ふと、その姿を見ると、試合でも練習でも両足にはがっちりとサポーターを施しているのがわかる。「ほんとうは何もつけずにプレーしたいんですけどね。こればかりはしかたがないです」と近は言う。それもすべては「コンディションを100%整えるのが絶対条件なので」。そうしてコートに立ち、自分の役目を果たしていくのだ。
3月30日の大阪B戦は第4セット、近がサービスエースを奪った場面で、観客席にいた年配の男性が口にした。
「まだ引退するのは早いよ〜」
そんなファンの思いや声は、近にも届いている。

「今日は家族も来ていましたし、僕の知り合いは土日とも、それに夏場に実習でお世話になったTGロジスティクスの方々も100人くらいで応援にきてくれたので。自分の引退がどうとか関係なく、パワーをもらえました。ですが、いい結果を出せなくて残念です」
「特にアタック面に関して決まらなかっただけに、どうやって決めるか。決まらなくてもいかに自分たちに有利な状況に持っていくか、はもっともっとできると思います」
応援に応えたい、そしてチームのために自分ができることを。その願望が、“DARE TO CHALLENGE=成長しよう”を掲げるチームにおいて、「成長できるところがまだある」という言葉につながっているのだろう。
すべての戦いを終えてユニフォームを脱ぐ、そのときがきても。近裕崇選手、あなたはミスターウルフドッグス名古屋だ。