[写真]=坂口功将

 らんらんと目を輝かせて。9月24日、男子日本代表の大塚達宣が自身2季目となるイタリア・セリエAでの戦い向けて、日本を飛び立った。

「もうワクワクしています」

 出国を前にした取材の場で、開口一番にそう口にした大塚。そこにはつい先日、チームとしても夢半ばにして終えることになった代表活動から芽生えた思いがまずは一つある。

「世界選手権で自分たちが描いた場所まで行くことはできませんでした。不完全燃焼で終わっただけに、『一度休もう』ではなく、どんどんバレーボールをして『強くならなければ』という気持ちが大きくなった。代表シーズンで強くなりたい。そうした意味でもモチベーションは高いですし、それにミラノでプレーできることもワクワクしています」

 1年前、強くなるために“世界最高峰”と称されるセリエAへ身を投じることを決意した。アリアンツ・ミラノで半年間に及ぶクラブシーズンを通して「スキルはもちろん、フィジカルやメンタルの部分で学べたことは多かった」と収穫を手にし、実際に今年の代表活動ではアタック、サーブ、レシーブとプレーの端々でたくましさを感じさせた。そうして、この2025/26シーズンも引き続きミラノでプレーすることにしたわけだが、その心持ちは1年前と異なる。

「同じチームなので、スタッフや街の様子も分かっている分、昨年の今頃と比べると不安は少ないと感じています。それにチームメートもずっと連絡をくれていて、『こっちに着いたら、いろんなところに行こうぜ』『一緒に練習できることを楽しみにしているよ』と。そう言って待ってくれている仲間がいるので、昨季以上に楽しみな気持ちでいます」

 元より“人当たりのよさ”は彼の性分だ。たとえ初めての海外リーグであっても、まだコミュニーションが十分には取れずとも、昨季は自ら積極的に仲間たちと接する機会をつくり、やがて信頼を得ることに成功した。海外の選手たちと触れ合うなかで、大塚自身も新たな感情を抱いた。

「今回の世界選手権にしても、大会にはたくさんのチームメートがいました。もちろん代表活動においては『自分自身が強くなりたい』という内なるモチベーションが第一にあります。同時に、外的な要因として、自分がそういう舞台に選ばれて国際大会に行くと、クラブの仲間とネットを挟んで戦える、また、セリエAで戦っていた相手とそこでも戦える、それが大きなモチベーションになっています。それが嬉しいことだなと思います」

 例えば世界選手権。結果として日本にとって最終戦となった9月17日の予選ラウンド、相手のリビアには昨季からセリエAのモデナでプレーするオポジットのアーメド・イクバイリがいた。2人は試合後に言葉をかわし、さらにはツーショットを撮影していた。

 海外の選手たちとの交流が増えた実感はある? そう大塚に聞くと、「めちゃめちゃあります!!」と嬉しげな表情を浮かべた。

 ミラノで過ごすクラブシーズンにむけて、楽しみな気持ちが加速したのも、そうした感情と無縁ではない。大塚は言う。

「昨季から残っているメンバーはそれほど多くなくて、その点ではまた違ったチームになると思います。その中でも以前からミラノにいるメンバーたちは、よくバレーボールの話をしていた者どうしなんです。バレーボールが大好きで、一緒に真剣になって『このチームでどうやったら勝てるか』を考えていました。と同時に、昨季と違うメンバーが加わるからこそ、新しい化学反応が起こせたら面白いなとも」

 今夏はバケーションで来日していたリベロのダミアノ・カタニア(イタリア)や今年の世界選手権で猛威を振るったオポジットのフェッレ・レガース(ベルギー)、玄人肌のミドルブロッカー、エドアルド・カネースキ(イタリア)といった面々は昨季に続いてチームメートだ。その仲間たちと臨む2025/26シーズンはセリエAと並行してCEVチャレンジカップにも参戦する。

「昨季はCEVチャンピオンズリーグに出させてもらいましたが、その出場権は前年度の僕が所属していなかったときに獲得したものだったので。一方で今季、参加するCEVチャレンジカップは(昨季、スーペルリーガの5位決定プレーオフを制して)自分たちで出場権をつかんだ、という感覚です。昨季の後半は自分自身も出場機会を増やしてもらって、コートに立っていた。そのときのメンバーで今季のCEVチャレンジカップを戦うことを思えば、それも楽しみの一つですね」

 チームスポーツであることにバレーボールの魅力を覚える大塚にとって、どんなステージであっても仲間や人とつながり合えることがとことんモチベーションになっているのは確かである。

 加えて今季のセリエAではチステルナに垂水優芽、セリエA2(2部)には山本龍、と洛南高校(京都)時代の同期がいる。そんな巡り合わせにも大塚は胸を弾ませる。

「(所属先のホームタウンが)2人とも遠いんですよね(笑)。会えるかどうかわからないですが…。垂水選手は同じカテゴリーなので会う機会も多いと思いますが、特に山本選手は物理的に遠くて、カテゴリーも異なるので。まとまったオフがあればいいですがが…3人がきれいにそろうこともそうそうないと思うので、ちょっと考えます(笑)

 でも、そうしたことも嬉しく思います。代表活動でも一緒にプレーする同級生たちが増えてきましたし、それは自分にとっても刺激になる。今回のイタリアもまた昨季とは違った楽しみがあると想像しています」

 昨季、シーズンの最中に話を聞いた時、何もかもが新鮮な環境に大塚は興奮にも似た感動を覚えていた。今回もまた、様々な体験が待っているに違いない。

 この日、大塚は目いっぱいのワクワクを抱きながらイタリアへ渡った。

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坂口功将

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