[写真]=米虫紀子

 12月21日までブラジルで開催された世界クラブ選手権で、日本勢初の銀メダルを獲得した大阪ブルテオンが、24日夜に帰国。空港で取材に応じた。

 キャプテンの西田有志は、悔しさと手応えが入り混じった表情で語った。

「もちろん悔しいという気持ちは非常に残っています。2位というポジションは、やっぱり最後に負けて終わるので、なかなか喜べるポジションではないなというのはある。でも日本のチームとして銀メダルを獲れたというところに一つの進歩はあると思うので、そこは素直に受け止めながら、何が足りなかったのかという部分は、答え合わせの繰り返しだと思います。

 日本バレーのスタイルは世界でも通用すると実感できたので、少なからず自信になっている部分はある。ディフェンスは、今回出たクラブの中ではたぶんトップだと思うんですけど、やっぱりブロック能力という面で、もっともっと僕らは向上できる部分があると思う。そこがより上がれば、バレーの展開が変わると思います。ペルージャと大会を通して2戦できたことは非常に大きかったですし、ザビエルチェとも試合ができた。色々なチームと対戦できて、非常に経験を積めたことはよかったと思います」

 大阪ブルテオンの世界での現在地については、「世界クラブ選手権2位というのは、もちろん結果としてはあるんですけど、ヨーロッパのチームが今回は2チームしか参加していない。まだまだ強いチームがあると思いますし、もっと有名選手がいるチームもある。それを考えたら、もっと何かしないといけないことはあると思うんですけど、今大会に参加しているチームの中で2位を取れたというところは非常によかったと思う」と冷静に捉えた。

[写真]=米虫紀子

 今年は日本代表を離れ、独自のトレーニングで自己研鑽に務めたため、西田にとっては久しぶりの海外チームとの対戦となった。そこで個人的に見えたものがあったという。

「海外選手と戦って、自分の中で足りないと感じたのは、ハングリー精神というところが、やっぱりこの1年、代表でプレーしていなかった分、どこか落ち着いてしまっている部分があったなとプレーしていて思いました。そこはもう一回取り戻せると思いますし、やっぱり自分に必要なプレースタイルはそれだと思った。これからよりアグレッシブに、チームも鼓舞しながら勝負できていけば、チーム自体が変わっていくかなと感じました」

 個人賞は、ミゲル・ロペスがベストアウトサイドヒッター、山本智大がベストリベロに輝いた。

 もう山本が世界でリベロ賞を獲っても誰も驚かない。すでに世界のビッグネームも認める存在だ。ペルージャとの決勝戦の後、ネット越しに両チームの選手が挨拶を交わした際、ペルージャのオポジット、ワシム・ベンタラが山本にハグしながら何か言葉をかけていた。山本は言う。

「ベンタラ選手は結構試合中もこっちを見てニヤニヤしていました(笑)。向こうが決めたら、こっちを見てニヤニヤ、僕が拾ったら、僕も笑っていたし。僕も彼を非常にリスペクトしていますし、向こうも日本チームや僕個人に対して、リスペクトの気持ちを持ってくれていると感じるので、そういう選手とブラジルの地で対決できたことは非常に嬉しく思います。特にペルージャはスター軍団なので、あの舞台で2回対戦できたことは嬉しいし、僕たちにとって非常に自信にもなる大会だったのでよかったと思います」

[写真]=米虫紀子

 決勝では、ペルージャを相手にミドルブロッカー陣が活躍。エバデダン・ラリーは8本すべてのクイックを決めた。自信になったのでは? と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「8分の8なんですけど、対角に入っていたポンちゃん(彭世坤)も6の6で100%だったんですよ。クイックに関してはやっぱりセッターに依存しているところがあるので、正直自分の功績だとは思っていなくて。『やっぱアントワーヌ(・ブリザール)すごいな』って思った。両ミドルとも100%ってすごくないですか? ブロックがいないなという時に上げてくれて、速くポポポッと打てば決まった。『ありがとうございます』みたいな感じ。

 逆に僕はブロックで貢献できていなかった。やっぱりペルージャのミドルの(アグスティン・)ロセルや(セバスティアン・)ソレに比べたら全然、まだ劣っているところは多い。でも目標となる選手を間近で見られたのはよかったです」

 100%のクイックに満足せず、課題にフォーカスしている姿が頼もしい。何より「楽しかった」と語る充実した表情が、収穫の多さを物語る。

 40時間以上に及ぶ長旅を経て帰国し、わずか3日後の27日からサントリーサンバーズ大阪との首位決戦という超過酷なスケジュールだが、ブラジルでの経験は、この先長く続くSVリーグにおいて大きな糧となりそうだ。

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米虫紀子

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