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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではKUROBEアクアフェアリーズを紹介していく。

クラブヒストリー:富山県黒部市に拠点を置く地域密着型のバレーボールチーム

 2000年に実施された富山国体に向け、強化チームとして1998年に発足した。富山県黒部市に拠点を置く市民型のクラブで、特定の母体企業を持たない。選手の多くは地元企業に雇用され、競技を行っている。国体には1999~2003年まで連続出場を果たし、2000年富山国体では2位、2001年宮城国体では3位の実績を残した。

 リーグには1999―2000年シーズンから参戦した。長く2部での戦いが続いたが、富山国体終了後もチームは存続し、強化を継続。最初は2部下位に低迷していたが、徐々に順位を上げて2003―04シーズンには2部初優勝を果たした。それでも1部への壁は高く、昇格できずにいたが、2018―19シーズンに新生Vリーグとなって1部のチームが増えたことで念願のトップリーグ参戦を果たした。

 トップリーグで過ごした6季は10~12位と苦戦が続いている。SVリーグ初年度にブレイクスルーを期待したい。

このオフの動き:日本代表コーチの川北元氏が新監督に就任、選手の入れ替わりも激しく

 最も大きな変化は指揮官の交代だ。2季にわたって率いた伊東克明監督が退任。後任には日本代表の真鍋政義監督の右腕として2012年ロンドン五輪銅メダル獲得に貢献し、2016年リオデジャネイロ五輪、そして今夏のパリ五輪でもコーチを務めた川北元氏が新たに就任した。2017~22年にはデンソーで監督を務めたこともあり、経験も豊富だ。スタッフ陣も刷新され、川北監督がどのようにチームを導くかに注目が集まる。

 選手の出入りも多かった。主力のリベロだった福本眸が退団。いぶし銀の活躍をしていた佐藤彩乃、佐藤黎香も移籍し、攻撃の核を担っていたコクラム・ピンピチャヤ(タイ)もチームを離れた。その穴を埋めるべく、新たに外国籍選手3人を獲得。さらに姫路から古市梨乃、金田莉実の2人が入団し、アウトサイドヒッター陣を補強した。アルテミス北海道からセッター永澤詩音、リベロ浦山絢妃が移籍加入。外国籍選手をはじめ、移籍組の選手の活躍がチームの浮沈の鍵を握っている。

2024―25シーズンの戦い方予想

 新加入の外国籍選手3人は全員が日本のリーグは初めてで未知数な部分はあるが、攻撃の軸を任せざるを得ないのが現状だ。オポジットのショールテン・アイリス(オランダ)はオランダ代表経験もあり、191センチの長身から繰り出す強打が武器。このアイリスを柱に据え、周囲を生かした攻撃を展開したい。アウトサイドヒッターでドイツ代表のシュティグロート・レーナがもう一つの柱となれれば、戦いの幅は大きく広がる。昨季は姫路で出番に恵まれなかったものの、古市、金田も経験は豊富でアウトサイドヒッターとして存在感を発揮して欲しい。

 守りでは絶対的な守護神だった福本の穴を埋められるか。副キャプテンに就任した依田茉衣子、移籍組の浦山の踏ん張りがポイントとなる。ミドルブロッカーの新戦力として期待された大久保真美がプレシーズンマッチで右膝前十字靱帯を断裂し、今季のプレーは絶望的。昨季、主力を担った梅津憂理もけがで開幕には間に合わないなど苦しい台所事情が続く。山口真季を中心に乗り切れるか。

注目選手:浮島杏加子

 身長173センチと小柄ながら、サウスポーからキレのいいスパイクを放つ浮島杏加子は面白い存在だ。昨季のリーグでは22試合、27セットの出場にとどまったが、196本打って79得点。スパイク決定率は40.3%と高い数字を残し、失点は7点だけと安定したプレーぶりだった。出れば確実に仕事が計算できる貴重なプレーヤーだ。

 宮崎・延岡学園高を卒業後は強豪の久光製薬(現・SAGA久光スプリングス)に入団したが、出場機会に恵まれなかった。活躍の機会を求めて新天地に渡るなどハングリー精神を併せ持つ。今季はイタリアのセリエAでもプレーしたアイリスが同じポジションのオポジットに加入したこともあり、プレー機会は昨季と同様に限られたものになるだろう。それでも、28歳となり、ベテランと呼ばれる域に達した点取り屋はチームの窮地を救う活躍をするに違いない。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」を地で行く浮島は、SVリーグでも存在感を放つはずだ。