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 2024―25シーズンの大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)が11日からいよいよ開幕する。新たなスタートを切る国内バレーボールリーグ。新シーズンの幕開けに先駆け、SVリーグ男女全24チームをピックアップし、ここではクインシーズ刈谷を紹介していく。

クラブヒストリー:SV.LEAGUEの舞台で復活なるか

 現トヨタ車体の9人制バレーボール部として創部され、6人制への移行を経て1999年にVリーグへと参戦した。2部リーグ相当のV1リーグの第2回大会に加わったが、なかなかトップリーグへはたどり着けなかった。入れ替え戦で敗れるなど悔しい思いを積み重ねた末、日本代表などを率いた経験豊富な葛和伸元を総監督に迎えると、第8回大会となる2005―06シーズンにV1リーグで初優勝。入れ替え戦にも勝利して、念願のVプレミアリーグへの昇格を果たした。

 昇格までは苦しむ時期が長かったが、その後は一度も降格することなく国内トップリーグでの戦いを続けた。2008―09シーズンには皇后杯、2014年には黒鷲旗で、それぞれ初優勝を飾る。2017―18シーズンには2度目の皇后杯制覇を成し遂げ、リーグ戦でも過去最高となる3位となったが、なかなかタイトル争いには加われなかった。

 2020―21シーズンには11位となって入れ替え戦に出場。辛くも残留したものの続くシーズンも10位で終えると、監督やコーチの総入れ替えに踏み切った。かつてコーチを務めていた髙橋悠が監督として戻ってくると、2022―23シーズンは8位、翌シーズンは4位と、復活の兆しを見せ始めている。

このオフの動き:厚い選手層を活かし、歩みを続ける

 大同生命SV.LEAGUE参戦初年度も、チームはその若き指揮官に託される。Vリーグなどでのプレー経験はないものの、大学卒業後すぐに指導者への道へと入った。初めて監督となった2020―21シーズンからは2年連続で群馬銀行グリーンウイングスを1部との入れ替え戦に導くなど手腕を発揮。刈谷でもチームを上昇させており、能力を証明している格好だ。

 肝心の戦力は、昨季のレギュラーラウンドでリーグ4位となる420得点を挙げたリセ・ファンヘッケが移籍したのは痛手だが、そのオポジットのポジションにはバレー大国イタリアでプレーしていたベルギー代表カヤ・フロベルナを迎えた。

 ミドルブロッカーには、日本代表の横田真未と、2歳下の実妹である横田紗椰香が、ともにデンソーエアリービーズから移籍加入。セッターには、大学在学中にVリーグデビューを果たし、KUROBEアクアフェアリーズでキャプテンを務めていた佐藤彩乃を迎えた。やはり、大学在学中に入団内定選手としてVリーグのコートに立っていたのが、今季から正式入団となる吉永有希。新戦力どころかしっかり計算できる選手として、存分に働いてくれることだろう。

 また、高卒ルーキーの笠井季璃も、すでに黒鷲旗に出場している。春高バレーで旭川実業高校の31大会ぶりの4強進出に貢献。19歳以下日本代表のエースは、ルーキーイヤーから新鮮な驚きを提供してくれるかもしれない。

注目選手:鴨原ひなた

 こうした充実した選手層を誇るメンバーをけん引するのが、鴨原ひなただ。アウトサイドヒッターながらレセプションやサーブでも能力を発揮するが、そのキャラクターも大きな魅力。熱くチームを盛り上げるその性格で、すでにキャプテンを任されている。

 高校時代から年代別の日本代表に選出され、クインシーズ入団直後にはV・サマーリーグでフレッシュスター賞を受賞している。まだ23歳と若いが、チームの中心選手としての重責を担うだけの準備はできている。

 右肩上がりで来た髙橋体制が3シーズン目を迎え、選手層も充実しつつあるとなれば、周囲の期待はさらに高まるはず。就任2年目だった昨季途中には、まだ土台を積み重ねている時期だと話していた指揮官。SV.LEAGUE初年度が、本当の勝負の時になるのかもしれない。

 リーグ移行に伴い、チーム名からは社名を外した。その分、創部以来ともに歩み続ける刈谷への思いは、さらに強くなる。

 また、愛称のクインシーズとは、英語で女王を意味するQueenと、スペイン語で「6」を意味するSeisを組み合わせた造語。女王の座に就く日を目指して、切磋琢磨の日々が続く。