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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではアランマーレ山形を紹介していく。

クラブヒストリー:昨季昇格したばかりの新進気鋭のチーム

 株式会社プレステージ・インターナショナルが設立したバレーボール、バスケットボール、ハンドボールのチーム(いずれも女子)の一つとして2015年に誕生。当初は「プレステージ・インターナショナルアランマーレ」の名称で、アランマーレとはイタリア語で「オレンジ」を意味するarancia(アランチャ)と「海」を意味するmare(マーレ)からなる造語。ファンを“シップメート(乗組員)”と命名し、国内トップリーグの航海に打って出る。

 初参戦は2015ー16 V・チャレンジリーグⅡ(当時。いわゆる3部に相当)。5チーム中最下位、とその船出は苦しいものとなったが、国際経験豊富でJTマーヴェラス(現・大阪マーヴェラス)のコーチを務めた北原勉監督の元、着々とステップアップ。2022ー23 V.LEAGUE DIVISION2(当時。いわゆる2部)で初優勝に輝くと、入れ替え戦を制してDIVISION1昇格を果たした。国内最上位カテゴリー初挑戦となった昨季は悔しくもシーズンを通して勝ち星を上げることがなかったが、今季から名称を「アランマーレ山形」と新しくしてSVリーグでまずは初白星を目指す。

このオフの動き:主力に代わり個性豊かな新戦力が加入

 昨季限りで攻守双方の主力が退団した。昨季のポイントゲッターだったアウトサイドヒッターのメソマチ・オケケアルがカノアラウレアーズ福岡(V.LEAGUE)に移籍。さらに、2020ー21シーズンから2季連続でブロック賞(1セットあたりのブロック決定本数1位)を手にするなど長年チームの躍進を支えたミドルブロッカーの菅原里奈が現役を引退している。

 その分の補強として今季に向けては、2名の外国籍選手を迎え入れた。一人はウクライナ籍のオポジットで、トルコやフランスのリーグでプレー経験のあるオレクサンドラ・ビチェンコ。そして、もう一人がタイ籍のアウトサイドヒッターでタイ代表にも名前を連ねる20歳のドンポーン・シンポーだ。

 また東京の名門・八王子実践高校出身でU18/U19女子日本代表に選出歴を持つミドルブロッカーのインディグウェシンディ千想夢も今春から入団。身長184センチに詰まったポテンシャルの塊が、SVリーグという舞台で輝きを放つか。

2024―25シーズンの戦い方予想

 今季のスローガンは「NEO ARANMARE(ネオ・アランマーレ)」。その文字のとおり、これまで以上に新しい姿を見せて戦うことを掲げてSVリーグに挑む。チームで初めて本格的な助っ人外国人を加えたことは、その最たる例(昨季まで所属したメソマチ・オケケアルは高知中央高校〔高知〕出身で学生時代を日本で過ごしていた)。

 またプレシーズンには、「第18回VTVカップ女子国際バレーボール大会2024」でベトナムへ、「2024 トンヨン-KOVO プロバレーボール競技会」で韓国へ出向くなど、こちらもチームで初となる海外遠征に。初ものづくしの準備を講じてきた。

 外国籍選手の活躍はもちろんだが、昨季チーム2番目の得点をマークしたオポジットの岡村南奈やエースでキャプテンの木村友里の攻撃力にも注目。また昨季はサーブ効果率12.0%でリーグ全体2番目の成績を残したミドルブロッカー伊藤摩耶のサーブはチームが備える武器だ。

 創部10年目に繰り出すSVリーグという大海原への航海で、チームにもファンにとっても新たな世界を切り開く。

注目選手:木村友里

 身長は169センチと比較的小柄だが、テクニックと思いきりのよさを活かしたアタックで得点を重ねるエース。アウトサイドヒッターとしてサーブレシーブにおいても安定感を誇り、昨季は成功率58.6%でチーム2番目、リベロを除けばトップの成績をあげた。

 2018ー19シーズンから在籍し、チームが上昇していくさまを当事者として味わってきた一人。2022ー23 V.LEAGUE DIVISON2制覇の立役者となり、自身も最高殊勲選手賞に選出された。また今年8月の「第18回VTVカップ女子国際バレーボール大会2024」では新加入の外国籍選手が合流前という事情もあり、そこではエースとして気を吐く。SVリーグという史上かつてないハードな戦いを前に、心身ともにタフさに磨きをかけた。

 キャプテンを務め、その姉御肌もあってチームメートからの信頼も厚い。エースでキャプテンという、まさにチームの“顔”として鮮やかなオレンジ色のユニフォームの袖に腕を通す。