[写真]=坂口功将



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――天皇杯をご覧いただいて、印象はいかがですか?

ステファノ氏「とても素晴らしい大会ですね。今日(準決勝)はハイレベルな試合もあり、私も楽しませてもらいました」

――東レ静岡でプレーする息子、フランチェスコ選手の姿はどう感じましたか?

ステファノ氏「まず東レに対して、とても組織的なチームだと感じました。ただ怪我人もいて、結果は振るわなかったようですね…。その中でも彼はこのチームに所属していることを心から楽しんでいるようです。叶うならば来季もここでプレーしてもらいたいものです」

今季から東レ静岡でプレーするフランチェスコ・レチネ [写真]=坂口功将

――世界中を見渡すと、フランチェスコ選手は決して高い部類ではありません。ですが、アンダーエイジカテゴリー代表では国際大会で結果を残し、シニアのイタリア代表でも2022年世界選手権優勝メンバーに名前を連ねました

ステファノ氏「確かに息子は大きくありません。ですが、とても高く跳びますし、長い腕が備わっています。とてつもないスパイクを放つことはできませんが、質の高いレシーブ力とサーブがフランチェスコ・レチネという選手のパフォーマンスを支えています」

――幼少期は彼のサイズに不安を覚えたりしませんでしたか?

ステファノ氏「いえいえ、そんなことは。というのも、小さい頃、彼はサッカーをやっていたんです。そこでは体が大きなほうでしたから。それに私も妻も代表チームでプレーした選手でしたから、彼がバレーボールを始めるときに決して不安を覚えることはなかったものです」

――現在のイタリアバレーボール界ではフランチェスコ選手のほかに、ダビデ・ガルディーニ(ミラノ)、トマッソ・リナルディ(モデナ)、マッティア・ボニンファンテ(チヴィタノーヴァ)ら二世選手の姿も見られるようになってきました

ステファノ氏「ほんとうに驚きですし、うれしいものですよ。親たちからすれば、息子がバレーボールをするのは自然なことと言えるでしょう。ですが、私から息子へ『バレーボールをやるんだ』と言ったことは決してありません。本人たちが自分で決めたのです」

「フランチェスコの場合は、16歳からクラブ・イタリア(※)に入団する道を選びましたね。ローマの若いチーム(クラブ・イタリア)でプレーすることは、少なからず家族としては複雑でした。ですが、そこで息子は成長してくれました」

(※)イタリアのアンダーエイジカテゴリー代表を兼ね、一つのクラブチームとして年間を通じて活動することで選手の育成・強化を図っている。過去にはセリエAの2部に参戦していた時期もある

――今後はどんな選手になってほしいと願っていますか?

ステファノ氏「そうですね…ミハウ・クビアク(ポーランド)や髙橋藍のような選手になってほしいものです。彼らも決して大型な選手ではありませんが、すべてにおいて素晴らしい要素を備えています」

髙橋藍の身長はレチネより3cm高い188cm [写真]=Getty Images

――髙橋藍選手の名前を挙げていただき光栄です。ちなみにパリ五輪の準々決勝、日本とイタリアの試合はご覧になられましたか?

ステファノ氏「あのときはイタリアと壮絶な戦いを繰り広げましたね。敗れたショックは計り知れなかったことでしょう。もし日本が勝利していたならば、日本は決勝まで駒を進めていたと私個人としては思っています。日本はとても一体感のあるチームで、どの選手もファンタスティックなプレーを披露しますからね」