2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日に開幕した。世界最高峰のリーグを目指すSVリーグには、日本代表の選手だけでなく各国からもスター選手たちが多く集結。そのハイレベルなプレーが見られるはずだ。今回はその中でも注目の12選手(Part2では4選手)を紹介していく。
リカルド・ルカレッリ(ジェイテクトSTINGS愛知/ブラジル代表)
ブラジル代表として2016年のリオデジャネイロ五輪では金メダルを獲得し、個人賞でベストOHに選出された経験を持つルカレッリ。世界トップOHの1人として長きにわたり名を連ねている。
ルカレッリは攻撃が強みのオールラウンダー。特に勝負所のサーブが素晴らしい選手で、決め球はストレートコースだ。
2023年まで日本がブラジルに勝てなかったのは、彼が勝負所でサービスエースを奪い、流れを掴んでいたのも大きな要因だ。
長年攻撃面で評価されてきたルカレッリだが、近年は守備面でも評価されている。代表とクラブチームの両方で超攻撃型のOHであるイオアンディ・レアルと対角を組んでおり、レアルの攻撃力を活かす為に広い守備範囲を担当していた。
一方、STINGS愛知ではルカレッリと同じく攻撃が強みのオールラウンダーのトリー・デファルコと対角を組み、リベロには小川智大がいるので守備の負担は減ることは間違いないだろう。数年ぶりに攻撃特化のルカレッリを味わえる貴重なシーズンとなるかもしれない。
トリー・デファルコ(ジェイテクトSTINGS愛知/アメリカ代表)
世界トップクラスのOHとして名を馳せるデファルコ。パリ五輪の3位決定戦ではチーム最多のアタック得点でアメリカ代表の銅メダル獲得に貢献した。
クラブでも世界3大リーグの1つであるポーランドリーグでベストOHに選出されるなど結果を残している。
そんなデファルコのプレーの特徴は攻撃力の高さだ。並外れた身体能力から繰り出される高速平行とパイプは彼の必殺技であり、速いトスで遅れた敵のブロックをパンチのあるスパイクで吹き飛ばすスパイクは観ていて爽快だ。
普通はトスが速くなるほどセッターとのコンビが難しくなり、体重を乗せたスパイクが打てなくなるのだが、デファルコは高い身体能力を活かしてスパイクの威力を落とすことなく打ち抜くことができる。
高速トスからのパンチのあるスパイクは世界でも彼だけに許された芸当だ。
また、デファルコはビーチバレーでも活躍。世界大会で入賞した経験も持っており、2人でバレーを成立させるビーチバレーでも活躍していたデファルコは何でもできる器用な選手だ。
デファルコが出場する試合を観戦する時は、高い身体能力から繰り出されるパンチの効いたスパイクといった剛のプレーと、ビーチバレー由来の粘り強いレシーブや意表を突いたフェイントといった柔のプレーの両方に注目だ。
ニミル・アブデルアジズ(ウルフドッグス名古屋/オランダ代表)
オランダ代表の主将も務めるニミル。オランダ代表として、2021年のVNL予選ラウンドではベストスコアラー、ベストアタッカー、ベストサーバーを受賞。2022年にもベストスコアラーとベストサーバーに選ばれると、2023年にもベストサーバーとなり、3年連続で受賞した実績を持つ。
ニミルが出場した大会やリーグでは必ずと言っても過言ではない程最多スコアラーやベストサーバーに名を連ねるが、そんな偉業も何より試合に出場し続けるコンディション調整の上手さもあるからこそだろう。
ニミルのプレーの武器は、実績が物語っている通り破壊力抜群のサーブとスパイクだ。
201cmとは思えないほど体の使い方が上手い選手で、上体をグッと反らしてから綺麗なくの字でパワフルすぎるサーブとスパイクを放つ。特にサーブについては世界最高のサーバーの1人で、イオアンディ・レオンのサーブの世界最速記録138kmに続く137kmを記録してる。
また、意外にも元セッターであり、2012年のバレーボール男子欧州リーグではベストセッターに選出された過去も持っている。
世界トップOPニミルの破壊力抜群のスパイクとサーブはもちろん、セッター由来の繋ぎの巧さも楽しんで欲しい。
ティネ・ウルナウト(ウルフドッグス名古屋/スロベニア代表)
スロベニア代表のキャプテンを務めるウルナウト。スロベニア代表は日本代表のように近年力をつけた強豪国で、今年のVNL予選では、日本戦以外を全勝で首位通過。さらにパリ五輪の1次リーグでは金メダルを獲得したフランス代表を撃破している。
そのスロベニア代表の中心選手として活躍するウルナウト。テクニカルで攻守のバランスの良いオールラウンダーであり、どんなプレーもこなせるので、チームの状態に合わせて自分のプレースタイルを変えられる選手だ。
例えばスロベニア代表でのウルナウトは縁の下の力持ち。スロベニア代表は若手のスパイカーが多い。若い選手は高さとパワーは世界トップクラスのものがあるが、直線的で対策されやすく、また守備でも不安がある。
そうした状況の中でウルナウトはテクニカルなスパイクで敵に緩急をつけることで相手を撹乱し、守備でも広い範囲を引き受けることでチームの弱点を完璧に補完している。
また、昨季まで所属していたSTINGS愛知では、本来のポジションではないOPでプレーすることもあった。
チームの勝利のためにはエースにも守備要因にもなれるウルナウトのオールラウンダーさにも注目だ。