[写真]=須田康暉

――2026-27シーズンからSVリーグの「2部」としてSVグロース(SVG)が発足します。これに伴い、Vリーグ(JVL)は組織がSVリーグと分けられることになります。この背景を改めてご説明いただけますか?

大河 SVリーグ開幕前を振り返ると、当時のV1をいかにプロ化するかが最大の焦点でした。逆にV2以下にはプロ化の意思が無い、毛色の違うチームもありました。平たくいうと「仕事しながらバレーできる環境があればいい」というチームです。その意向を全く否定するものではありませんが、向かいたい方向が異なることは事実です。

また中間的な存在として「特定の親会社は持たないけれど、上昇志向を持っているチーム」があります。おおよそこの3層に分かれていて、それぞれに合わせた仕組みが必要なことは最初に気づきました。

現状を見るとVリーグにも上を目指して、集客や地域密着、演出をしっかりやっているチームがあります。逆にSVのような世界は目指さない、上を目指していてもまだ年間売上が1000万、2000万でSV挑戦はまだ現実的でないチームがあります。そこは分けないとなかなかうまく行きません。

世界最高峰のリーグを目指す、目指そうと検討している、それなりの体力があるところは、SVの2部を作って吸収するようにしました。それがSVGを作る経緯と意図です。

――SVGに入れない「実業団」「上を目指しているけどまだ事業規模が小さいクラブ」はどうなりますか?

大河 残りのチームはサッカーのJFL(※4部相当の全国リーグでJリーグとは別組織)、バスケならB3(※2026-27シーズンからB ONE/B NEXTに吸収される)のような形になります。JVAの傘下に移る、「アマチュアのトップリーグ」という位置付けとなるリーグに所属してもらう前提です。

そうなった一つの大きな理由は「規模」の違いです。これも他のスポーツの例ですが、J1とJ2の売上規模は「3対1」の格差です。B1とB2は「5対2」くらいです。経営体力がそれなりに接近しているから、昇格したばかりのチームがそこまで辛い思いをしません。バレーボールの男子は事業規模の平均値が1部と2部で約10倍違います。女子も7~8倍の差があります。

――プロ志向のクラブにも規模などに差があるのですね。そもそもプロと実業団は「目指すもの」が食い違います。

大河 大きいのは選手がプロかアマかより「組織がプロかアマか」です。プロの組織とアマの組織が混在すると、どうしても全体の基準が、より負担の少ない水準に合わせざるを得なくなります。なので、そこは分けるべきなのです。企業チームは「この予算で1年間バレーボール部の活動をしてください」というコストセンターの発想になります。だから空いている体育館で試合をして、1日2試合・3試合の合同開催でもいい。そして、そもそも試合数をあまり増やしたくないのが一般的です。そういうチームと、バレーを生活の糧にしているチームが一緒に集まるリーグはなかなか成り立ちません。

[写真]=須田康暉

――現Vリーグ(JVL)内の議論はどう進んだのですか?

大河 JVLの実行委員会をやるときには、まず「実行委員幹事会」で各チームの代表者に当てています。男子は東西、女子はチーム数が少ないから全国で3回に分けて「幹事会」を行って、さらに実行委員会を開きました。

私は理事会の議長ですが、そこに至る会議体は國分裕之COOと宮下剛事務局長の担当でした。会議内でどういう発言があったかは、議事録も含めて私に入っていて、共有しています。

SVGは入場者数2000人以上のアリーナで試合の6割以上をやる、売上を2億円以上といったライセンスの要件を設定しています。JVAの方に所属する新Vリーグは「1シーズン、途中でやめない」ことを当然求めますけど、他の要件をほぼ無くしてチームへの負担が減ります。だから「肩の荷が下りた」と仰るチームの人もいました。

逆に「なぜ自分たちがSVGに入れないのか?」と反発するクラブもありました。一部の異なる意見はあったものの、一つ一つのクラブとも向き合って話をしました。実行委員会でも大きな異論は出ず、昨年12月16日の理事会でも我々の趣旨にご賛同いただいて承認となりました。

発表の際には、ファンの皆様に多くのご心配をおかけしました。しかしJVAの正式発表までこちらが何も発表しないと、断片的な情報漏出や建設的ではない憶測につながります。とはいえ、JVAが発表していない内容を我々が勝手に話すわけにもいかない。だから、発表するタイミングと内容は非常に難しかったです。

――3つのリーグを「同じ傘」の中でやっていく選択肢は無かったのですか?

