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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは大阪ブルテオンを紹介していく。

クラブヒストリー:1951年にスタートした伝統のあるチーム

 1951年創部で日本リーグ第1回から出場した伝統チーム。Vリーグでは6度の優勝を誇り、天皇杯、黒鷲旗との三冠も3度達成している。日本代表選手も数多く輩出してきた。成績だけでなく、地元に密着した活動や発信力、ホームゲーム演出などが実り、昨季はホームゲームのチケットが全試合完売した。

 “パナソニックパンサーズ”としてそうした輝かしい歴史を作ってきたが、今季は思い切ったリブランディングに踏み切った。大阪にしっかりと根ざして未来永劫成長し続け、世界一のクラブを目指すという意志を込めて“大阪ブルテオン”という新たなチーム名で再出発。ホームタウンは練習拠点のある大阪府枚方市からスタートし、門真市、守口市、寝屋川市、交野市にも拡大した。

 昨季はレギュラーラウンドを1位で突破したが、ファイナルではサントリーサンバーズ大阪に敗れて準優勝に終わった。チーム名は変わっても、選手たちはその悔しさを忘れていない。昨季の雪辱を果たし、SVリーグ初代王者の座を狙う。

このオフの動き:選手構成が大きく変わるも充実した戦力

 2021年東京五輪でフランス代表を初の金メダルに導いたロラン・ティリ監督が着任5シーズン目を迎えた。

 一方、選手の構成には大きな変化があった。長年不動の司令塔を務め、3度のリーグ優勝に貢献した深津英臣がウルフドッグス名古屋に移籍。逆にWD名古屋で2022ー23シーズンの優勝セッターとなった永露元稀が加入した。セッターによってチームのカラーは変わるもの。永露の加入がどんな変化をもたらすのか注目だ。

 アウトサイドヒッターでは、日本代表の大塚達宣がイタリア・セリエAのミラノに移籍。垂水優芽もイタリアのチステルナにレンタル移籍した。2人が抜けるのは痛手だが、そこは抜かりなく補強。キューバ代表のミゲル・ロペスと昨季まで東レアローズ静岡に所属していた日本代表の富田将馬を獲得した。ロペスのスパイクの破壊力は規格外で、日本代表リベロの山本智大が「ロペスのスパイクは他の選手と違う。怖いぐらい」というほどの威力だ。

 また昨季まで長年リベロとして活躍した永野健がコーチとして残り、日本代表でコーチを務めていた伊藤健士が今季、大阪ブルテオンのコーチに就任。大きな戦力となりそうだ。

2024ー25シーズンの戦い方予想

 SVリーグとなり試合数が大幅に増える中、今季は少数精鋭での戦いになるため、コンディションの維持が鍵を握りそうだ。

 主将の山内晶大も「昨季は20人ぐらいの選手がいたんですけど、今季は15人なので怪我なくやっていきたい。今季はレギュラーシーズンだけで44試合。プレーオフや天皇杯も合わせるともっと試合数が多くなる。ずっと同じメンバーで戦うのは厳しいと思うので、入れ替わり立ち替わりでいろんな選手が出ることになると思う。でもブルテオンは非常にいい選手がたくさんいるので、いろんな掛け合わせ、コンビネーションを見せていけたら」と語る。

 特に掛け合わせが楽しみなのがアウトサイドヒッター。新加入のロペス、富田と、昨季までのメンバーである仲本賢優、アメリカ代表のトーマス・ジェスキーをどのように掛け合わせるのか。

注目選手:西田有志

 パリ五輪では日本チーム最多の81得点を叩き出したオポジット。「オリンピックでも安定したコンディションで安定したパフォーマンスをしっかり出し続けられたというところを、このリーグにもしっかり活かしたい」と自信を持ってリーグに臨む。

 昨年の代表では不調の時期もあったが、パナソニック(現・大阪ブルテオン)に移籍1年目だった昨季、毎日チームの全体練習の前に個別で体のバランスを整え、体幹を鍛えるトレーニングを行った。体の土台をしっかりと作り直し、空中バランスが良くなったことが、今年の日本代表での安定した活躍につながった。

 スピードとパワーあふれるスパイクで勢いよくブロックやレシーバーを弾き飛ばしたかと思えば、巧みなフェイントで相手の意表をつくなど、年々得点パターンが増え、豪快さといやらしさを兼ね備えた熟練の選手に進化してきた。昨季、最後に負けた悔しさを糧に、今季は最後に勝ち切る。