2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは日本製鉄堺ブレイザーズを紹介していく。
クラブヒストリー:古くから歩み続ける古豪
前身である新日鐵は田中幹康や中垣内祐一など数々の名選手を生んだ古豪。チーム結成は1939年と古く、当時は福岡県八幡市(現・北九州市)の日本製鐵八幡製鐵所を拠点とし活動がスタートした。日本リーグには第一回から参加しており、日本リーグ時代から17度の日本一を誇る。
近年は2012年を最後に優勝から遠ざかっており、昨シーズンはファイナルラウンドに進出したものの、敗退。満を持して元エースの北島武を今シーズンより新監督に迎えた。
このオフの動き:メンバーが昨年から大きく変化
北島新監督のもと、SVリーグに挑むチームの中心選手は主将を務めるセッターの山口頌平だ。昨シーズンも主戦セッターとしてチームを牽引。今年は攻撃陣が大幅に入れ替わるため、新しく加わった選手との信頼関係を築くことに尽力している。
長年、チームを引っ張った出耒田敬が引退し、樋口裕希、迫田郭志という2枚看板がVC長野へ移籍。その穴を埋めるのが新外国籍選手のルチアーノ・パロンスキーだ。パロンスキーは身長198cmのアウトサイドヒッターで、アルゼンチン代表として2024年パリオリンピックにも出場した。2022-23シーズンに在籍していたフランスのトゥールでは優勝にも貢献。25歳と若いだけに、日鉄堺でさらなる成長も望めるアタッカーである。
ミドルブロッカーにはアジア枠で台湾出身のツァイ・ペイチャンが加わった、ペイチャンは200cmの高身長を誇り、昨シーズンは韓国リーグで活躍した。
試合中に負った怪我(肘関節脱臼による橈骨頭骨折・内外側靭帯損傷で全治6か月)のため昨シーズンは出場機会のなかった秋間直人も2m超えのミドルブロッカーで将来有望。故障も完治し、今シーズンは出場機会も増えるだろう。ペイチャン、秋間が既存の選手を脅かす存在になれば選手層は厚みを増す。
2024ー25シーズンの戦い方予想
攻撃の中心は日鉄堺に入団して3シーズン目を迎えるシャロン・バーノン・エバンスとなるだろう。昨シーズンはフェアプレー賞を受賞し、今年も大車輪の活躍が期待される。高い打点を生かしたスパイクは対戦相手からは驚異的な存在。タイトル争いに食い込めばチームの上位進出も期待できる。
注目したいのはパロンスキーの対角に入るアウトサイドヒッターだ。ベテランの髙野直哉、勝負強い鵜野幸也、ジュニアブレイザーズ出身の重留日向などがしのぎを削る。中でもプレシーズンマッチで存在感を示したのが2シーズン目を迎える安井恒介だ。昨シーズンは主にオポジットやリリーフサーバーで試合に出場していたが、今シーズンはサーブレシーブの練習を積み、アウトサイドヒッターとして常時出場を目指す。346㎝の最高到達点を生かすスパイクと、強烈なサーブが持ち味だ。「今シーズンの開幕に向けて最も力を入れてきた」と語る守備にも注目してほしい。
注目選手:渡邉晃瑠
昨シーズン、新人賞を獲得したミドルブロッカーの渡邉晃瑠は今シーズンもスターティングメンバ―で起用されそうだ。ハワイ出身でバスケットボール日本代表の渡邉飛勇を兄に持ち、昨年は晃瑠も日本代表候補に選出された。B代表の一員としてドイツとの親善試合やコリアンカップに登録された。昨シーズンは終盤、故障で戦線離脱しただけに、今シーズンは怪我なく常時出場することが目標だ。驚異的なジャンプ力を生かしたブロックが魅力で、いかに打数を増やし、攻撃面でチームに貢献できるかがチームの勝ち星増加の鍵を握る。
昨シーズン、試合中のアクシデントで故障した最年長43歳の松本慶彦もSVリーグ開幕に向けて調整を続けてきた。今年も精神的支柱としてチームを引っ張る。もちろんベテランの力は必要だが、ベテランを脅かす若手の成長がチームの躍進につながる。