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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは岡山シーガルズを紹介していく。

クラブヒストリー:多くの地元企業が支える地域密着型チーム

 第5回Vリーグ(1998ー99)まで参戦していた「東芝」の休部を経て、チームを指揮していた河本昭義監督の元で新たな運営方式を模索し、翌年の第6回Vリーグからは「シーガルズ」として再出発を図ることに。その後、2001年に拠点をそれまでの富山県から、河本監督の出身である岡山県に変更。やがて2006年から現在の「岡山シーガルズ」となり、現在に至る。

 河本監督がかつて指導していた大阪の名門・大阪国際高校出身者も多数在籍し、過去に例がなかったわけではないが、これまでのシーズンのほとんどは日本人選手だけで戦ってきた。そうして2013/14 V・プレミアリーグは山口舞や宮下遥ら当時の女子日本代表の面々の活躍もあり準優勝。また2019ー20 V.LEAGUE DIVISION1でもチーム史上2度目となる準優勝の成績を残した。

 2022ー23シーズンはDIVIION1を11位(12チーム中)で終えて入れ替え戦に回るも残留に成功。昨季は9位の成績だった。

 母体となる企業を備えるのではなく、多くの地元の企業がスポンサーとなって活動する純然な“市民クラブ”、かつ登録全選手が日本人というメンバー編成でSVリーグの戦いに臨む。

このオフの動き:看板選手が引退し世代交代へ

 昨季の集大成となる第72回黒鷲旗全日本バレーボール男女選抜大会で悲願の初優勝を果たしたが、その大会をもって長年チームを率いたキャプテンの川島亜依美、さらに女子日本代表のセッターとして活躍した看板選手の宮下遥が現役を引退。世代の移り変わりを象徴する今オフ最大のトピックとなった。

 その一方で今季に向けて、アウトサイドヒッターの小松原凜香とリベロの内山優衣が加入した。その小松原は昨年末に内定選手としてチームへ合流すると、フレッシュな風をチームに吹き込んだ。サウスポーから繰り出すスパイクはもちろん、これまで岡山が多用していなかったバックアタックでアクセントになったのである。

 またスタッフとしては昨季まで大分三好ヴァイセアドラー(昨季かぎりで活動休止)を指揮していたポール・ムレイがコーチとして加入した。日本での指導歴も長く、今回は女子チームに携わるということで岡山にどのような影響をもたらすかは気になるところ。

2024―25シーズンの戦い方予想

 昨季かぎりで引退した川島亜依美と宮下遥を含めて4名の選手が抜けたわけだが、そもそもメンバーを固定するのではなく、対戦相手や当日の選手たちの状態それに試合中も戦況に応じて、多数の選手を起用する“総力戦”が代々のスタイル。今季も総勢23名の登録選手が、それぞれの持ち味を発揮して勝機を呼び込む。

 なかでも川島からバトンを受け継いだアウトサイドヒッターの金田修佳とセッターの宇賀神みずきの入団10季目ペアは、共同キャプテンとしてチームを引っ張る。

 攻撃面では、昨季チーム最多304得点をマークしたアウトサイドヒッターの佐伯亜魅加はパワフルな打球がきらり。U20女子日本代表として国際大会にも出場し、2023年度日本代表にも登録された実績を持つ将来有望なエースはここからが楽しみな存在だ。また、ミドルブロッカーの長瀨そらは攻守においてチーム内でも高い数字を残しており、年々存在感は増している。さらに守備の中心は昨季ルーキーながらチーム最高、リーグ全体7位のサーブレシーブ64.2%をマークした城戸陽菜。SVリーグになり、外国籍選手の力強いアタックやサーブが強襲すると予想されるが、どこまではね返すことができるか、果たして。

注目選手:金田修佳

 小学生の頃から身長は170センチに到達するなどサイズに恵まれ、6年生時には大阪の平野ジュニアーズのエースを務めると全日本小学生大会で優勝。進学した府下の名門・大阪国際中学校では3年生時に地元開催の全日本中学校選手権大会で日本一に輝く。

 高校卒業後は岡山に入団し、高いアタック力でエースの役割を託されると2019-20 V.LEAGUE DIVISION1では準優勝の原動力になる。このシーズンでは総得点403を叩き出し、これは日本人選手で唯一の400点超えだった。なお、敢闘賞とベスト6に輝いている。

 初優勝に歓喜した昨季の第72回黒鷲旗全日本バレーボール男女選抜大会では決勝のデンソーエアリービーズ戦で両チーム通して最多の19得点の活躍。こちらでもベスト6に選出された。

 多彩なタイプのアタッカーがそろう岡山の中でも、アタックセンスと決定力の高さ、それに経験値は申し分なし。同期の宇賀神みずきと共同キャプテンを務めるわけだが、これまでと変わらずプレーでもチームを牽引する姿が見られるだろう。SVリーグでも力強く、腕を振り抜く。