3月26日につくばカピオ(茨城)にて行われた「TSUKUBA LIVE!」。これは筑波大学の体育スポーツ局が主催し、大学だけではなく地域振興も含めたホームゲームイベント。今回は男子バレーボールとして筑波大学と中央大学の試合が実施された。
筑波大学男子バレーボール部としては、一昨年にアメリカの強豪ハワイ大学と対戦したとき以来の「TSUKUBA LIVE!」(昨年は女子がカナダのアルバータ大学と対戦)。計画は昨年の夏頃に立ち上がり、東日本インカレで筑波大学の秋山央監督は中央大学に参加を持ちかけたそう。中央大学の野沢憲治監督も快諾して今回のカードが実現したわけだが、関東大学バレーボール連盟から2025年度春季関東大学男子1部リーグの開幕週2日目(4月13日)に対戦することが発表され、思わぬ“前哨戦”となった。
とはいえ、「それは度外視しまして(笑)。春季リーグにむけた強化も最終段階に入っていますので、今できることをお客さんの前で披露したいと考えていましたし、相手の中央大学は強いですから、我々としては胸を借りるつもりで臨みました」と秋山監督の言葉だ。
試合は平日の14時開始にもかかわらず、大学生以外に地元住民など計564名が観戦に訪れた。その観客を前に、筑波大学のセッター迫優成(2年)は「最初から最後まで緊張していました」と明かすも、その迫のサービスエースでゲームはスタートする。出だしはサイドアウトの応酬で進んだが、中央大学はキャプテンでエースの坪谷悠翔(4年)を中心に4連続得点を挙げて一気にリードを奪う。一方の筑波大学も19-20からミドルブロッカー山下彪(3年)のクイックにエースの亀岡聖成(2年)のアタック、そして身長210㎝の大砲・牧大晃のノータッチサービスエースと3連続得点で逆転に成功。デュースに持つれこむも競り勝ち、第1セットを先取した。

4年生になりキャプテンを務める牧は第2セットに入ってからも前衛後衛問わずに得点を重ね、筑波大学が19-11と最大8点差をつける展開に。だが、ここから中央大学の戦略的なサーブを前に攻めあぐね、筑波大学は7連続失点。これには「相手のサーブの特徴を踏まえて、捕球しやすい位置に入るなど工夫が必要だった」と牧も振り返り、セッターの迫も「トス回しにとても頭を使った」と苦しんでいた。それでもミドルブロッカー細川晃介(3年)のクイックからリズムを取り戻して、最終的に筑波大学が第2セットも取りきった。
対する中央大学は第3セットからメンバーを変更し、尾藤大輝(2年)や神﨑優(1年)ら下級生をコートに立たせる。その意図について「新チームになってからいろんなメンバーや組み合わせで取り組んできましたし、部員たちにも『この1年は一つのかたちでずっと戦うのではなく、選手が入れ替わりながら、いい状態をつくっていく』と伝えています」と野沢監督。春季リーグ直前ということもあって、その“本番”を見据えたうえでの起用だった。
「一つのセットを最初から丸々戦わせたいとは当初から考えていました。思いきって挑戦してもらい、通じる部分や通じない部分を感じてほしかった」という野沢監督のねらいどおり、その第3セットも最後に競り負けはしたものの、神﨑が牧のアタックをシャットするなど、今後に期待がふくらむ場面も見られた。
結果的に試合は筑波大学がストレート勝ちを収める。とはいえ、筑波大学としては怪我人を抱えていたため、牧をこれまでオポジットではなくアウトサイドヒッターに、オポジットには木村光希(1年)を起用するなど「3月に入ってから、この組み合わせを試したのでなかなか厳しかったです。試合の出来としては、まだまだ」と秋山監督は苦い表情。牧も「相手が何をしてくるかつかめていない状況だと、攻撃も守備も思いきってプレーできない点が自分たちの課題だと感じました。そこを詰めていけば、もっともっといい試合ができるのかなと思います」と、反省と合わせて収穫を口にした。

春季リーグを皮切りに、いよいよ今年度の大学バレーボールシーンが幕を開ける。「全日本インカレのように観客が入る空間をこうして経験させてもらえたことに感謝しています」と牧が語ったように、見据えるは集大成での日本一だ。と同時に、秋山監督は「もちろんそこを目指しますが、リーグ戦などふだんの試合からでも、見ている方々に『筑波大学はいいバレーをしているな』『また見にこよう』と思ってもらえるような戦いをしたいですね」と、大学バレーの魅力や価値を高める役目を担う者としての目標を描いた。
春季関東大学男子1部リーグは4月12日(土)に小田原アリーナ(神奈川)で開幕し、12チームの一回戦総当たりで争われる。今季の“大学一冠”目をつかむ戦いに注目だ。
【TSUKUBA LIVE! 男子バレーボール/試合結果】
筑波大学 3-0 中央大学
(27-25,25-23,25-23)