[写真]=WOLFDOGS NAGOYA、坂口功将、金田慎平

 SVリーグのレギュラーラウンド全22節のうち、第16節までが終了した。

 リーグ戦の折り返しを迎えて見えてきた全10チームの特徴を、SVリーグ公式サイトで発表されているスタッツを参考にまとめていく。

■大阪ブルテオン(1位/25勝3敗)

大阪Bは現在リーグ首位を独走中だ。

その大阪Bはエースが3人いるのが最大の特徴で、日本代表リベロの山本智大を中心に堅いディフェンスでつないだボールを、ミゲル・ロペス、西田有志、トーマス・ジェスキーの3人のサイドアタッカーが打ち切るのが大阪Bのバレーボールだ。

SVリーグ全選手のアタック決定率ランキングでは、ロペスが2位(55.9%)、西田が5位(53.5%)、ジェスキーが7位(52.7%)といずれも高い水準だ。

ほとんどのチームが1人の絶対的なエースに2段トスが偏る中、大阪Bは3人の中から体勢の良い選手を選択することができる。

リーグの総得点ランキングではチームトップの西田が10位と決して高くはないが、それも大阪Bの強さの証と言えるかもしれない。1選手の調子に左右されない安定感のある強さが首位独走の秘訣だ。

■ウルフドッグス名古屋(2位/23勝7敗)

2位のWD名古屋はサーブ効果率のランキングが全チーム中1位(11.8%)のチームだ。

個人のサーブ効果率ランキングを見ても、世界的ビッグサーバーのニミル・アブデルアジズが1位(16.8%)、変幻自在なハイブリッドサーバーの深津英臣が7位(12.7%)、ショートサーブが巧みな山崎彰都が9位(12.1%)にランクインしている。

サーブ効果率TOP10に同チームの選手が3人いるのはWD名古屋だけだ。

中でもチームを語るのに絶対に外せないのがニミル。世界トップのオポジットであるニミルは、総得点(797得点)、アタック決定率(57.9%)、サーブ効果率の全てが1位という圧倒的な数字を残している。

強力なサーブで崩して、ニミルに託すのがWD名古屋のスタイルだ。

■サントリーサンバーズ大阪(3位/20勝8敗)

3位につけるサントリーはドミトリー・ムセルスキーと髙橋藍が中心のチームだ。

ムセルスキーはサントリーを3度の優勝に導いた絶対的エースで、218cmの身長を活かした敵ブロックの上から打ちこむスパイクで得点を量産する。

個人ランキングでは、総得点で3位(626得点)、サーブ効果率で3位(15.0%)、1セット当たりのブロック決定本数では1位(0.68本)と高い成績を残している。

一方の髙橋は攻守の要だ。アタック決定率とレセプション返球率がチーム内1位の成績を誇る。

個人ランキングではアタック決定率はリーグ4位(53.7%)、サーブレシーブ成功率は全体9位(44.4%)で共にリーグトップクラスの数字を記録している。

また、サントリーは最もスパイクで得点するチームで、1セットあたりのアタック決定本数が全10チーム中トップ(14.22本)。強烈なスパイクが見所のチームだ。

■東京グレートベアーズ(4位/18勝12敗)

4位につける東京GBはサーブ&ブロックが特徴のチーム。

全10チーム中サーブ効果率が4位(9.1%)、1セットあたりのブロック決定本数は2位(2.16本)だ。

サーブ効果率については大竹壱青と伊藤吏玖が全ミドルブロッカー内で1位(12.0% )と2位(9.7%)の成績を誇る。

ミドルブロッカーはビッグサーバーが少ないポジションだが、東京GBは大竹と伊藤がビッグサーバーであり、コートに立つ選手全員がサービスエースを狙える。

そして、ブロックについてはオポジットのマチェイ・ムザイの存在が大きい。1セット当たりのブロック決定本数が全選手中2位(0.57本)の実力。ムザイのブロックは1人で2人分程の存在感があるので、東京GBのブロッカー陣は割り切ったブロックで成果を挙げられている。

東京GBは敵に息をつかせないサーブと、そのサーブで崩してからのブロックに定評のあるチームだ。

■ジェイテクトSTINGS愛知(5位/18勝12敗)

5位のSTINGS愛知は各選手の技術力が世界トップクラスで、個の得点力が高いチームに仕上がっている。

まず、STINGS愛知はバックアタックの決定本数が全チーム中3位。バックアタックは難易度が高いプレーとされているが、世界トップクラスのセッター関田誠大とオポジットの宮浦健人が抜群のコンビで叩き込む。宮浦はオールスター前の負傷でそこから戦線を離脱しているものの、バックアタック決定本数ランキングではいまだ3位(230本)につけている。

さらに、STINGS愛知はブロック本数も全チーム中1位。3年連続でブロック賞を受賞している髙橋健太郎に加えて、個人のブロック本数ランキングでは村山豪が3位(58本)、トリー・デファルコが7位(53本)の数字を記録している。

