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「この選手から目を離しちゃいけない」

 2025-26シーズン・SVリーグ男子の開幕戦となった、大阪ブルテオン対サントリーサンバーズ大阪戦に詰めかけた9133人の観客は、ある選手に釘付けになっていた。東京、パリ五輪で連覇を果たしたフランス代表セッターで、今季ブルテオンに加入したアントワーヌ・ブリザールである。

 身長196cmの大型セッターで、しかも身体能力も高い。セットアップの際は、軽く跳んでいるように見えても、肘のあたりまでネットの上に出ていて、相手ブロッカーは顎を上げて見上げる状態。しかもネットから離れた場所や、自身の胸の辺りからでもヒョイっとクイックを使うなど、「そこからそこ!?」と意表をつかれるトリッキーなプレーがいつ繰り出されるかわからないから目を離せない。

 ただ、本人にとってはそれらは特別なことではないらしい。

「僕にとっては普通のことで、特にこだわっているわけでもありません。練習中にも『今のすごかったね』と言われることがよくあるんですけど、自分にとっては特別なことじゃないんです」

 トリッキーなだけでなく、コートの外からファーサイドに正確な二段トスを上げるなど、高い技術力も備えている。

 ミドルブロッカーの山内晶大は、「彼は遊び心というか、トリッキーさがあるので、いつでも打てる準備をしておかなきゃいけない。なおかつすごく丁寧さもあるんです」と話す。

 その山内の身長204cmという高さも、ブリザールによってより生かされていた。ブリザールが山内の高い打点にトスを置き、そのまま打ってしまうような、高さと速さを兼ね備えたクイック。山内は「打たされている感覚です」と言う。

「僕は全力でアプローチして、全力でスイングするだけ。そこに上げてもらえるので深く考えなくてもいいという感じですね。やっぱりセットアップする位置が高くて、自分の打点に来るまでが非常に速い。相手にしてみたら、クイックなのかパイプなのか、判断した時にはもうクイックを打たれているという状態になると思う。クイック、パイプだけでなく、両サイドにもかけて上げていたりするので、相手のブロッカーは嫌だろうなと。僕らもAB戦でアントワーヌ相手にやると非常にやりづらいです」

 さらに、ブリザールの見せ場はトスだけではない。開幕戦で2本のエースを奪った強烈なジャンプサーブや、高くて堅いブロック。そしてスパイクもある。

 開幕戦で一番会場を沸かせたのは、第2セット12-7の場面。ネット際に返ってきたボールをオポジットの西田有志が拾って高く上げると、ブリザールが勢いよく突っ込み、ツーで豪快にバックアタックを叩き込んだ。

 試合後、西田に、狙っていたのかと聞くと、「たまたまです」と笑った。

「ただ僕が(自分が打てるよう)スパイクのアプローチを取れるような高さで1本目のパスを上げただけなんですけど、気づいたらアントワーヌが打ってた。さすがにそこまで狙っていたらちょっとヤバいチームだと思うんですけど(笑)、でも狙えるように頑張ります」

 そんなツーアタックも、「珍しいことじゃないですけど」とブリザールは穏やかに微笑む。

「スパイクも自分にとって大きな武器の一つではあります。あの時はユウジのパスが良くて、いい感じで打てそうだったので、思い切り打ちました」

 日本人の多くが持つセッターのイメージを覆し、魅了したブリザールが、昨季の王者・サントリーを翻弄し、セットカウント3-1で開幕戦に勝利した。

 チームに合流してからまだ1ヶ月も経っていない。これから時間と試合を重ねるにつれ、チームはさらに変化を遂げていくことになるだろう。

 開幕節ではほとんど見られなかったが、ブリザールのアンダーハンドトスも必見だ。

 コートスレスレの低いボールを、全身を使ってすくい上げるように、優しく、正確なトスにしてしまう。オーバーハンドでのトスは攻撃的なイメージだが、アンダーハンドでのトスはスパイカーへの思いやりにあふれた優しいトスのイメージ。開幕前のテストマッチを取材した際にそんな印象を伝えると、ブリザールは頷きながら言った。

「オーバーとアンダーは全然違うタイプのトスの上げ方になるんですけど、アンダーのトスは特に正確に上げようという気持ちが強いので、優しく見えるのかもしれないですね。『アンダーのトスは、愛を受け渡すかのような上げ方で』というふうに、イタリアでプレーしていた時に言われていたので、そんな意識で上げています」

 今週末は、ブリザールの優しさにあふれたアンダーハンドトスにも注目してみてほしい。

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この記事を書いたのは

米虫紀子

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