[写真]=坂口功将

 アンダーエイジカテゴリー日本代表においては世界U19女子選手権大会でベストスコアラー&ベストアタッカーに、名門・共栄学園高校(東京)のキャプテン兼エースとしては自身最後の春高で優勝&大会最優秀選手に輝く。そうした実績に大きな期待が寄せられる女子の秋本美空が3月16日、ついにSVリーグ初得点を記録した。

 三度目の正直ならぬ、5セット目の正直、といったところか。「やっと、という思いです」と安堵と喜びの表情を浮かべた秋本。デビュー戦はその1週間前だった。高校を卒業してまもなくチームに合流し、3月8日〜9日のアウェーゲームに帯同する。その初日、9日の第2セットで初めてコートに立つ。第3セットも途中で投入されたものの、その試合では打数こそ5本を記録したが、得点することはできなかった。翌日は出場なく、週をまたいでホームゲームのデンソーエアリービーズ戦。第1、第2セットのいずれも途中交代で入ったが、主にリリーフブロッカーとしての起用でアタックを打つ機会はなく。「ボールに触りたい」と募る思いを口にした。

[写真]=坂口功将

 そうして迎えた翌16日。第1セットは14-20と相手にリードされた局面でコートに送られる。14-21から相手サーブを返球するとそのまま攻撃に参加し、上がってきたトスを打つ。だが、ここは相手リベロの川畑遥奈に正面で拾い上げられて、このセットでの初得点はおあずけとなった。

 続く第2セットは開始時からコートイン。そのファーストプレー、ラリー中で秋本はアタックを打つも相手のブロックにかかり決まらず、思わず観客席から「決まらずかぁ」という声がこぼれる。それでもチームが切り返し、もう一度トスは秋本のもとへ。レフトからストレート方向へ一閃。出場して5セット目、ついに待望のリーグ初得点をマークしてみせた。

[写真]=坂口功将

 以降は、せきを切ったかのように、実にのびのびとプレーする。バックアタックも繰り出し、終わってみればアタックで20得点。ブロックシャット1本も含めて、この日チーム最多となる21得点を挙げた。その試合で見せたのは、アタッカーとしての非凡な才能と冷静さだった。試合後、秋本は初得点までの過程をこのように語った。

「(今年1月の)春高が終わってからボールを触っていない時間が多くて、ボールの感覚が鈍っている部分はありました。クロス方向に打つと、そこにはやはりリベロがいて拾われてしまう、それが第1セットでした。なので、次に入らせてもらったときにはクロスではなくストレート側へ打つことを意識していました」

 加えて第2セットの初得点時も、1本目のアタックではワンタッチをとられたことを反省材料としていた。

「ブロックの上から打つことはずっと意識していることです。これまでは自分よりも身長の高い選手がなかなかいませんでしたが、SVリーグでは自分と同じか、それ以上の高い選手にブロックへこられるとタッチをとられてしまいます。しっかりとスパイクジャンプをしていれば、もっともっと上から打てたのかなと思いますね」

 冷静だったのも、デビュー戦から時間こそ短くともコートに立つ機会があったことが少なからず奏功したのだろう。何より“得点する”というゴールまでの過程において自らに修正を施していた。それはアタッカーとして不可欠な要素だ。

 そしてこの試合では、さらにこんな姿も披露している。初得点を決めてからはレフトでのアタックに関しても、ややセッターに近づくように内に切り込み、そこからライン側へ打つことでブロックアウトを奪うほか、ときにはほぼクイックかと思うほどの早いテンポでのアタックをセンターエリアから仕掛けることで得点を重ねたのだ。

「あれは自分からセッターに言いました。春高のときから真ん中(センターエリアの攻撃)が得意なので。自分がいちばん得意なコースですし、機動力を生かしたほうが点数を取れるのは共栄学園高校でつかんだことです。自分がやってきたことを生かして得点したいと思っていました」

 その言葉は、秋本美空に備わる芯の強さを感じさせた。

「自分が決めたときにチームの方々がとても喜んでくれたり、やりやすい環境をつくってくれたのでありがたかったです。第2セットはスタートから入らせてもらって、そこではびっくりしてしまったので。今度は驚かないで、そこは『自分だよね』という感じで入れるようにします」

 のぞかせるは、大器の片鱗。この先の成長が、実に楽しみである。

[写真]=坂口功将

[写真]=坂口功将