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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。ここでは新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ全24チームをピックアップし、VC長野トライデンツを紹介していく。

クラブヒストリー:1部リーグの壁に苦戦も着実に強化

 2008年、長野県南箕輪村にて「VC長野グロース」として発足。2010年4月、チーム名を現在の「VC長野トライデンツ」に変更した。2013年には一般社団法人「VC長野クリエイトスポーツ」を設立し、2年後の2015年、全国6人制バレーボールリーグ総合男女優勝大会で全勝優勝を果たす。同年3月に2部リーグに当たるVチャレンジリーグに参入。2018/19シーズンから新しいリーグが構成され、VC長野は最高峰であるDIVISION1所属となった。

 ただし初めて挑んだ1部リーグの壁は厚かった。2021-22シーズンは5勝31敗の最下位となり、V・チャレンジマッチ(入替戦)に出場。V2優勝のヴォレアス北海道と戦うこととなったが、1勝1敗の得点率で辛くも相手を上回りV1残留を決めた。

 2021年から参戦したV1での成績は10チーム中9位が最高で、8位以上になった経験はない。2022-23シーズンは歴代最高の5勝を挙げており(前年は不戦勝含む5勝)徐々にV1での戦い方が明確になってきた証拠だろう。

 2022年、チームを改革すべくパナソニックパンサーズ(現・大阪ブルテオン)で6シーズン、監督を務めた川村慎二を新監督に招いたことも大きい。今年、チームを率いて3シーズン目となる川村監督は就任以来、選手がプレーしやすい環境作りに尽力してきた。まずは全員が揃う練習環境の確保のため、選手が働く協力企業を一件ずつ回り、理解を得ようと説得を続ける。リーグ期間中は社業よりチームの練習を優先できるよう頭を下げた。「仕事の業務とバレーボールの練習で疲れ果てて、ウエイトトレーニングに費やす時間がなかった」と選手が振り返る練習環境を整備したのだ。

このオフの動き:不安材料はあるものの的確に補強

 そんな川村監督が率いるVC長野は今シーズン「目標達成と勝利を掴むまでに現れる様々な障壁を壊す、限界を打ち破る」という意味を込めてスローガン『BREAK IT(ブレイクイット)』を掲げている。昨年、主将を務めた池田颯太が昨年度限りで退団。8月には主戦セッター・中島健斗が故障によって長期離脱することが伝えられるなど、不安材料は残るものの、その分、補強にも力を入れている。手薄になったセッターのポジションには大同特殊鋼から早坂心之介が移籍加入した。攻撃陣では新たにデンマーク出身で、スペイン・プロリーグを経験したウルリック・ボ・ダール(オポジット)を招へい。昨年度よりプレーしているトレント・オデイ(ミドルブロッカー)とともに2名の外国籍選手がチームを牽引する。

 日本人アタッカーでは日本代表の経験を持つ樋口裕希と、攻守に安定した迫田郭志が日本製鉄堺ブレイザーズから移籍した。両名とも日鉄堺ではレギュラーとして活躍したアウトサイドヒッターで、実績は十分。これまで試合に出場していた同ポジションの選手の刺激になることは間違いない。

注目選手:樋口裕希

 中でも今シーズン、注目してほしい選手は前途した新加入の樋口裕希だ。

 昨シーズン、アウトサイドヒッターのポジションをなかなか固定できず、途中交代が多かったVC長野にとって、樋口が1シーズン、故障なく出場できれば大きな戦力となるはずである。 樋口は群馬・高崎高から筑波大を経て2018年、内定選手としてVリーグでデビュー。2021-22シーズンにはレギュラーラウンドを終えた時点で同ポジションで最も高いブロック決定本数(リーグ3位)を残し、同年、日本代表メンバーにも選ばれている。後衛の守備との連携はもちろんだが、1対1の駆け引きにも優れている力強いブロックが武器だ。就任当時から「サーブとブロックのトータルディフェンスの強化」をテーマに掲げている川村監督にとっては頼もしい選手がチームに加わった。