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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは広島サンダーズを紹介していく。

クラブヒストリー:男女合わせて一番の歴史を持つチーム

 広島サンダーズは広島県広島市をホームタウンとして活動する中国地方唯一のSVリーグ男子チームだ。男女チームの中で一番長い歴史を持つ。1931年に広島地方専売局女子排球部が創部した頃と同じ時期に男子部も結成された。その後、広島地方専売局から広島専売、専売広島、日本たばこ、JT、JTサンダーズ広島とチームの名称が変遷していき、SVリーグ参入に合わせて現在の名前となった。「第1回日本リーグ」から連続出場している男子チームで唯一のチームである。

 普段練習場所として使用しているのが「猫田記念体育館」。昔からのバレー好きなら誰もが知る「世界一のセッター」と称された故・猫田勝敏さんの名前が体育館についている。猫田さんはオリンピックで1964年東京大会から1976年モントリオール大会まで、4大会連続出場し、金、銀、銅の3つのメダルを獲得した。猫田さんは病気のため1983年に39歳の若さで亡くなっている。

 チームの歴史は長いが、日本リーグからVリーグとリーグ戦優勝はなかなかたどり着けなかった。チーム創部84年目にあたる2014ー2015シーズンにリーグ戦初制覇を達成した。ここからしばらく黄金期に入り、黒鷲旗や天皇杯でも優勝を果たした。しかし、2020年代に入ると主力の年齢が上がったこともあって、若手への切り替えを進めたが思うようにはいかず、直近5シーズンのV1リーグでの成績は2019ー2020シーズンからそれぞれ、4位、6位、6位、7位、4位と優勝から離れた状況が続いている。

このオフの動き:監督と外国人選手を一新

 昨シーズンで、2シーズン率いたラウル・ロサノ監督、同じく2シーズン在籍したアメリカ代表アーロン・ラッセルと中国代表江川がチームを離れ、リーグ屈指の人気選手だったリベロ井上航が退団。

 一方で、パリ五輪ではアメリカ代表コーチとして銅メダル獲得に貢献したハビエル・ウェベル監督(アルゼンチン)が新たに就任。新外国籍選手としてブラジル代表のオポジット、フェリペ・ロケ、元キューバ代表アウトサイドヒッター、オレオル・カメホが加わった。

 フェリペ・ロケは身長212cmの左利きで、高さとパワーを備えるスパイクは強烈でブロックを吹き飛ばし、ジャンプサーブも威力があって驚異だ。

 オレオル・カメホは海外バレーに興味ある人なら知っている人が多いであろう。身長207cmの巨体から繰り出されるスパイクは迫力がある。ただ、年齢が38歳だけに、週末2連戦が基本という、海外リーグには無い難しさがある日本のリーグに適応できるか気がかりだ。

2024―25シーズンの戦い方予想

 基本のスターティングメンバーは昨シーズンの起用やこれまでの実績などから考えると、アウトサイドヒッターはオレオル・カメホ、新井雄大、ミドルブロッカーは安永拓哉、三輪大将、オポジットはフェリペ・ロケ、セッターが前田一誠、リベロは唐川大志と西村信と思われる。

 また、ジャンプサーブとレシーブに秀でるベテランの山本将平(アウトサイドヒッター)、昨シーズン出場機会を多く得た川口柊人(ミドルブロッカー)、日本では数少ない190cmの高身長セッター金子聖輝といった選手たちにも出場チャンスがあるだろう。

 ハビエル・ウェベル監督の目指すスタイルがどの様なものか、プレシーズンでの練習試合は非公開ばかりだったので現時点では予想が難しい。コーチとして関わったアメリカ代表スタイルなのか、母国アルゼンチンの代表監督もつとめているのでアルゼンチン代表スタイルなのか。

 もしアメリカ代表スタイルと仮定するなら、ブロック面を強化するためブロック能力の高い選手を中心に選んで、ブロックにはめるための強力なジャンプサーバー、高い位置からセットアップできるセッターを出場選手に求めるかもしれない。

注目選手:高木啓士郎

 注目の選手は日本人選手で唯一の新加入となった、地元広島出身でリベロの高木啓士郎。

 退団した井上航と、崇徳高校、東海大学と全く同じ経歴を歩んでいて、昨シーズンは内定選手としてリーグ戦を経験した。先輩・井上航にも短い期間ながら共に鍛錬し、広島サンダーズの“魂”を引き継いだ。

 高木はチーム唯一の広島出身選手でもあるだけに、地元ファンからの注目は特に高いだろう。