自分も磨いていこうとしています」
今季はディグの練習を個人的に増やしたり、意識も変えたことで、ディグでも存在感を発揮する試合が増えた。
意識しているのは「山本選手の力の抜き方」だという。きっかけは、昨季のSVリーグ・オールスターゲームズだった。
「山本選手に『ディグ教えてくださいよ』みたいな感じで聞いた時に、『止まって、ビビらんかったら上がるよ』という感じで言われたのが、自分の中でグッときて。確かに自分のプレーの映像を見たら、相手が打ってきた時に動いている感じがあったし、ちょっと怖がっている部分もあった。SVリーグになると、やっぱり外国人選手とかのスパイクがものすごい勢いで飛んでくるので、グッと力んでしまうところがありました。山本選手の映像を見ると、力を抜いて、軽く上げている感じだったので、そういうのを盗みながら、真似しながら、ボールが来た時に力を抜くというところを一番意識して練習しています」

山本にそのアドバイスのことを尋ねると、「覚えてますよ」と頷いた。
「オールスターの時にリベロ会をしたんです。選ばれていた4人(山本、小川、森、備一真)で。その時にちょっとバレーの話になって、結構質問されましたね。僕と小川はいつもふざけているんで、最初は『適当に取っとけよ』とか小川が言ってたんですけど(笑)。
動きすぎちゃうと、いろんなボールに対して反応できないので、“止まって待つ”ことがシンプルで一番強いのかなと思う。だからそういうアドバイスはしました。ちょっと意識するだけでも全然違うと思うので。刺さるか刺さらないかは本人次第ですけど。
僕も若い頃はいろんなボールを取ろうとして、動いている状態でディグしていたんですけど、結局、全部のボールは取れないので。絞って絞って、止まってから動く、というのを身につけたほうが、ボールがよく見えるし、ディグが上がる確率が高くなる。いろんなことをやりながら、堺にいた途中ぐらいから身につけました」
試行錯誤の末にたどり着いた“脱力”の境地だが、それをあっさり後輩に教えてしまうおおらかさにも驚かされる。
「全然、僕は答えますよ」とあっけらかんと言う。
そんな山本を、森はリスペクトしながらも、超えるべき存在と捉えている。11月に行われた大阪ブルテオンとの対戦では、森は再三好守備を見せ、「食らいつくんだ、落とさないんだという気持ちを前面に出したのがパフォーマンスにつながった」と手応えを漂わせながらも、言った。
「でもブルテオンの山本選手は、僕以上にディグを上げていましたし、得点まで繋がっていた。自分はそういったところがまだ足りていないので、もっと山本選手のようにしっかり学んで、越していけるように頑張りたいと思います」
日鉄堺BZはここまでのSVリーグで3勝13敗の10位と苦しんでいるが、リベロから点に繋げ、勝利に繋げるために、森は諦めることなく前進し続ける。




