[写真]=WOLFDOGS NAGOYA

 振り返れば、出遅れから始まった今シーズンだった。リーグ開幕を控えた直前に、腰のヘルニアを患った。近自身は「職業病ですよね」と受け止めていたが…。

「めちゃくちゃ不安でしたよ。2年前ぐらいに痛めたことがあって、そのときは『うわ、これでもう終わりか』なんて思ったのですが、戻ってくることができました。そこからもう一回やってしまって…それにシーズン前でしたから、マジで最悪だと思いましたもん」

 痛みを覚え始めたのは7月末だったそうで、自覚はありながらも8月を過ごし、9月に入ると限界を超えた。

「最初に休んでいたらよかったのにね。そこは賢くなかったと思います。でも、やっぱりやらなきゃ、みたいな思いがそのときは強くて」

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 そこにはチームの台所事業が理由にあった。WD名古屋は昨季かぎりで多くの主力選手が退団した。また夏の時期は日本代表活動や外国籍選手も帰国中といった様々な事由が重なるため、チームで活動するメンバーは数えるほどになる。ミドルブロッカーは近のほか、傳田亮太、小山貴稀と3人だけ。夏場の練習試合では、このメンツで回す必要があった。

「いちばんは、たくさん選手が替わったことが大きかったですね。ずっとチームにいるメンバーの一人として、自分がしっかりやらなければ、みたいな。そこで『僕は午後からは休みます』とは言い出しにくいじゃないですか。それに僕が出られないとなると今度は傳田がつぶれてしまうかもしれない…とか、ほんとうに色々とあのときは考えていたと思います」

 いざリーグが開幕し、試合を外から見守る時間が続いたが「徐々に、ですが」(近)コンディションを整え、11月9日の日本製鉄堺ブレイザーズ戦で復帰を果たす。試合前の選手入場では「ミスターウルフドッグス名古屋、No.6!! コーン・ヒロタカーッ!!」のアナウンスが響き、長らく親しまれるユニフォーム姿のまま試合へ。以降はコンスタントに出場機会が与えられると、年が明ける頃には堂々と戦列に立つ。これにはチームの佐藤和哉部長も「さすがにもう厳しいかなと思っていましたが、そこは近でしたね。すごいです」とうなっていた。

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