24日(金)、大同生命SV.LEAGUE MEN(SVリーグ男子)が開幕する。
世界最高峰のリーグを目指し、年々レベルアップしているSVリーグ。リーグ2年目となる今シーズンも多くの実績ある外国籍選手が日本へやってきた。
今回はSVリーグ男子の全10チームから、新たに加入した新外国籍選手をピックアップして紹介していく。
イゴール・クリュカ(サントリーサンバーズ大阪/OH/207cm/ロシア)

クリュカは東京五輪で銀メダルを獲得したOHだ。五輪の決勝戦ではチーム内2位20得点(1位はマキシム・ミハイロフの21得点)の大活躍だった。クリュカはベストOHを受賞しており、もしロシアが優勝していたらMVPは彼だったかもしれない。
そんなクリュカのプレースタイルを一言で表すと、『高さが武器のオールラウンダー』だ。
10月上旬に行われたペルージャ戦では、チーム合流直後でコンビが合わずアタックは苦戦したが、ブロックとサーブで得点を重ねた。さらに世界トップクラスのサーブに狙われ続けたが、安定感のあるレセプションでほとんどがABパスだった。
コンビが改善すれば、髙橋藍と2人で攻守隙無しのOH対角となり、絶体王者サントリーの壁はさらに堅固になりそうだ。
ステファン・ボワイエ(ジェイテクトSTINGS愛知/OP/196cm/フランス)

ボワイエはフランス代表のOPで、空中で止まって見えるほどのジャンプ力が魅力だ。最高到達点は350cmと日本人選手にもいるレベルだが、彼はこの高さを常に出してくる。
試合中のスパイクですら、アンテナ(高さ約323cmのネットの両脇にある赤と白の縞々の棒)の遥か上から叩き込む。ブロックもネットから胸が出るほどだ。
そしてボワイエはジャンプサーブも強烈だ。サーブトスを高く上げて、全身を使ってダイナミックに腕を振り抜く。プルスリーガでは2年連続でサービスエースランキングTOP5に入っていて、2022-23シーズンは1位だった。
ちなみに、STINGS愛知のトリー・デファルコとはプルスリーガのジェシュフでもチームメイトだった。
アントワーヌ・ブリザール(大阪ブルテオン/S/196cm/フランス)

ブリザールはフランス代表のセッターで、世界No.1セッターに彼を推す声も多いほどの実力者だ。バレーボール界最高の大会であるオリンピックを2連覇し、ベストセッターを受賞している。
そのブリザールの特徴は攻撃力。セッターながらアタッカーを凌ぐサーブ、ブロック、アタックを持っている。
東京五輪ではジャンプサーブ、パリ五輪ではブロックで試合の流れを大きく変えてフランスを優勝に導いた。さらに昨季のセリエA(イタリア)ではバックアタックを打ち込み得点を奪う場面もあった。
スパイカー第一の献身的な日本セッターとは違い、自ら得点を奪うことでゲームを支配するブリザールのプレーに注目だ。
ノルベルト・フベル(ウルフドッグス名古屋/MB/207cm/ポーランド)

フベルはFIVB世界ランク1位に君臨するポーランド代表のMBだ。
世界3大リーグのプルスリーガ(ポーランド)で、2年連続でブロックランキング1位の成績を残した。
フベルのブロックは、世界最高峰の技術に加えてエゴが剥き出しなのが特徴だ。
日本人選手のブロックは、レシーバーに拾わせることを意識しコースを塞ぐことを重要視してる一方で、フベルのブロックは自らアタックを叩き落とすことに拘っている。プルスリーガでは、背の低い味方セッターをコート外に押し退けてまで、自分で止めにいく場面が何度もあった。
ブロックが課題の日本にとっては、技術もメンタルも最高の師となるMBだ。
バルトシュ・クレク(東京グレートベアーズ/OP/205cm/ポーランド)

FIVB世界ランキング1位に君臨するポーランドのキャプテン。
37歳のベテランだがまだまだ現役。身長205cmの筋骨隆々の巨人が、キレッキレの動きでスパイクを叩き込む。さらに培った技術でコースの打ち分けやブロックアウトも上手い。
反則級の実力者だ。昨季のプルスリーガでも、1セットあたりの平均アタック得点が全選手中2位(4.09得点)だった。
世界バレーでも正OPとして活躍。ケガを負ってしまい準決勝以降はリベロ登録となったが、キャプテンとしてチームをまとめて最後は銅メダルを獲得した。
ご存知の方も多いと思うが、クレクはウルフドッグス名古屋で4シーズンにわたって活躍しVリーグ優勝も果たしている。
昨季大躍進を遂げた東京グレートベアーズを優勝へ導く原動力として期待だ。
クーパー・ロビンソン(広島サンダーズ/OH/202cm/アメリカ)

