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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは東レアローズ滋賀を紹介していく。

クラブヒストリー:低迷期を乗り越えて

 2000年に活動を停止した名門ユニチカ・フェニックスを引き継ぐ形で、東レ発祥の地であり事業所が所在していた滋賀県大津市を本拠地として、活動をスタートさせた。

 ユニチカは長い歴史と幾多の優勝経験を誇る強豪であったが、東レアローズになってからも、すぐに2002年には初タイトルとなる黒鷲旗での優勝を達成している。ただしリーグ戦では、東レとして参加してから4年目となる2003―04シーズンに準優勝したものの、女王の座に手が届かない時期が続いた。

 ようやくリーグを制したのは2007―08シーズンのことだった。高校時代から日本代表に選ばれていた木村沙織らの活躍により、レギュラーラウンドも1位通過して優勝を達成。殻を突き破ると、3連覇を飾るなど黄金時代に突入した。

 だが、2012年に木村がトルコに移籍し、2013年に日本代表ミドルブロッカー荒木絵里香が出産のために退団するなど、戦力的に不安定となるとリーグタイトルが遠のく。2018―19シーズン以降は1年ごとに準優勝していたが、数年にわたり得点源であったヤナ・クランの引退、日本代表に成長した石川真佑、黒後愛らの退団を受けて臨んだ昨シーズンは、2004―05シーズン以来となる8位で終了と落ち込んだ。

このオフの動き:新戦力とともに王座奪還へ

 このオフにも、タイ代表のミドルブロッカー、ウィモンラット・タナバンが1シーズンでチームを去ることになった。5年所属した大﨑琴未のほか、比較的在籍年数が短い選手たちもチームを離れることになり、チーム運営の難しさをうかがわせもした。海外挑戦のためとはいえ、日本代表に入るようになっていたセッターの関菜々巳が一足早くシーズン中の2月には退団していたことも、移行前最後のリーグ戦のみならず、新リーグ初年度にもマイナスに働く可能性は否定できなかった。

 だが、そのセッターのポジションに、心強い選手が戻ってくる。高校卒業後に入団し、9シーズンにわたって東レでプレーした田代佳奈美が、7シーズンぶりに東レのユニフォームに袖を通した。2018年に海外挑戦のために退団した後、一時帰国を挟みながらルーマニア、フランス、トルコでプレーしてきた。多国籍のチームが当たり前の国外で、さまざまな選手たちにトスを上げてきた経験は、東レでも多くの選手たちの持ち味を引き出す助けとなるはずだ。

 チームを浮上させそうな新戦力は、田代だけではない。埼玉上尾メディックスから移籍加入した青柳京古は、2023年に31歳にして初めて日本代表入りを成し遂げた努力の人。昨季にリーグのベスト6に入ったプレー面のみならず、復活を期するチームで精神的にも大きな助けとなるはずだ。

 こちらは20歳での選出だったが、青柳と同じ2023年に日本代表に入った大川愛海も、期待の新戦力だ。身長175センチながら、最高到達点は306センチという身体能力の高さが光る。アウトサイドヒッターとして、攻撃面で活躍が期待できそうだ。

注目選手:深澤つぐみ

 こうした新戦力も加わったチームを引っ張るのが、深澤つぐみだ。双子の姉、SAGAスプリングスに所属するめぐみと共に、就実高では世代ナンバーワンのアタッカーとして活躍したアウトサイドヒッターだ。まだ21歳の選手にキャプテンという重責が託されたことは、明るい未来に向けて再出発するとのチームの思いがにじんでいる。

 新リーグでチームを率いるのは、就任5年目になる越谷章監督。選手時代には7年間のブランクをものともせず日本代表復帰の要請に応え、オリンピック出場に向けてチームの起爆剤になるべく汗を流した。現役時代のみならず、指導者に転じてからも東レ一筋。良い時代も苦しい時期も知る指揮官は、しっかりと復活への青写真を頭の中で描いているはずだ。

 チームはシーズン開幕前、サマーリーグへの参加を辞退してまで新リーグ初年度への準備を入念に進めた。あとはその答えを、コートの中で存分に見せつけるだけだ。