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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではPFUブルーキャッツ石川かほくを紹介していく。

クラブヒストリー:石川県かほく市を拠点に戦うチーム

 1979年に発足した「宇ノ気クラブ」をルーツに持ち、1980年に「ユーザック電子工業」として創部されると、会社の合併に伴い、1987年から「PFU」にチーム名を変更する。株式会社PFUの本社所在地である石川県かほく市をホームタウンに活動を続け、第5回V1リーグ(昨季までのV.LEAGUE DIVISION2に該当。いわゆる2部)に参戦。翌シーズンからコンスタントに上位の成績をあげると、2008―09 V・チャレンジリーグ(当時。同じく、いわゆる2部)で初優勝を果たす。やがて2015―16 V・チャレンジリーグで準優勝したのち、入れ替え戦を制して初の最上位カテゴリー昇格を果たした。

 下位カテゴリーへの降格もあったが、2018―19シーズンからスタートしたV.LEAGUEではDIVISION1を戦い続け、2021―22シーズンの最終第8位が現時点での最高成績となっている。

 今季からの地域名を加えた「PFUブルーキャッチ石川かほく」に名称に変更。さらに今春にはチーム名を冠した「とり野菜みそ BLUECATS ARENA」がかほく市に誕生した。新たに誕生したホームアリーナを舞台にSVリーグを戦う。

このオフの動き:新加入メンバーの戦いぶりがカギになるか

 昨季までの主力メンバーが退団し、新加入メンバーにかかる期待は大きい。そのなかでもアウトサイドヒッターの上村杏菜は即戦力ルーキーとして注目の一人。身長は168センチと小柄だが、弾けるようにジャンプすると、力強いスイングで強烈な打球を放つ。中学高校と日本一を経験し、2022年にはU20女子日本代表として出場した第21回アジアU20(ジュニア)女子選手権大会ではエースとして優勝に導くと、最優秀選手賞とベストアウトサイドヒッター賞に輝いた実績を持つ。SVリーグの舞台でも豪打が炸裂するか。

 また東京の名門・八王子実践高校中学・高校時代からパフォーマンスの高さに定評のあったアウトサイドヒッターの川﨑鈴奈や、強豪・東海大学出身でアウトサイドヒッターもミドルブロッカーもできるプレーセンスを持ち合わせる長友真由らも早くから戦線に立ちそうだ。

 なお外国籍選手としては、ナッタニチャ・ジャイサエンと、これが来日5季目となるタットダオ・ヌクジャンのタイ籍2名、それにアメリカ籍のアタッカー、カシャウナ・ウィリアムズを迎え入れている。

2024―25シーズンの戦い方予想

 昨季まで埼玉上尾メディックスでコーチを務めていた馬場大拓が新しく監督に就任し、指揮を執る。その今季は、登録メンバーの中でも日本人選手ではリベロの池谷優佳が26歳で最年長と、チーム全体の平均年齢が比較的低いのが特徴だ。フレッシュな勢いを勝ち星にぶつけられるか。

 そのなかでも今夏のV・サマーリーグ(東部大会)で4連覇の立役者となったアウトサイドヒッターの大村季色は頼もしさを増し、今季のチームでエースを担う存在。さらに今年の女子日本代表合宿に練習生として参加したメリーサ・バルデスはキューバ出身、またナイジェリア人の父を持つ即戦力ルーキーの上村杏菜という、そうした背景を持つ彼女たちのアタック力はチームにとって大きな武器となる。

 そのエースたちを操るセッターは、藤倉由貴とタイ籍のナッタニチャ・ジャイサエンの2人。攻撃力を最大限に活かすためのトスワークが勝負の鍵を握りそう。

 なお、今季のキャプテンを務めるミドルブロッカーの細沼綾も、昨季は1セットあたりのブロック決定本数0.57本はチーム最多、リーグ全体でも6位と存在感を放った。さらなる活躍に期待が集まる。

注目選手:池谷優佳

 東京出身東京育ちの守護神は北沢中学校、下北沢成徳高校の名門で過ごした学生時代にいずれも日本一を経験。さらに日本体育大学在学中の2019年にはイタリアで開催された第30回ユニバーシアード競技大会に出場し、銅メダル獲得に貢献した実績を持つ。

 大学を卒業後は久光スプリングス(現・SAGA久光スプリングス)に入団。3シーズンを過ごしたのち、昨季からPFUに移籍加入すると、林有美(昨季かぎりで引退)と併用され、サーブレシーブ成功率はV・レギュラーラウンドで59.4%、V Cupでは63.2%の数字を残した。

 加入2季目の今季はチームの日本人選手として最年長の立場に。チームメートも認める“かわいい”ポジションに変わりはないが、それでもいざコートに立つと、ときにいさましく、ときにエネルギッシュにボールを追いかけ、拾い上げる。SVリーグ全体を見ても各チームで強力な外国籍アタッカーをそろえてきたなか、頼れる守護神が相手に決定機を与えない。