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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここでは東レアローズ静岡を紹介していく。

クラブヒストリー:1947年に誕生した歴史のあるチーム

 チームの歴史は古く、1947年に東レ株式会社滋賀事業所で「東レ九鱗会」として誕生。1964年から現在の静岡県三島市へ活動拠点を移している。

 Vリーグでは第1回(1994/95)から戦う古参のチームの一つであり、代々、男子日本代表選手を輩出してきた。第11回Vリーグ(2004/05)で初優勝に輝くと、2008/09 V・プレミアリーグではセルビア籍アタッカーのデヤン・ボヨビッチを擁して通算2度目の頂点に立つ。2016/17シーズンには戦術的なサーブに加えて、セッター藤井直伸とミドルブロッカー李博との“世界一キレイなBクイック”を武器に3度目の優勝。これが現時点で最後のリーグタイトルとなっている。

 以降は勝ち越しこそするものの、V・ファイナルステージ(現在のチャンピオンシップ。いわゆるプレーオフ)まであと一歩の戦いが続く。それでも昨季は6位でV・レギュラーラウンドを突破すると、最終3位で戦い終えた。

 SVリーグ参戦に際して運営会社の東レアローズ株式会社を設立。名称にも「東レアローズ静岡」と地名がつき、より地域に根差して活動に励む。

このオフの動き:攻守の要が退団も戦力は充実

 大きな変化としては昨季限りで攻守の要が抜けたこと。直近3シーズン連続でブロック賞(1セットあたりのブロック決定本数リーグ1位)を記録したミドルブロッカーの髙橋健太郎がジェイテクトSTINGS愛知へ、そして東レアローズの中学生チームである「アローズジュニア」出身であり卓越したサーブレシーブ力を備える富田将馬が大阪ブルテオンへと移籍した。

 それらは痛手には違いないものの、元々ミドルブロッカー陣は豊富だった。一方のアウトサイドヒッターは、攻守でバランスよしの藤中優斗が移籍加入、また、身長185センチと決して大柄ではないものの、イタリア代表ではアタッカーとして名前を連ねる“小さな巨人”フランチェスコ・レチネを新たに迎えた。さらにはアローズジュニア出身で、アンダーエイジカテゴリー日本代表でも豪打でうならせてきた山田大貴も今春から入団。彼らが富田の抜けた穴を埋める。

 そのアタッカー陣を大阪Bから期限付き移籍したセッター新貴裕が操る。

2024―25シーズンの戦い方予想

 今季から指揮を執るのはチームのOBであり、昨季までコーチを務めていた阿部裕太。攻守の要は抜けたものの、トータルディフェンスを含めたシステム構築から着手し、通算4度目のリーグ制覇を目指す。

 得点源となるのは今季新加入でブラジル代表オポジットのアラン・ソウザ。続いてアウトサイドヒッターはキャプテンの重藤トビアス赳のほか、小澤宙輝、フランチェスコ・レチネ、藤中優斗、山田大貴、そして大ベテランの米山裕太ら総勢6名がそれぞれ異なるキャラクターを持ち合わせ、チームの戦い方に幅を持たせる。

 そしてミドルブロッカーは副キャプテンの西本圭吾を筆頭に上條レイモンドや難波尭弘ら高いポテンシャルを備える面々が並ぶ。昨季からセッターが変わったとはいえ、新はかつて富士通カワサキレッドスピリッツ(当時V.LEAGUE DIVISION2。現在はV.LEAGUE)時代にクイックを積極的に使うトスワークで見るものをうならせた。豊富なミドルブロッカー陣を生かした攻撃が核となるか。

注目選手:西本圭吾

 東レ静岡といえば代々、選手みなが感情を爆発させるスタイルが代名詞であり、それは今も変わらない。その体現者として今季のチームで最も激しくプレーすると期待されるのが西本圭吾だ。昨季は髙橋健太郎に続いてチーム2番目のブロック決定本数72本をマークし、これはリーグでも3番目の数字だった。またV・ファイナルステージの3位決定戦ではチーム最多4本のブロックシャットを叩き出し、そのうちの1本では決めた直後に、応援席にむかえて吠え上げ会場のムードを一気にものにした。

 昨季を終えてから2024年度日本代表にも登録され、いわゆるB代表の活動に参加。ドイツとの親善試合や韓国招待試合の海外遠征などを経験し、レベルアップに励んできた。

 今季は、ブロック面はもちろんのこと、リーダーシップを発揮することが求められる。チームを上昇気流に乗せるべく、何度も吠える姿が見られるに違いない。