[写真]=古川剛伊

 クラブシーズンも閉幕し、いよいよ活動が本格化してきた日本代表。すでに2025年度の登録メンバーが発表され、2028年のロサンゼルス五輪へのサイクルをどのような編成で戦っていくのかは注目である。

 そのなかでも、いつも層の厚さを実感するのが日本のリベロだ。世界的にも定評のある日本のディフェンス力をコート上で体現する専門職ではあり、女子の今年度代表メンバーに6名が選出された。

 昨年のパリ五輪に出場した小島満菜美と福留慧美は2024/25クラブシーズンを、小島がアメリカのプロリーグ「LOVB」で、福留がイタリア・セリエAで過ごし、2人ともパリ五輪の金メダリストたちが自チームや対戦相手に並ぶなかでレベルアップに努めてきた。

 一方で初選出されたのは、西崎愛菜(大阪マーヴェラス)と2024-25 大同生命SVリーグで「トップサーブレシーバー」に輝いた川畑遥奈(デンソーエアリービーズ)の2人。そして岩澤実育(埼玉上尾メディックス)は2023年度以来2度目、西村弥菜美(SAGA久光スプリングス)は3年連続での登録となっている。

 いずれも実力者ぞろいのなか、まずは「自分のいちばんの武器であるサーブレシーブで」勝負すると口にしたのは西村だ。

「もちろんサーブレシーブを武器としているリベロはほかにもいますが、そのなかでもセッターへ返す1本目のボールの質をとにかくよくしたいと考えています。そこはこだわってきたところですし、これからも追求していきたい」と西村。2022-23シーズンに日本人選手記録となるサーブレシーブ成功率74.8%をマークし、翌年もサーブレシーブ賞を獲得するなど、それがストロングポイントであることは数字のうえでも見てとれる。

 と同時に、5月22日の記者会見では壇上で「自分の壁を越えられるように、日々の練習に励みたい」と語った。乗り越えたい壁、とは?

「サーブレシーブとディグの両方を考えたときに、私自身はまだディグ力がまだ足りないと感じていて。リベロ歴でいえばまだまだ浅いのもあって、誰に託すのかといった状況判断の部分が自分にはもっともっと必要だと思うんです」

 その課題と向き合い、磨いたのが2024-25シーズンであった。「逆にサーブレシーブは納得のいかない部分がありました」と振り返りつつ、最も成長したのがディグ。抜群のポジショニングで相手に決定機を許さず、いつしかチームメートやファンからは「なぜそこにいる西村」なる言葉で、そのプレーを賞賛された。

 昨年のパリ五輪の出場は叶わなかったが、「一緒に練習して戦ったメンバーに頑張ってほしい気持ちがいちばんにはありましたし、小島さんも福留さんも自分にとっては目指す存在と言いますか。いろんな部分を吸収したいとおもえる選手なので、応援しながら『こういうプレーをするんだ』という目線で大会は見ていました」と西村は言う。そうして「まずはSAGA久光スプリングスで新しいリーグを優勝するんだ。また次にチャンスがあれば、ロサンゼルス五輪を目指していきたいな」と一歩を踏み出した。

 新しいオリンピックサイクルの始まりで、再び巡ってきたチャンス。己の武器に自信を抱きつつ、課題と向き合いながら、西村は今年も日の丸の舞台に身を投じる。