大河 検討はしました。ただ前提として男女合わせて約30チームのところから、半分が抜けていきます。チームが半分になってもリーグの固定費はあまり変わらなくて、年会費が倍以上になってしまいます。何度か試算しましたが、今300万の年会費を700万か800万に上げないと組織を維持できません。そういう問題もありました。

――SVGは SVリーグの法人に入ってくるのですか?

大河 公益社団法人SVリーグの会員になります。先程も申し上げたように、現状は約10倍の体力差があるし、SVの基本理念は「世界最高峰のリーグを目指す」ことです。SVのチームは「正会員」「社員」ですが、SVGのチームは「一般会員」です。我々の仲間ですが、社員としての議決権は持たない立場です。

議決権はなくても、入会のメリットはあります。SVGに入ることでSVのロゴが使えるし、SVを目指している証明になって、そういうアピールは大きいと思います。SVのライセンスを持てば、女子は入替戦に出られます。男子は16チームまで拡大することを目指していますから「12」「14」と増えるタイミングで昇格可能です。

[写真]=須田康暉

――SVGへの期待はいかがですか?

大河 まずSVリーグのようにお客さんがたくさん来て、事業規模も大きくなっていくのが狙いです。そして「分厚い中間層」ができることで、バスケットやサッカーのように「投資したい」というオーナーにたくさん出て来てほしい。チームを手放してほしいという意味ではないですけど「欲しい」「買いたい」と思う人が出てくるコンテンツになることを期待しています。

――試合数は今のVリーグから増えるのですか?

大河 男子は今28ですが「32」を想定していて、できたら「38」まで持っていきたいです。激変緩和ではないですけれども、いきなり「38」に増やすとアリーナ確保が難しくなります。「32」だとホームゲームは16試合で、2026-27シーズンからその60%以上にあたる最低10試合はホームアリーナの要件を満たす会場を抑えてくださいという話です。

――参加チームは揃いそうですか?

大河 今の応募状況から、SVGは男子8チーム、女子7チームを想定しています。さらにいうとSVリーグの男子は今のVリーグから2つ昇格させて、12チームをめざしたいと考えています。

昨年9月頃に事前ヒアリングを行って、私もSV、SVGに参加を希望するチームはほぼすべてと面談しました。十二分に合格点と言えるチームばかりではないですけど、目指そうとする意思、行政との関係構築といったところを見れば、問題ないだろうという現時点の感覚はあります。あとは今年3月の審査まで、ブレずにちゃんとやってくるかだけです。

――定量的な部分で言うと「アリーナ要件」と「財務要件」が壁になるのは他競技と一緒だと思います。SVGについてそこはどうですか?

大河 問題になるのはアリーナと財務が半々くらいですね。3年間くらいの猶予を設けて、その間に改善するように持っていきます。SVGをSVに近づけていくために寄り添う、育てることも私の仕事です。自分はJリーグやBリーグで同じ仕事をやっていましたが、SVGはそこを強めてやります。

あと実は飛び級でSVGに入りたいという意向のチームが3つくらいありました。今回はまず1回社会人リーグでやってもらおうと考えています。

――社会人リーグからSVGに入りたい、SVを目指したいとなった場合はどうなりますか?

大河 SVGの準加盟になってもらう、ライセンスを取っていただく手続きになります。社会人からSVGについては成績を絡めず、ライセンス要件で上げようと考えています。

――SVGはまだ増やすし、新規参入も歓迎ということですいね。

大河 現時点でSVGの1部、2部と上下に分けるつもりはありません。SVGは東西、東中西のように横に展開したほうがいいかなと思っています。天皇杯や皇后杯の結果を見るとレベル的に現時点でVリーグは高校、大学とあまり差がありません。なので、経営基盤さえ整えば、SVGのレベルに届くチームを作るのにそこまで時間はかからないはずです。

――今のSVの課題で、特に男子は大阪、愛知への偏在があります。新チームの参画で、全国への広がりは進みますか?

