2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではヴォレアス北海道を紹介していく。
クラブヒストリー:2016年に北海道初のプロバレーボールチームとして誕生
北海道旭川市を拠点とし北海道初のプロバレーボールチームとして2016年に誕生したヴォレアス。2018年2月25日には2017ー18V・チャレンジリーグII男子大会にて、リーグ参入初年度での優勝を決めた。続く2022ー23シーズンにはV・チャレンジマッチで勝利を収め悲願のV1昇格。今年はSVリーグに参戦し、台風の目となるか。
初年度からクロアチアやスロベニアのチームでの監督経験を持つエド・クラインを監督に採用し、全日本経験がある選手を獲得するなど、その動向がバレーボールファンの間で大いに注目を集めていたチームだ。もともと北海道にはバレーボールの強豪高校が多く、トップリーグの選手も数多く輩出しているが、道内にプロチームがなく、選手は高校を卒業するとそのまま本州に旅立つことが多かった。北海道におけるバレーボールの競技人口の減少も進み、危機感を抱いたことがチーム発足のきっかけだ。欧州のスポーツの文化を参考にディスカッションを重ね、構想を練った上で誕生したチームである。旭川を中心に熱狂的なサポーターを持つ。
このオフの動き:SVリーグに向けて積極補強
監督のエド・クラインは2023-24シーズン、様々な選手をベンチ入りさせ、試合で起用した。このメンバーで1部に昇格したのであるから、その選手を起用しないのは選手へのリスペクトに欠けるという理由だった。SV参戦の際には戦力を整え直す必要があると考えたが、その前にすべての選手に平等にチャンスを与えた。
結果、幾名かの退団選手も生まれたが、積極的に補強を進め、計画的にSV参戦に向けて戦力を整えてきた姿勢が見て取れる。
まずは新外国籍選手としてエストニア出身のティモ・タンメマーと契約。205cmという高さを誇るミドルブロッカーだ。フランスリーグやポーランド、ドイツのリーグで活躍した経験を持つ。もう一人はウクライナ出身のニキタ・ゾロトゥーヒンで、ポジションはオポジット。21歳と若いもののこちらもフランスリーグでプレーした過去を持つ。
そして最も驚かされたのは陳建禎の入団だ。ヴォレアスには7年ぶりの復帰となるが、陳が在籍していた2017-18シーズンはヴォレアスがVリーグに初参戦したシーズン。リーグ初参戦で初優勝を成し遂げた立役者である。陳はヴォレアスからパナソニック(現ブルテオン)、JTサンダーズ広島、そして北海道イエロースターズと渡り歩いた。日本のバレーボールに精通したアウトサイドヒッターである。
そしてヴィアティン三重からは三好佳介が移籍。三好は190cmとミドルブロッカーとしては決して大柄ではないが、スピードを生かしたプレーを得意とする選手。選手層は厚みを増した。
そしてもう一人、バレーボールファンを喜ばせたのが池田幸太の獲得だ。池田はVC長野トライデンツ時代、入れ替え戦でヴォレアスの前に立ちはだかったVC長野のエースだ。攻守ともに安定し、運動量の多いアウトサイドヒッターで、勝負強さを兼ね備えた選手。2023年にVC長野を退団し、1シーズン、トップリーグの試合には出場していないが、その動向が注目されていただけにファンにとってはうれしい報告となった。
注目選手:池田幸太
注目選手は上記の池田だろう。VC長野時代は主将を務めた経験もあり、間違いなく新生ヴォレアスの核となってくれるプレーヤーである。ヴォレアスの1部昇格に貢献した戸田拓也、本澤凌斗、外崎航平や2021-22、2022-23に2シーズン連続でV2の最高殊勲選手賞を獲得した張育陞も健在。SVリーグでは上位進出をねらう。