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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではジェイテクトSTINGS愛知を紹介していく。

クラブヒストリー:今季からジェイテクトSTINGS愛知として新たなスタート

 豊田工機として発足したチームを源流に持つ。1958年に9人制からスタートし、6人制に移行した。光洋精工との合併で2006年にジェイテクトに社名が変わった。2部での活動が長かったが、2012-13シーズンに入れ替え戦で勝利してトップリーグに初昇格。そこからは一度も降格することなく、強豪チームに仲間入りを果たした。

 最も輝かしい成績を収めたのは2019-20シーズン。西田有志(現・大阪ブルテオン)を擁してV1で初優勝を果たした。その後も2020-21、2022-23シーズンに天皇杯を制するなど、チームとして着実な発展を遂げている。

 ただ、昨季はチームの顔であった西田が抜けた影響もあって8位と低迷。有力選手を補強した今季は巻き返しを期す。

 チームは、ジェイテクトSTINGS愛知として新たに生まれ変わってスタートを切った。石川祐希が生まれ育った愛知県岡崎市をホームに設定。地元に根付いた活動を行い、再び日本のトップを目指す。

このオフの動き:スター選手を続々と獲得し、効果的に補強

 今オフ、最も効果的な補強をしたチームの一つと言える。昨季、西田の穴を埋められず、8位と低迷する要因の一つとなったオポジットには、日本代表でも活躍し、パリ五輪を経験した宮浦健人が復帰。ポーランドとフランスのリーグで活躍した左腕は、チームの課題だったポイントを見事に穴埋めするものだ。独特の軌道を描き、鋭く曲がりながら落ちるジャンプサーブと、高いブロックも苦にしないパワフルなスパイクでチームを再び上昇気流に乗せるだろう。

 上背はないながらも、堅実なブロックと得点力がある速攻でいぶし銀の存在感を放ったミドルブロッカー福山汰一が昨季限りで引退。そこを補うべく獲得したのが、宮浦と同様にパリ五輪に出場した髙橋健太郎だ。202センチの長身と、左右への移動の速さを生かしたブロックはまさに鉄壁。昨季まで所属した東レ静岡では2季連続でブロック賞に輝いた。高橋健のブロックはジェイテクトSTINGS愛知の大きな武器になるだろう。

 昨季まで長くチームを支えた本間隆太が引退したリベロには、日本代表で世界屈指の実力を持つ小川智大が加わった。若手の高橋和幸の奮闘にも期待が懸かる。

2024―25シーズンの戦い方予想

 上述の3選手に加え、有力な外国人選手も加わった陣容はリーグ屈指と言える。アウトサイドヒッターにはブラジル代表で世界トップレベルの選手であるリカルド・ルカレッリ、米国代表でパリ五輪銅メダリストのトリー・デファルコが居並ぶ。アウトサイドヒッターは2人を軸とし、経験豊富な秦耕介、手塚大がバックアップする。

 それに加えて、オポジットに宮浦が名を連ねる攻撃陣は、日本だけでなく世界的に見ても豪華な顔ぶれだ。昨季、経験を積んだ都築仁もオポジットにおり、選手層は厚い。最後まで勝ち残ると5月まで続く長丁場となるリーグにも耐えうる顔ぶれだ。

 ミドルブロッカーは髙橋健と村山豪がメインになるだろう。攻撃、ブロックでともに力のある2人が並ぶことは、相手にとって脅威となるはずだ。

 この攻撃陣を支えるのがセッター関田誠大と、小川と高橋和幸が並ぶリベロ陣。関田の変幻自在なトス回しと、小川の守備力は群を抜く。高橋和のコート上を統率する力も目を見張るものがある。初代王者を目指す争いに絡む可能性は高い。

注目選手:関田誠大

 日本だけでなく、世界的に見ても豪華な顔ぶれとなったジェイテクトSTINGS愛知。その中で、最も注目したいのはセッター関田誠大。シーズン中に31歳を迎える司令塔は、東京、パリと2度の五輪を経験して円熟味を増した。

 目を引くのは運動量の多さとパス力、そして引き出しの多さだ。並のセッターならアンダーでセットするようなボールも、関田なら豊富な運動量でカバーしてボールの下に入り込み、オーバーでセットすることができる。さらに、コートの端から端までの長い距離でも、ぶれることなく安定したトスにするパス力は世界屈指。レシーブが乱れたとしても、関田が2本目を触ることができればチャンスと言えるほどだ。数多くの修羅場をくぐり抜けたからこその、緊迫した場面でのトス回しも秀逸だ。ルカレッリ、デファルコ、宮浦と超攻撃的な布陣を操る関田のトスワークがチームの浮沈の鍵を握っている。