大河 地方への広がりも考えてSVGは対応したいと思っています。さらに言うと関東、男子は九州、東北にチームを呼び込むところは並行して考えなければいけない部分です。実は関東でチームを持つ動きも2、3あります。チームをM&Aで買う、ないしは新規で立ち上げる話がこれから出てくると思います。

――もう一つ、今回はSVリーグの育成についてお聞きします。各チームはU15のカテゴリーを設置していて、これからU18も整備が進むと聞いています。

大河 U18チーム保有が昨年12月のSVリーグ理事会における結論です。まだ普及の側面が強いチームもありますが、徐々にトップにつながっていく強化が始まると思います。春高に出たい子も多いはずですし、春高が素晴らしい舞台であることは間違いないですが、育成の「複線化」はバレーの未来を考えると重要です。特にU15年代は間違いなく中学の部活動の活動環境が変化しているし、SVやVのU15だけでなく、街クラブもどんどん増えてほしいですね。

大塚達宣選手はパンサーズジュニア(大阪ブルテオンU15の前身)から洛南高校、早稲田大学に進学して大阪Bに戻ってきましたが、そういうキャリアもありでしょう。大阪Bのアカデミーには駿台学園の梅川大介さん、サントリーにも東山の松永(理生)さんが入りました。

間違いなくSVリーグの育成に関する動きは進んでいます。中学年代から海外遠征に連れて行ったり、高校年代ならトップチームと練習をできたり、そのようなSVリーグのアカデミーらしい売りを出していきたいと考えています。

取材・構成:大島和人

「J SPORTS バレーボールパック」はSVリーグを男女全試合配信!【PR】

J SPORTS バレーボールパック

「J SPORTS バレーボールパック」は、月額2,580円(税込)で『大同生命SVリーグ』男女全試合など、バレーボールに特化した配信コンテンツを楽しめるプラン。

SVリーグだけでなく、アジアチャンピオンズリーグ(男子)大学リーグ、さらにはチームの魅力が伝わる選手のトーク番組や応援番組なども一緒に楽しめます。

特に、U25割対象の方は月額1,290円(税込)で同様のコンテンツを楽しむことができるのでお買い得!

POINT

『大同生命SVリーグ』の2025-26シーズン男女全試合が視聴可能

チームの魅力が伝わる選手のトーク番組や応援番組も楽しめる!

U25割対象の方は月額1,290円でお買い得!

「J SPORTS バレーボールパック」をU-NEXTで楽しもう!【PR】

U-NEXT「J SPORTS バレーボールパック」

U-NEXT 「J SPORTS バレーボールパック」は、月額2,580円(税込)で『大同生命SVリーグ』男女全試合など、バレーボールコンテンツを視聴できるプラン。

U-NEXTの月額プラン(月額2,180円・税込/31日間無料トライアルあり)をあわせて利用すると、毎月付与されるポイントを活用できるのでよりお得感がUP!

また、映画、アニメ、ドラマなどのエンタメコンテンツのほか、「月刊バレーボール」などの雑誌が読み放題でお楽しみいただけます。

POINT

『大同生命SVリーグ』の2025-26シーズン男女全試合を楽しめる!

プレシーズンマッチなど、さまざまな国内外のバレーボール大会を配信予定

U-NEXTの月額プランと組み合わせると、毎月付与されるポイントでよりお得に!

この記事を書いたのは

VOLLEYBALL KING 編集部

国内外の最新ニュースや注目選手の特集、バレーボールをより楽しめるバレーボール情報・ニュースサイト『VOLLEYBALLKING(バレーボールキング)』編集部です!

VOLLEYBALL KING 編集部 の記事をもっと見る