そして、サービスエース数も全チーム中2位(151本)。個人のサービスエース数ランキングでは宮浦が2位(56本)、デファルコが6位(36本)だ。

STINGS愛知の試合では、圧倒的な個の力から生まれるスーパープレーに注目だ。

■日本製鉄堺ブレイザーズ (6位/12勝16敗)

チャンピオンシップ出場圏内のボーダーラインである6位に浮上した日鉄堺BZは、全チーム中1位(44.2%)のサーブレシーブ成功率を誇るレセプションと絶対的エースのシャロン・バーノン=エバンズの攻撃力が武器のチームだ。

レセプションについては、リベロ森愛樹の存在が大きく、森は個人のサーブレシーブ成功率ランキングで群を抜いて1位(56.0%)の成績だ。

リベロの森に加えてレセプションに参加するアウトサイドヒッターのルチアーノ・パロンスキー、髙野直哉も16位(41.7%)、17位(41.3%)とランキング上位の実力者だ。

この3人がコートに揃う時は、リーグ内で最も堅いサーブレシーブ陣形といえる。

エースのバーノン=エバンズはアタックの数値すべてがTOP10に入る攻撃力を誇る。特に世界トップクラスの最高到達点382cmを最大に生かせるフロントからのアタックを得意としている。

日鉄堺BZはリーグトップのレセプションとバーノンの高さを活かしたスパイクに注目だ。

■広島サンダーズ (7位/12勝18敗)

7位の広島THは、エースのフェリペ・モレイラ・ロケを中心としたチームだ。

ロケは個人ランキングで総得点は2位(687点)、サーブ効果率も4位(14.8%)と攻撃力の高さを証明している。

また広島THはフロントアタック決定本数が全チーム中1位。オールスターにも出場した最高到達点350cmの新井雄大の高さや、攻撃力が高いミドルブロッカーの三輪大将が生きるのが前衛だからだろう。

もう1人のエースであるオレオル・カメホ・ドルーシーもケガから戻ってきており、身長207cmのカメホと212cmのロケの二大巨頭を誇るWエースチームが完成するだろう。

絶対的エースであるロケの攻撃力と、全チーム中1位の決定本数を誇るミドルブロッカー陣の前衛からのスパイクが武器だ。

■VC長野トライデンツ(8位/7勝21敗)

8位のVC長野は、レセプションと若手オポジットのウルリック・ダールに注目のチームだ。

レセプションについては全10チーム中2位のサーブレシーブ成功率を誇る。

個人のレセプション返球率ランキングではリベロの備一真(49.7%)、アウトサイドヒッターの迫田郭志(48.3%)がそれぞれ2位と3位の成績を残している。

サーブレシーブを完璧に返した時のアタック決定率は約80%と言われていて、とても重要な数値だ。

また、オポジットのウルリックはチームの絶対的エースだ。最高到達点363cmの左腕から放つスパイクでアタック決定率ランキングでは9位(51.5%)につけている。

昨季は最下位で苦汁を嘗めたVC長野だが、今季は目標としている10勝の内6勝を既に達成。チームとしての完成度を上げるVC長野の快進撃に注目だ。

■東レアローズ静岡 (9位/6勝22敗)

ここまで9位とやや苦しむ東レ静岡だが、ブロックとサイドアタッカーの攻撃力に注目したい。

ブロックは東レ静岡の伝統的な武器の1つで、髙橋健太郎が退団した今季も個人の1セットあたりのブロック決定本数ランキングに西本圭吾が5位(0.51本)にランクイン。日本人選手ではトップの成績だ。

西本は身長189cmとミドルブロッカーでは小柄ながら、粘り強さに定評のあるブロックでギリギリまで敵のスパイクに食らいつく。

サイドアタッカーの攻撃力については、山田大貴とアラン・ソウザの2枚看板に注目だ。

山田は48.7%のアタック決定率で、外国人選手並みのパワーを誇る期待の若手だ。一方のアランは、欠場する試合も多いが、試合に出場すればその存在感は抜群だ。

アランの調子が上がって、山田やリベロの武田大周といった若手が躍動すれば、チャンピオンシップ出場も目指せるはずだ。

■ヴォレアス北海道(10位/3勝25敗)

現在10位のヴォレアス。サーブ効果率は全10チーム中7位(7.7%)ではあるものの、下位チームの中では明確にサーブを武器としている。

今季勝ち星を挙げた試合でも、サーブで敵のレシーブを崩せたことが大きな勝因だった。

特にアウトサイドヒッターの池田幸太、セッターの山岸隼のハイブリッドサーブが強力で、池田は日本人アウトサイドヒッターでは4位(10.2%)、山岸はセッターでは2位(10.0%)のサーブ効果率を誇る。

またヴォレアスはバックアタック決定本数も10チーム中4位と好成績だ。エースの張育陞はバックアタック決定本数が全体4位(226本)、さらに身長180cmと選手としては小柄ながらバックアタックが得意な池田が主軸となっている。

サーブで攻めきり相手を崩したところを突ければ、シーズン4勝目もそう遠くないはずだ。