ロビンソンは今年大学を卒業したばかりのルーキーだ。今季はアメリカのA代表デビューを果たし、VNLではチーム内最多の133得点を記録。未来のアメリカを背負うエース候補だ。
彼は自身の強みに『高さとフィジカルを活かしたネット際のプレー』を挙げていて、特にVNLでロビンソンの最大の得点源だったインナースパイクには要注目だ。
さらにジャンプサーブも強烈で、パンアメリカンカップ2024(強豪国のキューバやカナダも参加する国際試合)ではベストサーバーを受賞している。
甲斐優斗や髙橋藍が代表シーズン後の海外リーグ挑戦で急成長したように、日本でロビンソンが羽ばたき、シーズン終盤には新世代のアメリカ代表エースが誕生するかもしれない。
マシュー・アンダーソン(日本製鉄堺ブレイザーズ/OH&OP/208cm/アメリカ)

アンダーソンは攻守隙無しのパーフェクトプレイヤーだ。日本代表に例えると、髙橋藍の身長を+20cmしたような選手だ。
世界で唯一OPとOHを完全に両立するマルチプレイヤー。パリ五輪のアメリカ代表は彼の強みを最大限に活かす、3OHというフォーメーションを採用。アンダーソンはOPとして得点しながら、OHとして鉄壁のレセプションで攻守の要として活躍した。
そのスパイクは綺麗なフォームが特徴で、打つ直前までコースが分からず、さらに高さを活かしたコース幅があるので手が付けられない。
レセプションは無駄な動きが全くなく、どんな強烈なサーブも簡単にレシーブしているように見える。
攻守共に完全無欠のスーパーマンだ。
テイラー・エイブリル(東レアローズ静岡/MB/201cm/アメリカ)

エイブリルはアメリカ代表としてパリ五輪で銅メダルを獲得し、大会ベストMBを受賞した。
筋肉質な見た目とは裏腹に、身体能力が高く機動力のあるMBだ。
クイックは状況に合わせてABCクイックを多彩に打ち分けることが出来るのが特徴。滞空時間の長いジャンプから重々しいスパイクを打ち込む。
ブロックはパリ五輪最多の16得点を記録。跳ねるようなステップで敵のアタックに飛びつき攻撃を阻止する。
サーブも強烈でパリ五輪ではサービスエース数5位だった。
ハイブリットサーバーでWD名古屋の水町泰杜のようにレフト側からコーナーへの強打が決め球だ。
そして何より彼は常に笑顔で陽気な人柄が魅力。世界トップMBの実力と、チームの雰囲気をつくる明るい性格にも注目だ。
マシュー・二ーブス(VC長野トライデンツ/OP/207cm/カナダ)
二ーブスはカナダ出身のOPだ。カナダ代表としてのプレーは無いが、2020年の大学2年生の時にはNEP(パリ五輪に向けてカナダのトップ選手を集めた合宿)に選出された。
昨季はブンデスリーガ(ドイツ)でプレーし、総得点ランキングでは4位だった。
そんな彼の強みは最高到達点は372cmの高さを活かしたアタックだ。ブンデスリーガでは、その圧倒的な高さでブロックの上からスパイクを叩きつけ、コート外にボールを弾き飛ばすブロックアウトが目立っていた。
ブロックが世界トップクラスに高いブンデスリーガで活躍したニーブスを、SVリーグのディフェンスがどう止めるのかにも注目だ。
マート・タンメアル(ヴォレアス北海道/OH/198cm/エストニア)

タンメアルは昨季プルスリーガでプレーしていたOHだ。
そのプレースタイルは、昨季WD名古屋に所属していたティネ・ウルナウトのような、冷静沈着なテクニカルオールラウンダーだ。
先日の東京グレートベアーズとのプレシーズンマッチでもチームを逆転勝利に導いた。
アタックもサーブもコースの打ち分けが的確で、敵ブロックやレシーブの穴を突く巧みなプレーで得点を量産していた。
サーブレシーブもアンダーとオーバーを使い分けた丁寧なレシーブで、大きく崩される場面は無かった。
安定感とバレーIQの高さを備えた選手。ヴォレアス北海道の新たな技巧派エースに注目だ。