京都市出身で、ともにサントリーサンバーズ大阪に所属する髙橋塁と藍が兄弟揃って「京都府文化観光大使」に任命され、5月27日、京都府庁で行われた委嘱式に出席した。
これまでに京都府の文化観光大使に任命されたのは45人。スポーツ界では日本ハム、オリックス、阪神でプレーした糸井嘉男氏が就任しているが、現役のアスリートが任命されるのは初めてのこと。
髙橋藍は「何か京都に携わることはできないか、2人で京都を盛り上げていきたい、という気持ちはずっとあったので、こうして文化観光大使になれたことを嬉しく思います。いろんな京都のいいところをアピールできるように頑張っていきたい」と意気込みを語った。
委嘱式では、西脇隆俊京都府知事から2人に委嘱状が手渡され、和やかな雰囲気の中で歓談が始まった。知事に京都のおすすめスポットやグルメを尋ねられると、塁は「嵐山」や「天龍寺」、「山元麺蔵」を、藍は家族で旅行した「天橋立」や「阿闍梨餅(あじゃりもち)」を挙げた。
徐々に2人の緊張も解けていき、中学・高校時代は野球部だったという知事と、学生時代の厳しい練習の話題に。塁は「東山高校の時が特にしんどかった。白川通を抜けて銀閣寺にタッチして帰ってくる“銀ラン”というランニングメニューがあって、景色の素晴らしい通りを走らせていただいていたんですけど、地獄でした」と苦笑した。
また、西脇知事は「SVリーグのチェアマンの大河(正明)さんは私の(洛星)高校の後輩で、この間も来られて話をしたんですよ」と意外な縁を明かした。
塁、藍の2人は東山高を卒業後、東京の大学に進学したり、海外に住んだことで、京都の良さを改めて実感し、自慢の故郷になったという。
「イタリアでプレーしていた中で感じたのは、京都は世界的な観光地としてトップに入る場所で、海外の選手も京都のことは知っている。抹茶であったり、京都の食べ物やお寺などの文化、歴史はすごく知られていた。自分は身近にあった分、当たり前すぎて、そういう魅力になかなか気づいていなかったんですけど、海外に行ったことで、京都の素晴らしさや世界的な部分に気づけました」と藍。
塁も「『京都出身です』と言うと、『京都いいところよね』とすべての方が返してくださるぐらい、胸を張って言える本当に魅力のある場所だなと感じています」と話す。
御朱印集めが趣味だという塁は、「京都は食べ物も、京料理や京野菜など本当に美味しいものばかり。自分たち髙橋家は食べることが大好きだし、新しいことが好きなので、いろんな場所に行って、京都のことを全力で盛り上げていきたい。京都が大好きだからこそ、情熱を持ってできる」と意欲的。これまでも兄弟のYouTube「らんるいチャンネル」などで京都について発信してきたが、これからますます魅力発信に力を入れる。
バレーボールでの次の目標について聞かれると、塁は「今季のサンバーズは、藍もそうですけど、すごい選手が来て選手層を強化したシーズンだったので、僕自身まずユニフォームを着るところから、なかなか大変なシーズンでした。その中で(SVリーグの)ファイナルでもリリーフサーバーとして出て、兄弟で最後ユニフォームを着て優勝できたことは本当に嬉しく思います。でも今年できたから来年できるとは限らないので、来シーズンはより一層、リリーフサーバーとしても、それ以外の部分でも、チームに貢献できるように頑張っていけたら」と語った。
藍は「今回天皇杯優勝、SVリーグの初代王者になれたんですが、アジアチャンピオンズリーグでは3位という悔しい結果だった。そこに勝てば世界クラブ選手権というところに繋がっているので、来季こそは、アジアまで獲って三冠を達成したい」と力を込めた。
今月、島津アリーナ京都で行われたアジアチャンピオンズリーグ準決勝で敗れた悔しさをのぞかせたが、すでに次を見据えている。
これから始まる代表活動に向けて、「今回文化観光大使をやらせていただくことになり、それも背負いながら日本代表として戦っていくことも、京都の魅力を伝えていく一つの方法。京都出身のプレーヤーとして、この夏には世界選手権が控えているので、そこでメダル獲得に向けて頑張っていくことが一番。しっかりと代表の中でも京都をアピールしながら、結果を残していきたいなと思います」と語った。新たな肩書きもモチベーションにして、今年も世界を相手に存在感を見せつける。